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「人体の不思議展」に行って体と幸福について学んだ話

人体の不思議展とは

ドイツではベルリンとハイデルベルクで「人体の不思議展」(Körperwelten)が常設されています。
以前から気になっていたものの、なかなか入る勇気のなかった「人体の不思議展」についに行ってきました。どうして今まで逃げ腰だったかいうと、ここの展示会では、人間の実物の骨や筋肉や内臓が使われていると聞いていたからです。死後に人々の教育のためにということで、献体された方のおかげで成り立っている展示会でした。プラスティネーションという特殊な技術を使って、臓器を生々しい状態で、長期間保存しています。入る前はちょっと怖かったのですが、毎日お世話になっている体内社員(臓器)のことを知らないといけないと思い、行くことにしました。今回実際に展示物を見て、人間の体内がどのようになっているのか詳しく知ることができました。家族連れや学校のクラスでも勉強によく来るらしく、体のことや健康のことが子供にもわかりやすく説明されていました。

勉強になったこと(臓器のこと)

今まで絵やイラストで体内の様子を見たことはありましたが、本物の臓器を見たのは初めてでした。しかもホルマリン漬けなどではなく、本物の標本が展示されていました。私にとって、特に興味深かったのは以下の臓器たちです:

  • 肺と横隔膜:私は呼吸に興味があるのですが、肺と横隔膜がどのようになっているのか、いまいちわかっていませんでした。それを見ることができたのが良かったです。

  • 骨盤や仙骨や恥骨:意識するとよい「丹田」の位置は恥骨のあたりだと聞いていたのですが、恥骨ってどこ?と思っていました。そして良い姿勢には仙骨を立てることが重要なのですが、仙骨のこともよくわかっていませんでした。今回骨盤周りの骨を見て、かなりイメージが深まりました。

  • 肩の関節:四十肩なのですが、その犯人(炎症している部分)を目撃しました。

  • 脊柱:ヨガでよく動かすS字型の骨を見ました。

  • 肝臓と胃:この2つがこんなに隣同士で重なり合ってるとは知りませんでした。胃は体の真ん中にあると思い込んでいましたが、結構片方に寄っていました。

  • 腎臓:老廃物を濾過して、不要なものは膀胱に送ります。その機能と体内での位置を学びました。

  • 乳房と乳腺と子宮:婦人科でいつも定期検診してもらっていますが、どのような構造になっているのか見られました。

購入したカタログ

幸福の場所としての身体

解剖学のテーマだけではなく、全体のテーマが「幸福とは」だったのが特に面白かったです。「幸福の解剖学」というコンセプトで、いろいろな幸福の仕組みを科学的に説明してくれていて、大変勉強になりました。以下要点を意訳して、まとめておきます。

  • 幸福とは=自分の人生に満足していること+日常で心地よいこと

  • いつも考えている通りになる:脳にはたくさんの神経がある。同じ経験をすると、その経路は強まる。だから何度も考えていることは、そのようになる。ポジティブに考えれば、そのようになるし、ネガティブに考えればそのようになる(だから幸福になりたければ、ポジティブに考えればいい)。

  • 幸福を決める要素はDNAと自分と環境:幸福を感じる力は遺伝子情報に書かれていて、それは全体の50%を占める。40%は自分の考え方や行動で決まり、10%は周りの環境(現在の財政状況、社会的な環境、体の問題、パートナー)で決まる。つまり40%は自分の考え方次第でコントロールできるといこと。

  • ストレスは最大の敵:長期間のストレスは学習能力を低下させるだけでなく、健康に害を与える。高血圧や心臓発作や脳卒中になる危険を高める。長期間ストレスがあると、神経質になったり怒りやすくなったりする。燃え尽きて、うつ病になることもある。

  • 幸せと健康の関係:健康であることは幸せの条件であると考えられているが、健康な人が皆幸せであるというわけではない。また病気である人が皆不幸であるというわけでもない。しかし幸福かどうかは、確実に健康を左右する。幸せな人は心臓発作や糖尿病や癌やうつ病になりにくい。

  • 健康的に暮らすために大切なこと:楽観的であること、家族や友達とのネットワーク作り、ストレスをやり過ごす能力、希望ややる気や興奮などのポジティブな感情を持つこと。

  • 腸からの幸福:腸も複雑な神経が通っている。セロトニン、ドーパミン、オピオイドなどの私たちの思考や感情に大切な物質を作る。97パーセントのセロトニンは腸で作られて、脳の感情センターと密接な関わりを持つ。だから「腸脳」と呼ぶ学者もいる。

  • 感謝と幸福:感謝は人を幸せにする。感謝を感じて、それを表現する人は幸せである。

  • 比較と幸福:幸福とは相対的なものである。自分よりうまく行っている人と自分を比較すると惨めになり、自分より悲惨な人と自分を比べると自分は幸せだと思う。

  • 選択肢が多いことと幸福:選択肢が多いことが幸福をもたらすとは限らない。一つ一つの良し悪しを比較することが大変すぎて、イライラする。もっといい選択があったかもしれないと考え、満足できない結果になりがち。

  • 結婚と幸福:他人との関わりは幸福に影響をもたらす。結婚生活がうまくいっている既婚者は独身者より健康で長生きする。平均収入も多い。結婚生活がうまく行っていない場合は、離婚した方が幸福度が上がる。

  • 幸福とはいつまでも求め続けるもの:幸福は長続きしない。幸福なことがあっても、時が経つとまたもとのスタートポイントに戻ってしまう。常に幸福を求め続けるのが人間。

  • 幸福=やる気➕やる価値のあることをする。キーワードはGenuss(楽しむこと)。

やる気があって、やる価値のあることをすると幸せになる。

まとめ

備忘録をかねてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。幸せについてはスピリチュアルな話になりがちですが、こちらは実際の研究結果により実証されているものなので、大変勉強になりました。

献体された方に感謝すると共に、生きていることの不思議を感じた展覧会でした。健康で幸せに生きるためのヒントをたくさんもらいました。

ここまでお読みくださり、どうもありがとうございました。こんなに長く書いたの初めてかもしれません。少しでも皆様の参考になったら嬉しいです。

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