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ハッピーエンドとは…

 国家・社会などを描きつつ、一青年の心の動きを描いた「罪と罰」は、すばらしいお話でした。

 主人公ラスコーニコフの苦悩は、一種青春の麻疹(はしか)と位置づける。ただ一度、罪無き少女まで殺めてしまう事で、彼の苦悩は深まる加速度を増してしまったのでしょう。
 この巨編では、母・妹、ラズミーヒンらの友人のあり方が素敵でした。また、俗物オヤジ達や名刑事ポリフィーの存在は強烈です。あと、中年の奥方の逞しさに驚いた。
 終章、「シベリア。」と始まったときには、「彼はついに…」と感じた。ところが、知人の娘ソーニャの振る舞いに彼は生きる希望が開けた。しかも、そこで筆を止めたドストエフスキーの技には、降参である。
 中年親父が書くのはとても恥ずかしいことですが、「罪と罰」がハッピーエンドとは知らなかった...

かわせみ💎

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