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【01Night】今大注目のスタートアップからARエンタメの最前線を学ぼう〜加速する仮想現実の世界〜

今回は、8月18日(火)に開催した「【01Night】今大注目のスタートアップからARエンタメの最前線を学ぼう〜加速する仮想現実の世界〜」のイベントレポートをお届けします!

日本、そして世界中で様々な挑戦がなされているAR(拡張現実)。
革新的なコンテンツとサービスを提供するグラフィティ株式会社の森本さんに、『ARエンターテイメント界』の最前線や、採択されたアクセラレータープログラムについて語っていただきました。
(聞き手:ゼロワンブースター鈴木)

1. 登壇者紹介

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森本 俊亨さん(グラフィティ株式会社 CEO)
1994年生まれ。慶應義塾大学理工学部情報工学科にて機械学習を研究。ABEJA経営陣直下でのAI事業開発、PKSHA Technology AIアプリケーション開発、ドワンゴAIラボにてDeepLearningを利用した動画の次時刻予測の研究開発を経験。その後、2017年8月にGraffityを創業。現在は、チーム戦を行うことが可能なARバトルの正式リリースに向け、開発を進めている。

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鈴木 規文(株式会社ゼロワンブースター 代表取締役)
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社に入社し、コーポレート管理室長を経て、2006年アフタースクール事業「キッズベースキャンプ」を創業。取締役に就任するとともに、兼務にて株式会社エムアウト新規事業開発シニアディレクターに。2008年同事業を東京急行電鉄株式会社に売却し、その後3年間、東京急行電鉄株式会社子会社でPMI業務に従事。2012年3月株式会社ゼロワンブースターを創業し、起業家支援、企業向け新規事業開発支援事業、投資事業を行っている。

2. 「ARバトルを新しい文化へ」

鈴木:
森本さんの会社ではAR技術を駆使して、リアルに身体を動かしながら楽しむ対戦バトルを提供しています。コロナの影響も受けているのかな?と思いますので、そのあたりも教えていただければと思います。

森本さん:
慶應義塾大学でAIの勉強をした後、ABEJAとかPKSHA Technology、ドワンゴAIラボでディープラーニングの研究開発やビジネス事業開発に携わってきました。また、3年くらい前にグラフィティを創業し、AR領域のプロダクトを作り続けてきました。今は「ARバトル」という全く新しいジャンルのARゲームを提供しています。

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僕たちは「ARバトルを新しい文化へ」をスローガンに、未来のスポーツやeスポーツのようなものを作っていこうと頑張っています。「ARバトル」とは、友達や家族、仲のいい人と楽しめるARスポーツでありゲームです。

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Graffityプロダクト、ARシューティングバトル「ペチャバト」をご紹介します。スマホを使ってシューティングができるゲームです。タップすると弾が飛んで、スマホに連動して的が動くようになっていまして、リアルタイムに友だちと撃ち合い楽しむことができます。

リリース1ヶ月で約10万バトルを達成し、「体験の作り方が非常に良い」と評価をいただいています。他にも、学校の授業で実際に導入されたりもしました。

また、ゼロワンブースターさんの運営で開催された「バンダイナムコアクセラレーター」で採択されて、ロケーションに特化したARバトルということで、銃型のデバイスを使った新しいARバトルを作り、大阪のVSPARKで2日間、実証実験という形でロケテストをしました。

3. 外に出て友達と楽しむ。コロナ禍でも家族と楽しむ。

鈴木:
ありがとうございます。「ペチャバト」は、どこで使うイメージで開発したのですか?

森本さん:
「外に出て友達と楽しむ」という文脈でユースケースを想定して作りました。
あとは学校が始まる前とか放課後に、中高生や大学生に遊んでいただく想定で作っています。

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鈴木:筑波大学附属高校の体育の授業でも使われたわけですが、元々学校で使われていくのは想定していたのですか?

森本さん:
いえ、実は学校での使用は全く想定していませんでした。「ペチャバト」の熱狂的なユーザーが「実際に授業でやりたい」と問い合わせてくださったことを機に、サポートさせていただきました。この学校では選択科目というものが体育の授業でありまして、そこで生徒が選んだものを採択するという文化があるのだそうです。

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鈴木:
ところで、ゲーム業界は現在どういう状況で、今後どうなっていくと思われますか?

森本さん:
ゲームには、「コンソールゲーム」と「モバイルゲーム」と「PC」という3つのジャンルがあります。僕たちが算入しているモバイルは飽和している市場で、IPを持っている会社が強いため新規参入は非常に難しいです。新規で参入するとなると、ARゲーム、VRゲーム、ブロックチェーンゲームという分野が非常に注目されています。また、eスポーツという競技性を突き詰めた分野が市場として伸びています。アメリカが1位、中国が2位となっていますが、インドがさらに盛り上がってきていますね。そういった。見てもやっても楽しい、競技性のあるスポーツのようなeスポーツという領域は伸びています

鈴木:
これらの技術を使っていろんなゲームが出てきていると思いますが、国内で目立ったプレーヤーは他にいるのでしょうか?

森本さん:
ARゲームのジャンルだと、僕らの「ペチャバト」以外はほぼないと言えるのではないでしょうか。少なくとも、日本のプレーヤーはないと思います。

鈴木:
それくらい難しいということなのですか?

森本さん:
はい、難しいです。要因の1つは、まだマーケットが醸成されていないので、ARゲームで資金調達することが難しいこと。どうしてもプレーヤーが限られてしまいます。また、2つめは、ARゲームはまだ自前で実装しなければならないところです。特に、AIに技術に精通してないと難しいというところです。

鈴木:
スタートアップの参入エリアとしては、資金量と技術力の点で大変ということですね。今、恐らく皆さんコロナの影響を相当受けているかと思いますが、森本さんの会社では影響を受けていますか?

森本さん:
元々、僕らのプロダクトはリアルにプレイしてもらうものですので、マイナスになると思っていたのですが、「ペチャバト」は2倍くらいに伸びました。このゲームは友達や家族と遊ぶものなのですが、緊急事態で自宅待機しているときだと遊ぶ友達がいないですよね。でも、家の中で親や兄弟と「ペチャバト」を楽しむという体験が増えまして。外に出られないけど体も動かしたい、というニーズがあったのではないかと捉えています。

4. アクセラレーターに参加して…

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鈴木:
資金力も技術力も信用力も足りないスタートアップにとって、大手企業と組みながら事業を作るのは一つの選択肢だと思います。森本さんの会社も「バンダイナムコアクセラレーター」に参加してくださったわけですが、オープンイノベーションに対してどうお考えでしょうか?

森本さん:
基本的には、かなりポジティブです。
僕たちは「バンダイナムコアクセラレーター」で採択いただいて、VSPARKでロケテストまで実施させていただいたのですが、その中で得られたことが3つあります。

1つが、しっかり集客しているところでロケテスト実際にできて、僕らになかったリソースをアクセラレーターを通じて提供いただき、実績を作ることができたこと。

2つめは、バンダイナムコ様と一緒にやったというところが信頼につながっていく、次の案件につながっていく点では良かったなと感じています。

3つめは、企画などのノウハウです。バンダイナムコ様は長年エンターテイメントを作ってきている企業様で、担当の方もトップレベルの方が来てくださいまして。実際に見ている観点だとかものづくり、プロダクト作りに関するフィードバックを週に1回くらいいただきました。僕らに抜けている観点が多くて、「そうなんだ」と学ぶことばかりで。ベンチャーはリソースや知識がありませんので、外部に頼っていくことは選択肢としてとるべきと思います。

ただ、他のアクセラレーターを見ているとうまくいかないところもありますね。
「自分たちが何をしたいか」をしっかり持った上でアクセラレーターに飛び込むことが、一番上手くいくパターンだと思います。

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鈴木:
上手くいかないパターンは、どういうものでしょうか?

森本さん:
うまくいかない要因は2つあると思います。

1つは明確な目的意識がないこと。
「とりあえず入ってみた」「なんとなくやってみた」とか、そういった感じになってしまうと、ふわっとした状態で行くので、ふわっとしたまま終わってしまう。僕らの場合は明確に「これがやりたい」というものを提示していたので、話が早く進みました。

2つめは、スピード感の意識です。
大企業とベンチャーだとスピード感が違うという意識を持った方が良いですね。大企業の方もスタートアップの速さとかわからないのですよね。でも、往々にして、スタートアップ側も怖気付いて大企業に合わせてしまう。もちろん実際は思っていないですけれど、「スピード感を教えてあげる」くらいの気持ちで臨んでいかないと、恐らく物事が進んでいかないかなと思います。

僕は週1で打ち合わせをして、毎回「何かを進めること」を意識していました。また、アウトプットの日時を最初のMTGでFIXすることを心がけて、マイルストーンも自分で引いて意識して、次はこれをやりましょうと前に進むことを意識した結果、かなり上手く、ロケテストまで物事を進めることができたと思います。

5. そして、「小学館アクセラレーター」へ

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鈴木:
ここで、現在「小学館アクセラレーター」を開催している、小学館の井上さんとSho Proの渡辺さんにも登壇いただきます。井上さん、渡辺さん、「小学館アクセラレーター」についてお聞かせください。

井上さん:
「小学館アクセラレーター」は、教育分野をメインの募集領域としたプログラムです。ですが、小学館は学年誌などの教育分野だけではなく、「ちゃお」「コロコロ」を含めたキッズのエンタメも大きな柱となっています。裏テーマではないですが、「キッズ向けの新しいエンタメのあり方」を模索しています。

渡辺さん:
ShoProは、アニメの制作からリアルイベントのプロデュース、ライセンスの窓口業務なども幅広く行っています。私は12年間くらいリアルイベントをやってきました。
そこで印象に残っているのは、イベントにきてくれたお子様の表情や、面白いとか楽しかったなどの言葉や思いです。これからいろいろなプランがエントリーされると思いますが、お子様が驚いたりとか、喜んだりとか、「こいつはすげぇなあ」と思う視点で新しいビジネスの種をご提案いただけますと、とてもいいのが作れるのではないかと思います。ぜひよろしくお願いいたします。

鈴木:
森本さんは、教育コンテンツについてどうお考えですか?

森本さん:
教育コンテンツは、非常に面白い分野だと思います。新しいARとかVRとかを組み合わせた教育コンテンツは、いくらでもユースケースを作っていけるのではないでしょうか。僕自身も身の回りの起業家にご紹介して、フォローできるようにします。

井上さん:
実は、子供向け分野のデジタルへのシフトに苦戦していまして、森本さんにご質問させてください。
子供は自分のデジタルデバイスを持っていないことも多く、課金の方法とか、そこをどうクリアしていけば良いかな、と模索しています。子供にとって、実際に物として楽しめる身体性も重要だと思っているのですが、森本さんは「子供向けのデジタルのあり方」について、いかがお考えでしょうか?

森本さん:
そうですね、子供はYouTubeを非常に見ていると思います。このYouTubeベースで何かIPを育てて、グッズ販売に繋げていくのは、デジタルビジネスの一つの形ではないでしょうか。

もう一つは、インタラクティブ性です。新しいインタラクティブな遊びで、ARを活用する。VRは、デバイス的に子供がつけるとなると難しいと思いますが、スマホを使ったARの体験であればお子さんも楽しめると思います。弊社の「HoloBreak(ホロブレイク)」では、子供も大人もプレイできます。特に子供からの高評価いただきました。子供との新しい接点を作れるようになったのではと思っています。

「ARバトル」はまだ育っていない状況で、これから育てていくのですが、育った暁には小学館さんのIPとコラボできればと思います。

鈴木:
皆さん、ありがとうございました。
最後に、「小学館アクセラレーター」は8月31日(月)までエントリーを募集中です。
こちらをご覧になった方々、奮ってご応募ください。
※募集期間は終了いたしました。たくさんのご応募、ありがとうございました

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プログラムについて:
「小学館アクセラレーター」
◎募集領域
#エデュケーション
#キッズエンターテイメント
#その他領域

◎応募締切
2020年8月31日(月)
※募集期間は終了いたしました。たくさんのご応募、ありがとうございました

◎活用いただけるアセット
#多様な出版コンテンツや人気キャラクター
#️コミック雑誌や幼児誌など様々なブランド資産
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#マーケティング・チャネル
#教育事業のノウハウ
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#WEB・映像制作

詳しくはこちら→https://www.shogakukan2020-01booster.com/


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