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図&ストーリーでわかる会計||社長が決算書を読むための超基礎知識||「税込経理と税抜経理の比較」

 難解な決算書をシンプルに理解するための記事です。 決算書は様々な会計取引が統合されたものです。そのため、ひとつひとつの取引を理解しないといけません。 このシリーズでは、シンプルに少ない取引の動きだけをとりあげ、決算書の動きを理解できるようにしました。

①M君は、1,000円を元手(資本金)として事業を始めました。
②880円をかけてチラシを作り、配りました(広告宣伝費)。
③チラシの効果があり1,210円の仕事を受注できました。
④決算をむかえ、税務署に消費税30円を納めました。

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①M君は夢を叶えるために事業を始めました。そして、事業用に現金1,000円を用意して会社を設立しました。
 事業用に現金1,000円を入れたことにより、貸借対照表には現金1,000円と資本金1,000円が計上されました。
 ここで、損益計算書に動きはありません。

②事業を開始して間もなく、仕事を受注するためにチラシを880円(税込)で作成し、配りました。
『税抜経理』
 貸借対照表では、チラシの作成に880円(税込)を現金で支払ったため、現金残高が120円になりました。このチラシ作成代金には、消費税分(80円)が含まれているため、この80円が仮払消費税として計上されました。
 損益計算書では、チラシの作成費用800円(税抜)が広告宣伝費として計上されました。まだ売上げがないのでこの広告宣伝費800円分がマイナスの当期純利益となります。
 そして、この損益計算書のマイナスの当期純利益800円は貸借対照表の利益剰余金にマイナス800円として計上されます。

『税込経理』
 貸借対照表では、チラシの作成に880円(税込)を現金で支払ったため、現金残高が120円になりました。
 損益計算書では、チラシの作成費用880円(税込)が広告宣伝費として計上されました。まだ売上げがないのでこの広告宣伝費880円分がマイナスの当期純利益となります。
 そして、この損益計算書のマイナスの当期純利益880円は貸借対照表の利益剰余金にマイナス880円として計上されます。

③しばらくして、チラシの効果があり1,210円(税込)の仕事を受注することができました(売上高)。
『税抜経理』
 貸借対照表では、売上代金の1,210円(税込)が現金になり、現金残高が1,330円になりました。この売上代金には、消費税分(110円)が含まれているため、この110円が仮受消費税として計上されました。
 損益計算書では、売上高1,100円(税抜)が計上されました。この1,100円と広告宣伝費の800円の差額(300円)が当期純利益に計上されました。
 そして、この損益計算書の当期純利益(300円)は貸借対照表の利益剰余金に計上されます。

『税込経理』
 貸借対照表では、売上代金の1,210円(税込)が現金になり、現金残高が1,330円になりました。
 損益計算書では、売上高1,210円(税込)が計上されました。この1,210円と広告宣伝費の880円の差額(330円)が当期純利益に計上されました。
 そして、この損益計算書の当期純利益(330円)は貸借対照表の利益剰余金に計上されます。

④決算をむかえ、税務署に消費税30円を納めました。
『税抜経理』
 貸借対象表では、消費税30円(仮受消費税110円ー仮払消費税80円)を現金で支払ったため、現金残高は1,300円になりました。そして仮払消費税と仮受消費税の残高はゼロになりました。
 損益計算書では、動きはありません。

『税込経理』
 貸借対象表では、消費税30円(仮受消費税110円ー仮払消費税80円)を現金で支払ったため、現金残高は1,300円になりました。
 損益計算書では、消費税30円が経費(租税公課)となり、当期純利益が300円となりました。
 そして、この損益計算書の当期純利益(300円)は貸借対照表の利益剰余金に計上されます。

関連として下記記事に税込経理と税抜経理をどちらにしたらよいのかまとめています。
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