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【IB日本語A】Literature Paper 2 を攻略しよう!

コロナ禍の2021年にIB文学の新しいシラバスが導入されてから、早2年が経ちました。
2023/5に行われた試験で、日本語A文学のPaper 2が導入されました。
そんな不安だらけのfirst examinationで29/30(7相当、SL)を取ることができた私の攻略法について、今回は書いていこうと思います。

ちなみに、私は生粋の帰国子女で、DPでself-taughtを取るまでは4年ほど国語に触れることはありませんでした。さらに、Paper 2の対策を始めたのはファイナル半年前。そんな私でも高得点を記録することができたので、きっとみなさんもできるはず!

そもそもPaper 2って?

Paper2は授業で習った2つの作品を1時間45分分析、比較する小論文です。扱う作品は、翻訳作品でも日本語で書かれた作品でも構いません。Paper1は初見の作品を分析するのに対し、Paper2は授業で長い時間をかけて分析した結果を出すことができます。

つまり、準備さえきちんとすれば、確実に高得点を取れるのです。

多くの学校で、2〜4作品をPaper2用として準備するかと思います。私の学校の英語Aクラスは2作品、私のチューターの先生が指定した作品数は3作品でした。ですが、IO用に勉強した作品で扱わなかったものを個人的に気に入っておりよく覚えていたため、実質5作品用意して私は臨みました。個人的に、5作品も読み込む必要はないかと思いますが、2作品は心許ないのではと思います。

主な構成

  1. 設問への導入(何についてどの作品を分析するか、言葉の定義など)

  2. 作品の要約、主題

  3. 小論文でやること、方針(本小論文では…)

  4. 作品Aの分析

  5. 作品Aの分析結果

  6. 作品Bの分析

  7. 作品Bの分析結果

  8. A、Bの比較

  9. 結論

設問への導入では、設問に出てくる重要な単語の定義を設定したり、分析の目的を明らかにする必要があります。分析も始めていないのに何を書けば良いんだ?と考えるかと思いますが、ここでは設問を自分の言葉で置き換えるだけで十分です。

作品の要約、主題に関しては、先生によって必要な方と必要でない方がいるかと思います。ですが、私はCriteria Aのために書くようにしていました。また、分析の内容を考えながら要約を書くようにしていたので、時間は無駄にせず書けていたのではと思います。何度も書くうちに自然と覚えるはずです。また、作品の主題を確認し設問との関連性を見せるという意味でも私は重要視していました。

3にたどり着く前に、導入を書きながら下書きを同時進行で書いていました。導入はパターン化していたのでなにも考えず、これから書く内容を考えながら書きました。そうすると、3にたどり着く頃に大体の方針が見えてくるので、「作品Aでは、作者はXXを用いることでーーを実現させることに成功している。また、作品Bでは…」と導入をまとめ、小論文の方針を見せることができます。

そして、分析本番に入ります。両作品同じくらいの量、クオリティで書くため分析対象の数は同じにすることを意識しました。分析で着目すべき点は、設問で設定されていることもありますが、もしオープンな場合は
-文体
-表記
-漢字や言葉の使い方
-象徴
-比喩表現
-反復
-登場人物の心情の移り変わり
などに着目すると良いと思います。あまりに複雑な技法の名前を覚えていってもきちんと分析できなければ意味がないので、シンプルなものをいつも扱うようにしていました。また、分析で重要なことは、これらの作者の工夫がどのように読者の理解や解釈に影響するのかということについて言及することだと私は思います。さらに、もし作者の思想が色濃く反映されている場合、もしくは作者の特徴的な書き方がある場合、設問と関係があればそれについて言及することも良いと思います。私はよくやっていました。

両作品をそれぞれ分析した後は、比較に入ります。共通点、相違点を見出していきます。共通点を見つけるのは難しいと思うかもしれませんが、基礎的なことでも良いので書くようにしましょう。また、技法的なことだけでなく、設問に繋げられるならば作品の内容でも良いと思います。

例: どちらも象徴を用いて読者のイメージに訴えかけるとともに、象徴がもつ自由度を活かし、様々な解釈を可能にしている。さらに、読むたびに新たな解釈に気付けるという点も、両作品を「もう一度読みたい」と思わせ、読者を楽しませるための工夫なのである。(技法関連)
両作品ともに、登場人物の成長を扱うという点で共通している。XX、YYという観点で異なっているとも言えるが、それは〇〇が関係していると考えられる。(内容系)

また、ここで私がよく書いていたことは、2作品から文学社会全体について言及するということです。例えば、

書かれた時代や国は違えど、どちらも象徴を用いて登場人物の成長を描いていることから、文学作品においての象徴の重要性、便利性が見えてくる。

というように、全てが共通しているわけではないことを認めながら書くようにしていました。そういった意味では相違点と共通点は紙一重とも言えるので、書き方次第だと分かります。

ここで気をつけるべきことは、相違点と共通点を分析した中から取り上げるという点です。当たり前ですが、下書きを書いているときになにを共通点として、相違点として扱うのか考えておく必要があります。

そして、結論では分析結果を振り返り、設問に対しての答えを出し終わります。

また、Paper 2というと引用のために本の一部を覚えなければいけないというイメージが強いかと思います。ですが、実際は一言一句引用する必要はなく、その場面や登場人物の言動が伝われば良いそうです。実際、私も本番で引用はあまりせずに終わりました。ですが、具体的な表現技法について分析したい場合、最低限は覚えていく必要があるでしょう。

さらに、試験官に分かりやすく構成の移り変わりを伝えるため、「次に、作品Bを分析する。」や「上記の分析を踏まえ、作品AそしてBの共通点、相違点に着目していく。」のようにダイレクトに書いていました。

タイムマネジメント、試験中の流れ

reading time: 5分
30秒で読む
1分で扱う設問を決める
残り時間は頭でアウトラインを作る

試験開始
頭に作ったアウトラインを書き出す
頭の中にあるすべてのものを書き出してから導入部分を書き始める。アウトラインの続きを考えながら書く。続きを思いつくたびにアウトラインに足していく。具体的な分析対象もざっくり書き出していく。(例: 海辺のカフカ 血の意味 等)
ここが一番時間のかかるパートだが焦らない
アウトラインが終わるまで、3番の小論文の方針以降は進めない
アウトラインが終わったら本格的な分析へ。
本格的な分析が始まるまで15-20分程度。
その後は時間を見ながら分析を進めていく。
残り35-45分程度に両作品の分析を終え比較に入る。
比較は分析がきちんとしていれば簡単なので思ったよりも時間を取らなくて大丈夫
残り12分で結論へ。
結論を書いて余った10分で読み直し、誤字脱字や文法ミスを直す
基本段落が終わるたびに読み直しミスがないようにする
分析中筆が止まるたびに読み直しミスがないか確認する、また書いたものを読むことで次のヒントが生まれる

事前準備

私がした事前準備として、練習をするということはもちろんですが、作品ごとに授業で分析が終わるたび小論文を書き、今すぐにでも切り貼りしてPaper 2として提出できるようなものを用意していました。授業で読んだ後が一番記憶にしっかり残っているので、作中での大事な技法が主題を伝えるためにどう有効なのか、小論文の形でまとめていました。この小論文を読み返すだけで復習を簡単にすることができたので、かなり良い方法だったと思います。

さらに、Excelでざっくりと作品についての情報をまとめることもしました。

また、私はself-taughtで日本語Aを取っていたこともあり、授業は常にチューターの先生とマンツーマンでした。先生が問いかける質問はすべて自分で答えなければならないので、嫌でも分析力がつきました。今思えばとても贅沢なことでした。

今回は、IB文学、日本語AのPaper 2の攻略法についてまとめてみました。
少しでも参考になれば嬉しいです。
28、29点以上を取った私の練習用Paper 2を読んでみたいという方は、ぜひTwitter アカウント @maihaku8 までどうぞ。

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