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イケおじと呼ばれたくて。

 早いもので三月も半ば、今日は三月十六日の語呂合わせで3(ミ)10(ド)6(ル)の日なのだそうだ。

 ミドルの定義は35歳から54歳までを指すらしく、それ以上の年齢になるとシニアとなるらしい。

 そうすると私はバリバリのミドル世代で中年真っ盛りである。

 私のイメージするナイスミドルは口ひげを蓄えておりパリッとしたスーツを着こなして常にレディファーストで仕事のポストは部長や支店長といった責任のある立場で、夜になると行きつけのバーで高級なウイスキーのグラスを傾けながらシニカルに笑うという姿を想像する。

 その点私は髪の毛を肩よりも伸ばしている往年のキムタクスタイルでスーツは吊るしの安物を着たおしている。

 女性からは気が利かないんだからと呆れられることは多数だし、仕事もそんなにパッとしない。

 お酒は大好きだがよく飲むのはもっぱらビールでたまに飲むウイスキーは国産の安物に決まっている。

 この歳になっても毎週アニメを熱心に観るし、ゲームもよくやっている。

 横断歩道を歩く時には白いラインの上から落ちたらサメに喰われると想像して大股で歩くしバスに乗った時は降車ブザーを押したくてウズウズする。

 そんなとっちゃん坊やっぷりを日ごろから遺憾なく発揮している。

 子どもの頃はダンディでスマートな大人になるつもりだったのにあまりの進歩の無さにため息が出そうになる。

 理想としては弘兼憲史の漫画に出てくるような大人の男になりたいと思う。

 四十代も折り返したのでミドル世代と呼ばれるのもあと約十年。

 私はゴルフはやらないしカラオケは学生時代は熱狂したが最近ではすっかりご無沙汰である。

 後はギャンブルもパチンコは騒音とタバコが苦手なのでやらない。

 競馬や競輪も見るのは好きだが賭けることはしない。

 いわゆるおじさんの趣味はことごとく肌に合わない。

 なので人と親しくなるきっかけを作るのにいつも苦労する。

 特に私の住んでいる田舎は娯楽があまりないので暇を持て余したおじさんの行きつく場所はパチンコになりがちである。

 なので世間話でどの台がアツいとか確変で大勝したと自慢する人がごまんといる。

 その度に私は興味ないなぁと思いつつ、相手に調子を合わせる。

 正直パチンコをする時間があれば映画を観たいし、本も読みたい。

 ギャンブルで借金が膨らんで夜逃げした人も知っているのでますます足がそちらに向かない。

 身を持ち崩してしまった人を他山の石として分別のついたナイスミドルを目指したい。
 
 そんなことを考えながら昨日の晩御飯は何食べたっけと思いだす。

 まずは買い物から。

 行きつけのスーパーで鮮魚コーナーに足を運んだ。

 何かいいものあるかな~と思って見てみると冷凍のシーフードミックスがセールで半額になっていた。

 お、これはいいと思ってかごにイン。

 これを使った料理となると…。

 そうだ焼きそばにしようと閃いた。

 そうと決まれば後の買い物は楽勝。

 焼きそば麺を買って後は野菜をいくつかとお酒。

 レジで会計をして帰宅。

 早速調理開始。

 シーフードミックスを塩水に浸して解凍する。

 レンジで解凍すると硬くなったり萎んだりするのでこの方法がおすすめ。

 大体三十分くらい置いておけばいい。

 その間に他の具の用意。

 キャベツをざく切り、玉ねぎを細切り、もやしを水洗い。

 麺をレンジで温めてほぐしておく。

 これで下ごしらえは完了。
 
 副菜はクリームチーズに白だし、醤油、千切った海苔を加えてよく混ぜる。

 後はクラッカーに塗って海苔クリチーの出来上がり。

 汁物は簡単にキャベツのかき玉汁。

 居間に焼きそばの材料を運んでいただきます。

 ご飯だよーと言って妻を呼ぶ。

 何はともあれまずは乾杯。

 昨日は二人ともレモンサワー。

 カチンとグラスを合わせてギュビッと飲むと爽やかな酸味と炭酸の刺激が心地いい。
 
 さっそくホットプレートの電源を入れて油を敷く。

 温まったら野菜を入れてさっくり炒める。
 
 しんなりしてきたらシーフードミックスを投入。

 しっかりと熱を通していく。

 ここで塩コショウをして軽く下味をつける。

 そこに麺をほぐしながら入れて日本酒をドボリ。

 味付けは我が家の定番おたふくソースとオイスターソース。

 全体に馴染ませるように炒めたら出来上がり。

 仕上げに鰹節を振ったらシーフード焼きそばの出来上がり。

 アツアツをお皿にとってモグッと食べる。

 出来たてなので口の中を火傷しそうになる。

 ホフホフしながら噛んでいくと海鮮の美味い味が広がる。

 イカとエビがプリプリでアサリの貝特有の濃い旨味が出ている。

 それを甘じょっぱいソース味がまとめておりなかなかイケル。

 普段は豚肉を使った焼きそばばかり作っているので海の味がするものは新鮮だった。

 途中でちょっとマヨネーズをつけるとこれまたまろやかな味になって楽しかった。

 合い間に食べるクラッカーも海苔の風味が効いておりクリームチーズとの相性が良かった。

 妻も美味しい美味しいと言ってパクパク食べていた。

 三玉使った焼きそばを二人で完食。
 
 さすがに食べ応えがありお腹いっぱいになった。

 片づけをしながら海鮮バーベキューに行きたくなった。

 ポカポカと暖かい春の夜にお酒を飲みながら炭火料理を食べる。

 おっ、何だか大人っぽくありませんか?
 
 ナイスミドルへの道、登ってみようかな。

 大丈夫まだ間に合う…と思いたい。

 


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