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飲んで飲んで飲まれて飲んで。

 今日11月16日は語呂合わせでいいビール飲みの日なのだそうだ。

 といってもジャンジャンお酒を飲みましょうというわけではなく、適正な量のお酒を楽しみましょうというのがこの記念日の趣旨である。

 特に男性に比べてアルコールの分解時間が1・3倍かかる女性に対して過剰摂取をしないように啓蒙しているとこのこと。

 私は成人してからずっとお酒を飲み続けている。
 
 最近でこそ休肝日を週に一度から二度確保するようにしているがそれでも少々飲みすぎかもしれない。

 これまでの人生で一番飲んできたお酒は間違いなくビールである。

 多い頃には毎日三リットルは飲んでいた。

 よほど相性のいいお酒なのかビールだけ飲んでいて酩酊したことは一度もない…と思う。

 一番よく飲んでいた時期は結婚する前の二十代後半で仕事でストレスを抱えると発散のために同僚とよく飲み歩いていた。

 まず居酒屋で生ビールを四杯くらい飲む。
 
 それから少し度数の強い焼酎やホッピーなんかを頼む。

 下地が出来たところで二軒目に行く。
 
 そこでもまずはビール。

 瓶ビール中瓶を二本飲んでからウイスキーの水割りを飲む。

 水割りを三杯くらい飲んでいるとふわりと酔いがやってくるので気持ちが良くなる。

 三軒目はキレイなお姉さんのいるスナック。

 そこでもキープのウイスキーをロックでチビリチビリ舐めながらカラオケでやしきたかじんなんかを歌う。

 お姉さんのあまりやる気のない接客も妙に居心地が良かったものである。

 その時点で酔いは七割くらいで足元が覚束なくなる。

 それでも締めに屋台に立ち寄ってラーメンとおでんを大量のビールで流し込む。
 
 そんな飲酒スタイルを数年続けていた。
 
 当然健康診断で肝臓の数値は芳しくなかった。

 血圧も高いし中性脂肪は目も当てられないとあまり健康体ではなかったのだがそれでも特に危機感もなく飲んだくれていた。

 ある日酔っぱらって寝ていたら、左足のくるぶしに言葉にできないような激痛が走った。

 うわわ、イテテ!と叫びながら布団から飛び起きて電気をつけて痛い所を見ると真っ赤に腫れあがっていた。

 それを見た瞬間にこれはもしやと思いつくことがあった。

 眠れない夜を過ごして病院に這う這うの体で駆け込むと主治医の先生は何とも嬉しそうな表情ではい、立派な「痛風」ですと告げてきた。

 すぐに痛み止めの薬を貰って何だかんだで五日間くらいは苦痛に耐えぬかなければならなかった。

 その日以降、病院では尿酸値を下げる薬を処方してもらっている。

 あの痛みを知ってからは馬鹿みたいにお酒を鯨飲することも控えるようになった。
 
 大好きなビールも週に一度程度にするようにしている。

 何といっても痛風の痛みはペンチで足をつねられつつ、電動ドリルで穴を開けられながら巨漢の相撲取りが足首で四股を踏んでいるような痛みが延々と続くので正直二度と発症してほしくない。

 痛風は遺伝的要素も強いらしく私は祖父も父も痛風持ちである。

 そんな痛風サラブレットの私から言える事は休肝日はしっかり設けなさいという事である。

 ようし、決めた今日も休肝日にするぞう。

 そんな殊勝な心掛けの私の昨夜の晩御飯のお話をどうぞ。

 昨日は妻が友達とお出かけだったので実家に顔を出してきた。

 七時ごろにお邪魔するとちょうど兄が仕事から帰ってきたところですぐに晩御飯になった。

 何か手伝おうか?と母に聞いたらもう準備はすんだよというので大人しく座って息を吸うようにビールのプルタブをパァシッ。

 父と乾杯してグラスにタタンタン。

 キュウビィと飲むとビール好きの血が騒ぐ。

 つまみは豪華に天然のカレイとサザエの刺身。

 漁協の直売所で朝買い求めたという事で鮮度は抜群。

 わさび醤油でカレイを食べると身が甘くてプリプリした歯応えで絶品だった。
 
 父もこの刺身は美味いのぅと言ってご機嫌だった。

 サザエもコリッコリで旨味が濃い。
 
 これはお酒が進むなぁと言ったら母に飲みすぎないようにねと釘を刺されてしまった。
 
 は~いと返事をしてメインの焼き鳥の準備をする。

 焼き肉グリルで鶏の手羽先を焼く。

 火を点けて網が温まったらお肉を乗せていく。

 もちろん皮目から。

 塩コショウを振ってからひっくり返す。
 
 グリルの下に落ちた鶏の脂で白い煙が盛大に上がる。

 換気扇をマックスにして焼き続けて身がぷっくり膨れてきたら火が通ったサイン。

 アツアツのうちに齧ると香ばしくて脂がギュッと詰まっていて食べ応えが十分である。
 
 これはいいねぇと私が言うと兄が次は俺が焼いてやろうと言って鶏肉を並べだした。
  
 兄は焼き物の才能に長けているので出来上がった焼き鳥は私の物より三割増しで美味しかった。

 兄さん、さすがだねと言うとまんざらでもないようだった。

 それでこそおだてながらその隙にビールを二本飲んだ私のせこさも際立つというモノだ。

 お腹いっぱいになるまで食べてご馳走様。

 食後の片づけをみんなでしてからコーヒータイムを待ったりと過ごして、帰りは母に送ってもらった。

 近所に実家があるのはありがたいなといつも思う。

 昨日も父とお酒を飲んで深い話をしたかったのだがテレビっ子の父は大家族ドキュメンタリーに夢中であまり絡めなかった。
 
 今度は外で飲もうかなと思った。

 いやだなぁ昔みたいにバカ飲みはもうしませんよぅ…多分。

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