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微力でも無力じゃないから【訪問記 〜日本アニマルトラスト@大阪〜】

凝縮した臭いと、突然始まる重奏になって吠える声。

興味津々だったり、怯えていたり、よそ様を迎えた彼らの眼差しに囲まれながら、歩き回る。

シェルターで過ごす犬は、9割以上が中・大型の雑種だろうか。


動物の孤児院 “ハッピーハウス” は、このまま進んで大丈夫なのかしら?と少しばかり不安を感じながら細い一本道を行った先の、大阪の能瀬の山奥にある。


保護犬猫あわせて600頭近くが生活するシェルターで働くスタッフは、40
名程度。獣医師やトレーナー、宿直の夜勤スタッフもいる。



”30年以上、何とか寄付だけで継続してこれました。これでもうちは、よく回っている方だと思います。”

施設を案内くださったスタッフの話に、その言葉以上のものが汲み取れる。

30年の間に、国内でどれほど多くの災害があっただろうか。他の大きな団体もそうかもしれないが、そうした緊急時には、迷い犬猫の受け皿となってきた。



”今はまだいいですが、これから本格的な暑さがやってきたら、スタッフも動物もきつい。シェルター内で暑さで倒れてしまう子もいます。冬は本当に寒くて、掃除をして水を流すとすぐに凍ってしまうんです。私たちは、朝早くから仕事をして、昨今の残業代未払いがどうしたこうしたという世界とは、関係のない毎日です。”


犬用施設のほとんどは、冷暖房設備がない。

診療所や、最期を迎える老犬のための部屋など、ほんの一部だけに空調設備がある。


施設内の”ヘミングガーデン”では、雨の日を除いて、午後の決まった時間になると、犬たちが走り回る。
15分程度の自由時間である。

“ヘミングガーデン”という名称から想像がつくとおり、
ピアニストのフジコ・ヘミングさんの寄付によって建てられたシェルターが、ガーデンの周りをぐるっと囲む。


自分の気持ちが、どんよりと重くなるのを感じた。


小型犬は問い合わせが多く、すぐに決まっていくそうだ。

中・大型の雑種犬は、つまり、きっと、その多くがこのシェルターで一生を終えるのかもしれない。


こうした活動に携わる人が感じる ”やりがい” の一つが、シェルターで暮らした子たちがおうちを見つけて、”幸せ報告” を受け取るときだろう。

本当は、この子たちの幸せのために、いのちを繋いでいる活動なのだと思う。


寄付によって、大きなシェルターが建てられたよ。
環境に恵まれない犬猫をもっと保護できる、よかったね、では決してない。



ここにいることが、この子たちにとって、幸せではないんです。早く、譲渡先を見つけてあげたいんです”

2011年の東日本大震災で保護され、大阪のこのシェルターまでやってきた子たちも、まだ暮らしている。

ここでも、復興は終わっていない。



先日のクラウドファンディングで資金が集まり、この老犬介護部屋のテラスに、屋根をつけてあげられることになったんですよ”

少しばかり、スタッフが明るい表情になって、話した。



※トップの写真は、絶賛里親さん募集中の「すめし」ちゃん。


▼公益財団法人 日本アニマルトラスト▼

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今回、見学させていただいたのは、下記の●印をつけた施設です。

●受付
診療所
事務所

シャイ猫部屋(人慣れしていない猫)
キャリア部屋(エイズや白血病の猫)
●薫ちゃんハウス(人慣れしている猫)→普段は一般開放している

●シニア部屋(高齢の犬)
●ふれあいサークル(友好的な犬)
●老犬介護部屋(介護の必要な犬)
●外犬舎(中・大型の元気な犬)
犬ハウス(病気、集団生活で体調を崩す、保護されたばかりの犬など)


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