将来中学生になった娘へ
「ああ、女の子ですね」と言われた時、最初に思ったことは「どうしよう」でした。
初めて妊娠したとき、ぼんやりと男の子がいいなぁと思っていました。
夫は姉妹がいません。
女の子という生き物が家庭内で育つ様子を知らないので、男の子の方が身近に感じるんじゃないか、育児に参加しやすいんじゃないかと思ったからです。
夫自身もそれを自覚しており、息子とキャッチボールがしたいと夢を膨らませていました。
そして、お腹の子が男の子だと分かったときはホッとしましたし、夫も本当に楽しみにしていました。
2人目を妊娠したとき、性別はどちらでもいいなぁと思っていました。
息子とキャッチボールがしたいという夫の夢は叶いそうだし、弟なら服やおもちゃを使い回せる。妹ならそれはそれで女の子を育てる楽しみがある。
夫も育児に慣れてきたので、性別はどっちでも楽しみだね。でした。
そして妊娠後期、それまで多分女の子?程度の診断だったのが、素人目にもまうごとなき女の子と判明しました。
その瞬間頭に浮かんだのが、冒頭の「どうしよう」でした。
昨日の記事でも書いたように、私は中学時代スクールカースト下層民でした。
誰にでもある経験だと思います。
思春期のよくある悩み、出る杭は打たれるよね、と一言で片付けようと思えば片付けられますが、出る杭にならない為に、出る杭と感じさせない為に必死でした。
人の目なんか気にしなくていい、言いたい奴には言わせておけばいい、みんな違ってみんないいみたいな慰めは教室の中では何の意味もありません。
金子みすゞに舌打ちしたことないですか?
私はあります。
それは大人の価値観であって14歳の価値観ではないのです。
発言力のあるクラスメイトに「あいつなんかウザイよね」って言われたら全てが終わる世界が学校なんです。
私がどれだけ娘のことを可愛い可愛いと言って愛しても、伝え続けても、同じクラスのあの子に「ブスは黙っとけよ」って言われたら死にたくなっちゃうような世界に、この子は10数年後飛び込まなくてはいけないんだ。
学校だけじゃない。
容姿の良し悪しは男性よりもずっと人生に付き纏ってくる。
ルッキズムはなくならない。
痴漢に遭ったことがない人っているのかなってくらい女の子は絶対に痴漢に遭う。
女性にだけ強気な態度を見せる人は当たり前にいる。
贔屓はその場しのぎどころか負債。
馬鹿な女は食い物にされる。賢い女は嫌われる。
彼氏は?結婚は?出産は?
家事も育児も仕事も女性がしろってか。
生理めんどくせぇ。
自分が今まで経験してきた女性としての苦労が走馬灯のように駆け巡りました。
もちろん全てそうとは限らないし考えすぎな所もあります。時代と共に変わっていく所もあります。
でも今私が挙げた苦労は全然珍しくないんです。
その苦労を、この子はしなければいけない。
男性の苦労をしたことがない故に、息子を産んだ時はそんな不安はありませんでした。
でもお腹の子が女の子だと分かった瞬間、一気に不安が噴き出しました。
どうしよう。
私、この子に何してあげられるんだろう。
寄り添うなんて簡単なことじゃない。
寄り添ってもらいたいタイミングと方法は人によって違う。
どうしよう。
心の片隅に消えない不安を隠しながら、まぁ今どんだけ考えたってしょうがないしなとどうにか自分を誤魔化し娘を産みました。
で、産んでみたら、まぁ〜〜〜可愛い。
息子も可愛いけど娘も尋常じゃなく可愛い。
この世の可愛いを凝縮して形にしましたって感じで可愛い。可愛いの天才。可愛いオブ可愛い。
代わりに死ねって言われたら死ねる。可愛い。
なんかもう可愛すぎて何も考えられない。
思考回路は当たり前にショートしたし可愛いが漏電してる。
将来もしも◯◯だったらどうしように対する解決策なんて一個も思い浮かばないけど、なんかどうでもよくなってきた。だって可愛いもん。
というより、親はひたすら可愛い・大好き・愛してるの三拍子を言い続けるくらいしかできない気がしてきた。
中学生のとき、浜崎あゆみを知らないだけで非国民扱いしてきた同級生を親にどうにかして欲しいとは思わなかった。
親にできることなんてそもそも大してない。
娘へ
お母さんは娘が大好きです。
めちゃくちゃ可愛いと思ってます。
息してるだけでいいです。
絶対あなたの味方でいます。
ブスとかウザいとか言われたら即逃げよう。
戦っていいことなんて何もありません。
撤退は戦術の一つです。
そして、あなたのクラスメイトのお母さんも多分同じことを思ってます。
だからどうか他の子にブスとかウザいとか言わないで下さい。
愛しています。
あー!可愛い!!
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