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佐藤浩市っていつもナイフ舐める直前みたいな顔してるな

 こういう固定的なタレントイメージって怖い。というのも、私が佐藤浩市に対して知っている事柄が「映画:マジックアワーのデラ富樫役」しかないからであるが、いやはや代表作の呪いってのは恐ろしい。詳細な説明は割愛するが、佐藤浩市が当の映画で演じたデラ富樫というのは、ナイフを舐めまわすようなしぐさが特徴的な、そういう役のキャラクターだった。

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 今や俳優の活動だけに留まらず、バラエティ番組にも引っ張りだこの佐藤浩市さん。御年63才とは思えないほどのカッコよさ、スタイルの良さ、そしてたまに見せるひょうきんさのバランスが素晴らしい。昨今の名俳優と呼ばれ愛される人たちは、俳優としてのシリアスさとお茶の間に愛されるコミカルさの配合がまた絶妙なのだなぁと感じる。
 
 でもそんなバラエティ番組で楽しそうにしている佐藤浩市の姿を見ていると、今にもポケットからナイフを取り出して舐め始めるのではないかとソワソワしてしまう。むしろそのナイフ舐め行為への欲求を抑え込もうと必死に戦っているようにも見える。本当はナイフを舐めたくてしょうがないのかもしれない。

 たとえば、俳優の高嶋政伸はいつも"狂う"寸前みたいな雰囲気を出しているし、藤原竜也だって今にも地面をのたうち回る直前みたいな雰囲気を醸し出している。吉沢亮はイケメンなのに変なCMばかり出させられている。

 佐藤浩市もまた、そんな雰囲気を持つ俳優のひとりである。確かにナイフには鉄分が豊富に含まれている。山羊が急峻な絶壁に張り付いて岩塩からミネラル分を舐めて補給するのと同じように、ナイフ舐めは鉄分不足のときに起こる生理的欲求が形となって現れた例なのかもしれない。

 佐藤浩市のものまねをしている、いしいそうたろうというお笑い芸人がいて、その人がまさにナイフ舐めをする佐藤浩市を大袈裟にデフォルメするものだから、本人にもそのイメージがついてしまった。佐藤浩市本人もいしいそうたろうと共演するくらいなのでむしろナイフ舐めウェルカムなのだろう。こういう懐の広さが皆に愛される所以なのだろうか。

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 今日も私はテレビの前でソワソワしている。今まさに映っている佐藤浩市が、おもむろにナイフを取り出しては舐めまわし始めるのではないかと思うと、いてもたってもいられなくなるのだ。


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