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医療従事者における手指衛生の有効性比較 最新のシステマティックレビュー
はじめに
世界保健機関(WHO)は、手洗いならびに手指消毒の方法として、6ステップ法を提唱しています(図の2-7)。この6ステップ法による手指衛生は手指表面の微生物低減にどの程度有効か明確ではありませんでした。
今回ご紹介する論文は、WHOが英国の研究センターに委託し、6ステップ法の有効性を他の手指衛生方法と比較・検証したレビューです。
方法
Medline、CINAHL、ProQuest、
内視鏡的逆行性胆道膵管造影に使用した十二指腸内視鏡の細菌汚染の代替指標としてのアデノシン三リン酸測定法に関するシステマティックレビュー
はじめに
米国では、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)に使用する十二指腸内視鏡(十二指腸鏡)の洗浄・消毒不足による多剤耐性グラム陰性桿菌のアウトブレイクが問題となっています。私(大石)は2017年に、米国の軟性内視鏡に関する洗浄・消毒のオピニオン・リーダーの方々とディスカッションする機会がありました。話題の中心は十二指腸鏡で、日本ではなぜ十二指腸鏡を介してのアウトブレイクがないのか?などという
中心静脈ライン関連血流感染予防のための消毒バリアキャップ: システマティックレビューとメタアナリシス
はじめに
血流に侵入した細菌が心臓弁や椎体に付着すると重篤な感染症に進展する可能性があり、血流感染予防は重要です。特にカテーテルからの細菌の侵入は、効果的に予防できる様々な方法があるため、医療現場で活用されています。
今回ご紹介する論文は、中心静脈ライン関連血流感染(CLABSI)の予防を目的とした消毒バリアキャップ(参照: https://multimedia.3m.com/mws/media/
漂白消毒剤ワイプへの着色剤添加による医療センターでの清拭・消毒効果向上
はじめに
入院患者からクロストリジウム・ディフィシル(CD)やノロウイルスが検出あるいはアウトブレイクした際には、次亜塩素酸ナトリウムによる患者周辺環境の清拭・消毒が推奨されています。環境の清拭・消毒は実施者による均一性・確実性が問題になることがあり、清拭・消毒の効果が担保されにくい課題があります。
今回ご紹介する論文は、次亜塩素酸ナトリウム製剤(原文では漂白消毒剤と記載)に青色を着色することによ
β-ラクタマーゼ産生腸内細菌科細菌の予防における接触予防策の有用性を否定するエビデンスの増加
はじめに
Extended-spectrum β-lactamases-producing Enterobacteriaceae(ESBL-E)は、抗菌薬耐性菌として最も注意を払う必要がある重要な病原体です。本研究は、ESBL-Eが汚染した環境や感染した患者に対する接触予防策の予防効果に関する現在のエビデンスを明らかにすることを目的としました。
方法
2010年初頭から2022年10月18日ま