すみれ(Sumire)

海外就労情報を執筆し、書いたものが誰かの役に立てばいいと思っている。

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最近の記事

こんな時どうする?   見知らぬ土地で置いてけぼり。

2015年の夏、よくある海外添乗員つきバスツアーに参加した。 旅程は、ロンドンからバスでアムステルダム、ベルギーのブルージュ、フランスの港カレイからイギリスへフェリーで戻るという単純なもの。 ロンドンから、一人で参加した私はその旅程で同じく一人参加をしていたコロンビア人のケイトと仲良くなり、道中をともにすごした。 写真には満面の笑顔の私たちが映っている。 アムステルダムの夜までは。 翌昼に観光バスはベルギーのブルージュへ到着した。 観光バスから下車した我々は、ブルージ

    • ロンドンで賃貸をしたら詐欺にあった話

       ロンドンで賃貸をする場合、どのような手段があるだろう。 1,不動産屋に探してもらう。 これが一番てっとり早い。 経済的に余裕のある駐在員なんかはまずこれを選ぶ。日本語対応している不動産屋もざらにある。仲介手数料がかかり、比較的高価な物件のみを紹介していることから、ダントツでお金はかかるが、ブルジョワジーであれば問題なく便利に使える。 では、ブルジョワジーではない人々は? ワーキングホリデーという位置づけで、僅かなお金とビザだけを握り占めて渡英した私や、家族カードをもたさ

      • #13 下船の日 Disembarkation

        乗船から8か月が経った8月のよく晴れた日、クイーンエリザベスは英国サウザンプトンのドックに着いた。下船の日だ。 乗船から8か月。 8か月前にこの港から、緊張しながらも、船と繋がった稼働式の階段を上がり、乗船をした日が遠い昔のように感じられた。今日はその階段を下り、おそらくもう上ることはない。 8か月で50を超える港に着いた。 カナリー諸島から、サウスアフリカへ。 アフリカでは右足の付け根に激痛がはしるという謎の病にかかり、自然な歩行が困難になった。1か月ほど片足を引いて歩

        • 海外就労をすると英語はペラペラになるの?

          海外で就労する、物理的に働く場所を変える。生活環境を変える。つきあう人間を変える。 そうすることによって、英語ってペラペラになるの?と聞かれることがある。 仕事をしているうちに気が付けば英語が口から自然と溢れて、、、という夢のようなコメントをかつて海外就労パンフレットで見たことがあるが、そんなことはない。断言する。大人の語学の習得には時間がかかる。 けれども、海外就労を通して我々が英語を使えなかった大きな理由がわかった。 それは、積年にわたる発音の勘違いだ。 日本の学

        こんな時どうする?   見知らぬ土地で置いてけぼり。

          #12 海の上の美容部員

          客船はネイビー(海軍)の系譜と関係があるのかそうでないのかは定かではないが、規律正しく、細々としたこともすべて規則で決まっている。 船内のヒエラルキーは明確かつ厳格で、 オフィサー(マネジメントクラス、医療チーム、シンガー、ピアニスト、通訳)と、 スタッフ(カメラマン、カジノスタッフ、スパチーム、我々セールスチーム)と、 クルー(ホテル・レストラン部門) はそれぞれに、食堂も、使えるランドリー(洗濯部屋)も、入れる客室エリアや使えるレストランも分かれていてる。 ちなみ

          #12 海の上の美容部員

          #11 そして私は世界一有名な豪華客船のクルーになった

          2016年1月10日 ロンドンから2時間ほどの港町、サウザンプトンの船着き場で早朝7時から船を待つ。待っているのは、世界一有名な英国客船”クイーンエリザベス” 乗客2000人程度の大型船だ。エリザベス専用ドッグの待合所にはまだ誰もいなかった。 私は相変わらず70リットルのスーツケース1つをもって、トレンチコートの右ポケットには、新しくアメリカとオーストラリアのビザの加わったパスポートと、健康診断書(ドラッグテストのパス証明書)をすぐに出せるように用意していた。今日イギリス

          #11 そして私は世界一有名な豪華客船のクルーになった

          #10 イギリスの就職面接 こんなに色々やるのか。

          Day151 Bristol UK west ロンドンからずいぶんと西へ進んだ港町 Bristol には、もっともイギリスらしい霧雨が降っていて、すっかりと紅葉した銀杏の葉を落としていた。 Job interview (面接) を終えたばかりの私は、未だ興奮冷めやらぬ頭で銀杏の敷き詰められた小道を歩いた。 霧雨。 「あなたには龍神がついている。あなたの気持ちが昂ると、龍神が踊り雨を降らせる。雨が嫌なら龍神をなだめなさい」と、 大昔に、いかにも胡散くさい六本木の占い師が私

          #10 イギリスの就職面接 こんなに色々やるのか。

          #8 大敗して時間切れ ロンドン就活、せざるをえない軌道修正。

          【DayXX】End of Aug 8月終わりのロンドン郊外 ロンドン行きの列車がやってくる駅。一人列車を待つ。内ポケットにはついさっき稼いだ1500ポンドの小切手がある。 誰もいない、屋外のぼろぼろのベンチ。相変わらず曇った空を見ながら私は静かに泣いていた。 ロンドンへ来て以来、初めて泣いた。列車がくるまでの間、そうしていることを自分に許した。なにせ、日々は続く。私はこれからも、明日も明後日もやってくるのであろう日々に立ち向かわねばならないのだから、列車がくるまでの間は

          #8 大敗して時間切れ ロンドン就活、せざるをえない軌道修正。

          #7 ロンドンで55回分の血を売った話

          DayXX London Hostel の小部屋で財布から現金をすべて出して数えた。何度数えても現金はおおよそ170ポンド。家賃にして1週間と数日分だ。これからどうする。 自分が目指したものと無関係の仕事をするくらいなら、英語の勉強に時間を注ぐ。 そう決めてあの日本食・寿司レストランを辞めたものの、それが続けられるのはあと1週間あまりしかない。そして、1週間以内に仕事が決まる兆しはまるでなかった。 私は、携帯電話を取り出し、とある電話番号へかけ、短い話をしたその足でC

          #7 ロンドンで55回分の血を売った話

          #6 夜明け前がいちばん暗いって聞いたことがあるけど夜明けってほんとにくるんだろうか。

          アルバイトを辞めた私は、毎日が自由時間となった。 朝起きて、オンライン英会話を60分。 8:00になると朝食をとりに食堂へ降りた。周りの幾人かは朝食を食べ終わると、かつての私のようにどこかへ働きにいく。私には行くべきところがない。 朝食を終えると、単語学習をした。シャドウイングや書き取りもはじめ、一番意識していた発音の勉強もするようになった。 18:00になるとまた食堂へ降り、夕食を済ませるとIndeedの時間だ。 相変わらず、気になった企業へ一方的に履歴書を送り続

          #6 夜明け前がいちばん暗いって聞いたことがあるけど夜明けってほんとにくるんだろうか。

          #5 予想以上の難航 ロンドン就活の道は険しい。

          深夜1;00を過ぎて、私はPCを開き、デスクトップに唯一張り付けてあったワードファイルを開いた。何度も推敲して書き上げた、イギリスでCV(Calcium Vitae)と呼ばれる履歴書だ。 私は、化粧品業界でマーケティングの仕事を探していた。憧れの業界で、一度社会人を辞めて行ったアメリカの大学で学んだマーケティングと英語を活かして、業界違いだが ”プラダを着た悪魔” のような世界でバリバリと働くことを夢みていた。 それを目指してここへ来たのだ。 しかし、関連するまともな職務

          #5 予想以上の難航 ロンドン就活の道は険しい。

          #4 7日目のロンドン アルバイトを始めた。

          【Day4】Hostel at London belsize park ロンドンへ到着して6日目にして、かつてなく長い睡眠とホステルから提供される食事にあずかる日々をひたすらに5日間繰り返した結果、私の高熱はようやくすっかりと下がった。 ちなみにロンドンには公共の病院があり、誰でも無料で医師に診てもらうことができる。住んでいる地域で登録をするだけで病院へ行くことができ、登録をしていない人でもウォークインというシステムのある病院では、まる1日、待つ覚悟はいるが、誰でも無料で

          #4 7日目のロンドン アルバイトを始めた。

          #1 所持金10万円ではじめたロンドン暮らし ヒースロー空港で夜明けを待つ。

          【Day1】 4月某日 ロンドンヒースロー空港に到着した。 所持金は約10万円程度、当時で630ポンドほどだった。 最安の航空券を買ったので、到着時刻は何かと都合の悪い23:30 この時間から一泊するために宿代を払うつもりはなかった。iPhoneに【ヒースロー カフェ 24時間】と打ち込み、カフェで仮眠をとることにした。 空港内は常に高速のWifiが自由に使える。 カフェを検索した後に、今度は【ヒースロー空港 シムカード】と打ち込み、その入手場所を確認すると、幸い

          #1 所持金10万円ではじめたロンドン暮らし ヒースロー空港で夜明けを待つ。

          ロンドンから持ち帰った1番おおきなもの

          前回から引き続きホステルについて書かせていただいておりますが、 帰国後に就職面接を受ける際、友人と他愛ない会話ので「海外へ行く前と行った後で何が一番かわった?」と時々聞かれます。 英語力がネイティブ並みになりました! とかそんなかっこいいことを答えられるようになりたい、なんてひそかな願望をもちながら渡英し、帰国をしましたが、いざ何が一番かわったか、と問われると、 コミュニケーション能力でした。 ひとの話したいことを傾聴できる力。ひとに興味をもつことができる力。 養わ

          ロンドンから持ち帰った1番おおきなもの

          #0 イギリスワーホリ 必要な装備とリスク

          ロンドンへ行きたい。英語力を向上させたい。海外で仕事がしたい。 資金、情報、英語力。可能であれば準備しておきたいものは山ほどある。 けれどそれらの装備を整えているうちに、時間は消費されていく。 結論から言うと、 10万円、クレジットカード、iPhone、パスポート、ビザ、レストランでアルバイトができるレベルの英語力。 これさえあればロンドンで暮らしを始めるこができる。というか、できた。 これ以上のものを揃えるために時間を消費し、行動を遅らせることはむしろリスクだ。 な

          #0 イギリスワーホリ 必要な装備とリスク