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映画「ドラえもん」を語り倒す 第4回:のび太の魔界大冒険

シリーズ第4回目です。3回続けて「鉄人兵団か海底鬼岩城をレビューします」といって破っているので、反省して「魔界大冒険」をレビューします。

先日次男の映画デビューもかねて「宇宙小戦争(リトル・スターウォーズ)」のリメイクを観に行きましたが昨今のリメイクの流れに沿う形で突拍子のない改悪などはなく、なかなかの良リメイクでした。この映画公開の副産物として今Amazon Primeでドラ映画がすべて見放題なのが熱いです。この機会に長男が見れてないものを片っ端から見ようと思います。

ではいつも通りネタバレ全開で「魔界大冒険」をレビューします。

魅力①:ドラ映画屈指のドストレートな異世界冒険活劇

ドラ映画と言えば毎度毎度パーティーがワクワクハラハラする冒険活劇と思っている方も多いでしょうが、実は冒険そのものに比重が置かれているRPG的な作品って意外と少ないんですよね。そんな中この魔界大冒険は、中盤の魔界星突入からはもうずっとワクワクハラハラな冒険でして素晴らしいです。

1. 黒い炎に包まれた魔界星に突入(ここでじゅうたんが燃える描写が普通に怖い) → 2. 氷の世界には悪魔たちの出城 →3. セイレーンが歌いツノクジラが襲う「人魚の島」→3. 魔界のハイエナがうろつき方向感覚を狂わせる「帰らずの原」→4. 恐ろしい獣がうろちょろする「魔界の森」→5. 大魔王デマオンの城…

と、もはや一つのRPG作品です。(記憶で書いてるので順番違ったらスイマセン)とにかく魔界の星が良くできてまして、後述する美夜子や斥候の一つ星悪魔の地球でのバトルのおかげもあって終始すげえ緊張感。冒険ものとしてみると、ドラ映画の中ではこれか「大魔境」が頭一つ抜けている気がします。

魅力②:ドラ映画屈指のバトルヒロイン美夜子と血沸き肉躍る魔法バトル

ドラ映画には毎度ゲストキャラクターが出てきて、そのたびにコミュ力モンスターのび太が(その後二度と会わないにも関わらず)友情を深めるのですが、そんな中でもリルルに次いで人気なゲストキャラクターが魔界大冒険の誇るバトルヒロイン、満月美夜子ではないでしょうか。

このヒロイン、普通にクソ強いしクソ勇気あるし映画の大半猫の姿だし、衣装破廉恥だしくっ殺描写もあるしで、人気出る要素をこれでもかとぶっこんだ屈指のキャラクターです。どこぞの海底人とか天上人とはえらい違いだ。

で、そんなバリバリに魔法で戦いまくる美夜子さんなのですが、超序盤の自身の屋敷周辺の森で一つ星悪魔+使い魔といきなり魔法バトルを繰り広げます。ちなみに当作品の悪魔は帽子の星の数 *で強さが決まっており、一つ星は最下級です。

*この「強さの数を示した星の帽子を悪魔にかぶせよう」っていうアイデア、ともすると怖すぎる存在になる悪魔に星の帽子をかぶせることでちょっとしたかわいさを出すとともに、子供にも分かりやすく強さの階級社会&国民皆兵制なんだなということを描写してる、めっちゃすぐれた手法なんですよね。昔のドラ映画は本当にこういうのがうまい。

その魔法バトルが個人的にめっちゃお気に入りで、美夜子「立て!火柱」VS一つ星悪魔「落ちよ水柱!」の掛け合いは興奮せざるを得ません。そして使い魔に邪魔されたとはいえ、そこまで一流の魔法使いと描写されていた美夜子が一つ星悪魔に苦戦、というか敗北します。繰り返しますが一つ星悪魔は最下級兵です。

…という地球バトルがあったからこそ、悪魔の軍団がわらわらおり、かつそれらでも恐れるという帰らずの原や魔界の森を擁し、それらすべての頂点に君臨する大魔王デマオンを討伐するという魔界星攻略がいかに困難な物かが頭ではなく心で理解できる作りになってます。すげえなこの作品。

魅力③:トラウマ必至。怒涛のホラー展開

この「魔界大冒険」、例のメデューサのシーンがトラウマシーンとして超有名なのですが、他ももうシリーズの中でも屈指の戦闘力を誇る悪魔たちを相手にしているがゆえにトラウマ描写のてんこ盛りです。

・意味不明なドラとのび太の石像 ・満月邸の石像破壊  ・魔法のじゅうたん全焼 ・白目の人魚の何とも怪しい歌と霧 ・悪魔の骨のリピート帰らずの原 ・石ころ帽子全速力逃走劇 ・メデューサ追撃 …

石像はもちろん終盤までの伏線なのですが、それも月夜になぜか廊下に置いてあったり(ここのドラえもんの「やわらかい石なんだよ」というセリフは最高にアホすぎて好き)、悪魔も悪魔の乗り物も白目が多かったり、石ころ帽子してんのに匂いで追撃されてほぼ全員つかまったり…と、まあなんというかドラえもんたちは珍しくちゃんとやってるのに悪魔軍側がクッソ強いので普通に怖いシーンが超多いんです。てか星の帽子つけてないし時の流れは泳いでくるし魔法の存在しない現代で一撃必殺の魔法かましてクールに去るし、メデューサ本当何者なんだよ。

まあそんなわけでのび太は前述の美夜子を見捨てて逃げなければならないという、これまたドラ映画にしては中々ハードな展開です。まあその後はパラレル西遊記しかりで、大方どーしよもなくなった時に前触れなく現れるアイツが全部解決してくれるんですけど。

おまけ:もしもボックスの恐ろしすぎる真実

これまたドラ映画にありがちなのですが、この作品のキー道具である「もしもボックス」に、おっそろしい真実が明かされます。え、それって今までのび太が超適当に作ったあの世界もあの世界も…、ってことで個人的には個々が一番ホラーでした。こんなツッコミは野暮だと重々承知しておきながら、本当22世紀の秘密道具は人間の尊厳を軽視しすぎだ。


ということで第4回は魔界大冒険を語り倒しました。この映画もやっぱ好きだなあ。ちなみに未見なので記事で触れておりませんでしたが、リメイク版では美夜子とのび太があれな感じになったり、メデューサの正体が〇〇〇になったりしているそうです。別物としてみる分には面白い…のかもしれません。

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