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⚠️先生への禁句 より

 最近の本屋では、「〜全集」を見かけない。かつては、子ども向けから学者向けの全集がずらりとあった。そこに新刊や雑誌並べられているのが普通の本屋だった。今は、週刊雑誌やCDなどが中心だ。先ごろまであったレンタルコーナーも消えた。すべてが電子化され、その姿を変えたのであろう。
 予備校生の時、⚠️先生への禁句😅を教わった。それは、「先生の研究室に行った時に、すごいですね。これ、全部を読んだですかと言ってはならない」と。その時は、読んでいるのが当たり前なのに、そんなことを聞くことが失礼なことだと思った。
 ボクの進んだ学校の先生は、シニカルではあるがオープンな関係を保つ方であった。ある日、ボクは先生の研究室に行った時に、「すごいですね。これ、全部を読んだですか」と聞いてしまった。パンドラの蓋を開けてしまった。
 先生は笑いながらサラッと答えてくれた。「学者の世界は厳しい。なかなか、積み上げた持論を崩すことが出来ない。時には、自ら職を辞すこともある。退職金とは別に、研究費で購入した全集を手放す。それで、一年ぐらい生活できなければならない。学者は学者でしか出来ないからね」と。
 先のように、今では学術書籍や関連文献はググれば手に入れらる。かつての古本屋よりも売買しやすいブックオフが乱立している。本屋さんの在り方はおろか、先生方の全集の位置付けも変わったはずだ。応接間という部屋の百科事典も同様なのかも知れない。ただ、ボクは夏目漱石全集とある学者の全集を宝物にしてる。
 しかしながら、⚠️先生への禁句😅は、本だけの話ではない。人生の先輩や仕事の先輩に対する心得の例えと捉え直す。たった六文字を人生へ陶冶することで多くの社会生活の在り方を知った。また、そのことを会得した自分は細かく悩んだりしなくなった。失礼があったら、謝って正す。そうでなければ、ニュートラルな自分でいれば良い。ただ、そのこと自体は自分勝手な判断かも知れない。でも、下手な処世術を身に付けるより良いとボクは思う。

かわせみ💎

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