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焦げた味噌でもう一献。

 つい数日前はクリスマスと騒いでいたのがウソのように年の暮れである。

 今年一年を振り返ってみると色々な事があった。

 何より大きいのはnoteにエッセイを書き始めたことだ。

 これまではShortnoteというエッセイを専門に掲載するサイトに三年半ほど更新を続けていた。

 それがサイトの閉鎖に伴い文章を書く場を探さなければならなかった。

 あらゆる所を覗いてみたが日常のささやかな出来事を書く所となると探すのが難しかった。

 それでこれまでにお試しで何度か書いたことのあるnoteを利用することに決めたのが半年前である。

 最初こそ息巻いて毎日更新をしようと思っていたが自分の時間を持つことがなかなかできずそれは出来なかった。

 まあ毎日のぼそぼそとした四畳半エッセイを読んでいただくのも心苦しいものがある。

 とはいえ何かを表現したいという欲だけはあるので二日に一回のペースでゆるゆると書いている次第である。

 ありがたいことに半年間でフォロワーの方も増えて、拙いエッセイに対してスキを頂くことも多い。

 広大なnoteの世界で私の駄文を読んでいただけるのは素直にうれしい。

 来年は更新頻度を落とさないようにしたいなと強く思っている。

 そんなことを考えながら今日は仕事納めだった。

 半ドンで帰宅できたので帰り道にスーパーに立ち寄った。

 お正月は実家で過ごすので食料を買い込むことはないが今年一年の自分をねぎらうためにささやかな宴を設けたい。

 スーパーは年の瀬独特の熱気があってざわざわしていた。

 特に年配の方がかごに山盛りに食材を買っている姿を見かけた。

 田舎町なので里帰りを迎えるお爺さんやお婆さんなのかなと想像したりして楽しくなった。

 お正月はお年玉や初詣、旧友との再会などワクワクする事が多い。
 
 何より一番愉快なのは朝からお酒が飲めるという事である。

 大晦日から飲み始めて年越しそばでいったんインターバルを挟んでから翌朝に社会人の駅伝大会を見ながら新聞のチラシをつまみにお酒を飲むのが至福の時である。

 元旦の朝ごはんはとっておきの日本酒とお雑煮で決まりである。

 我が家の雑煮は煮干しと昆布の出汁の鶏肉と小松菜が入っている醤油味のいわゆる名取雑煮である。

 これを食べないと一年が始まった気がしない。

 そして新年に台所に立つのは家長の務めで父が張り切って雑煮を拵えてくれる。

 家族の間でお餅何個?のやり取りがあるのも馴染みの光景である。

 最近は父も衰えたのか台所でよくモノを落とす。

 ボウルやお皿を落として盛大にガシャーンというのもよく耳にする。

 そろそろ次代の家長である私の兄に代を譲ったらどうかと思うのだが兄は料理はからしきなのであまりあてにはできない。

 かといって私がでしゃばるのもそれはそれで角が立つと思う。

 年の初めからギクシャクするのは面白くないのでにこやかに笑顔で過ごしいたい。

 そんなことを考えながら今日は少し豪華な晩御飯にすることにした。

 献立は牡蠣の土手鍋に完全なフライングだが数の子を用意した。

 土手鍋は土鍋にふちに味噌を塗りこんで作る広島風。

 牡蠣は加熱用のぷっくりしたものを買ってきた。

 それに片栗粉をまぶしてよく揉んで汚れを落とす。

 黒っぽいいかにもアクというような汁が出なくなるまで揉み揉み。

 他の具材は白菜、ニンジン、シイタケ、ニンジンとお豆腐で決まり。

 土鍋に出汁をはってふちに味噌を塗っていく。

 沸騰したら味噌を落としてよく溶いて味付けをする。

 その間に数の子の支度をする。

 数の子は歳末価格で高くなる前に買い込んでいるのでそれを食べる。

 前の晩から海水より濃いめに作った塩水につけて塩抜きをしている。

 朝と夕方に水を替えて苦みが出る前に引き上げる。
 
 後は白い膜を取って一口サイズに千切って準備完了。

 その頃には土手鍋も煮えてくるので晩御飯の始まり。

 今日のお酒は少し奮発して純米大吟醸を用意した。

 ぬる燗につけてキュッと飲むと華やかな吟醸香がしてゴージャスな気分になる。

 いつもは純米酒をよく飲むのでその違いが顕著にわかって面白い。

 ではではと数の子をつまむ。

 味付けは醤油とたっぷりの酢と鰹節でいく。

 カプッと噛むとプチプチとした歯ごたえが口中に広がる。

 味と言えば魚卵のそれでそんなに激うまというわけでもないのについ箸が伸びる。

 モリモリと食べているとプリン体…痛風という不景気なコンボが浮かんでくるが気にしないことにする。
 
 年に数度しか食べないものでそんなに悪影響はないだろうと思うことにしている。

 次はメインの土手鍋を食べる。

 ぽってりした牡蠣を食べると口の中に旨味があふれる。

 小さな粒の中に栄養のエキスが詰まっていて心強い。

 何より疲労回復に効果抜群の亜鉛を含んでいるもの嬉しい。

 土手を崩してみそ味になったつゆがまたうまい。

 野菜と絡めて食べるといくらでもいける気がする。

 牡蠣を食べつくした後は締めにうどんを一玉ポンと入れて煮込む。

 即席のみそ煮込みうどんでこれがまた泣かせる味である。

 今日は副菜が少なかったからうどんまでたどり着けて大満足だった。

 お酒は四合瓶がきれいに空になった。

 片づけの時に鍋に張り付いた味噌を洗うのがちょっと大変だが寒い時期にはお勧めの鍋である。

 今日も美味しいご飯が食べられて幸せだった。

 さぁて明日は大掃除だ。

 今年も残りあと三日ですね。

 皆様よいお年をお過ごしくださいませ。
 
 

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