逃げ道を残して怒りたい
ある男の先生が低学年の子供に怒っていた。巻き舌が入るようなかなり品の悪い口調で。叱られている子は、その先生が困った子としてよく名前を挙げている子。昨年までと顔つきが全然違う。閉ざしているという表現があうかな…。
ふざけていて、別の子を痛い目にあわせてしまったようだから、叱られるのは仕方ない。でも、怒鳴って良くなることってなんだろう。
怒る 叱る 注意する 言って聞かせる
「怒るべきではなく叱るべきだ」とか「言って聞かせれば良い」とか色々な考えが世の中にある。
当然ながら、答えは一つではないと思う。状況、子どもの個性、保護者の育て方等色々なことが関係してくるからだ。
低学年のうちは特にそうだ。家で、怒鳴られたり、体罰を受けたりしている子は、言って聞かせてもなかなか入らない。ある程度、怒っているんだよという演技が必要になる。逆に、大きな声で叱られたことがない大人しい子もいる。そういう子は、友達が叱られている声を聞いて、怖くなったり、気持ちが落ち込んでしまったりして、学校に行きたくなくなることもある。
中学年くらいだと今度は怒っている演技は効き目がないこともあり、少々本気でエネルギーを使って、気持ちを出していかざるを得ないときもある。
逆に4年生後半くらいからは、教師が熱くなるのを小馬鹿にしてくる子もいるので、彼らが納得できる話をする必要がある。
※これは、地域差があるようです。地方から東京へ来た先生たちに、何度か東京
の子は精神的に2学年くらい違うと言われました。東京の中でも、私は地域
差があると感じます。 (この件、コメントくださると嬉しいです。)
否定的な言葉を聞くのはしんどい
一年だけT.T.担当だったことがある。今は、もうなくなってしまったが、算数でteam teachingが行われていたころだ。ちょうど育休明けで、実質11年目の時だった。
私のいた学校では、T1の先生の授業の中で困っている子を見つけフォローしたり、分担して丸つけしたりするパターンが多かった。(自分がT1をしたり、学級内を2つに分けたりすることもあったが。)
教員になってから初めて児童側に立って授業を受けると、分かりにくい指示が意外と多かった。こちらが思ってもいなかったところで、児童が止まったり、ノートを消して書き直したりしていることにも気がついた。それらは、その後の自分の授業改善に非常に役に立った。(10年研とかに有効だと思う。研究授業するのもいいけど、普通の授業を子どもの立場で受けてこそ見えてくることがあると思う。)
でも、何より辛いなと思ったのは、子供たちが叱られているときだった。(怒るでも、注意するでも、マイナスな言葉は、聞いているだけで自分の気持ちも落ちた。)人が叱られているのを聞くのは、こんなに疲れて自分の気持ちがダウンするのかと感じた。
改善させたいとき
①声に出さない
目で軽く合図を送る、じっと見続けて伝える、近くに行ってノートを机から出す、音読していない子の口元に耳を近づける、教科書を開いてあげる等、姿勢の悪い子の背中をトントンとつついて気づかせる等、声を使わずに改善させる方法をとる。
そうすれば、周りの子には悪い影響なし。
ちなみに、子供たちから名前をつけられたやり方もある。じっと見続けて伝えていたら、周囲の子が「○○、黙殺されてるぞ!」(笑)。高学年の子供のネーミングセンスに感心。
②〇〇するよ〜、〇〇しよう〜 (〇〇しちゃだめ、〇〇しないよ!よりも)
否定語ではなく肯定語。言われた子もイラッとしにくく、周りの子に与えるストレスが少ない。
③全否定せず、いいところを述べつつ注意する。
「いつもそうだ。」ではなく「普段、こんなこともあんなことも頑張ってるのに、今日はどうしたの?」。「理由もなくやる子じゃないから、何かあったんだと思うよ。どうしたの?」
怒られている状況なのに、なぜかほめられている。そこに、子供の「正のエネルギー」がポッと宿るのではないか。
完全に潰すような言い方をする人もいるけど、その子のプライドはどうなるんだろう。否定されて、行き場のない負のエネルギーが生まれるように思う。
どこかに逃げ道を残してあげることで、自分からなんとかしようと思う気持ちになるのではないだろうか。
逃げ道があるとき、逆に「今日は理由はなく、ついやってしまいました。」等正直に言う子が多い。
④子供には失敗する権利がある。
正直に言って来たら、「そうなんだ。ま、子供だから失敗はあるよ。次にしなければいいんだよ。」と伝える。私は、「子供には失敗する権利がある。」とよく言う。なんの失敗もしないで、大きくなる人なんていない。それが通用する場所だと分かれば、子供たちはチャレンジするし、失敗を隠さなくなる。
そうなって初めて、こちらの言うことも心に入るのではないか。私(先生とは滅多に言わない)はこう思うよ、周りはこう感じているよ等と伝える。それが、本人に納得がいく内容であれば、気付きがあり、何かが変わる。子供自身が少しでも変われば、次につながる。
おまけ
とまあ、偉そうに書いてしまいましたが、学校ではなんとかこれに近い対応が経験を重ねてできるようになってきても、我が子には、できないことが多かったです。3番目でようやくでしょうか。3番目になると、他の2人を見ながら育てるので、目が届きません。こちらも、上の子ほど手をかけていなくてごめんねという気持ちがあるから、強く言えない。親や先生は、強い立場すぎない方が、いいのだと思います。
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