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婚姻届を提出した後の展開と気持ちと壁と

2022年9月20日。パートナー(以下、相棒)との婚姻届を提出し、その日までの思いを以下の記事にして公開した。

この記事は公開日に向けてたしか23日ほどにわたって書き上げた(自分の記事にしては)大作だったが、今回はその後の心境をゆるゆると記録してみたい。
ゆるゆると記録するからには、見出しもつけずに書き出していくとしよう。


まず、名字が変わってみてどうだったかという話。
実は未だに慣れていない。仕事で旧姓を使っているために旧姓を使う時間がほとんどを占めていることと、諸々の改姓手続きがまだほとんど進んでいないことが原因だろう。改正手続きにまつわる話は後述する。……と思う。

ただ、いざ名字が変わってみると自分の名前がかっこよく見えて、女の子丸出しな自分の名前も少しばかり好きになれた。
旧姓は使用人口が多すぎるからか無味無臭な印象で、その分フルネームでは下の名前の可愛さのみが前面に押し出されていたのかな?と今になって感じた。今の名前は名字が神々しすぎて下の名前まで眩しく見える。直視できない。ゲラゲラ笑ってしまう。いつになったら直視できるのか見ものである。


職場内では案の定、好き放題な噂が拡がっている。なぜかあらゆる人が「あの子結婚したらしい」と知っているらしいが、きっとそれは婚姻届提出よりも前から広まっていた噂が伝わっているだけだろう。ニセの噂が後からホンモノになっただけ、という状況に形容しがたいモヤモヤを感じる。
何にせよ噂の真偽を直接確認しに来てくれる人はほとんどいないので、こちらもたまに確認してくれる人から聞く話を元に状況を推測するしかない。

しかも好き放題な噂というのが本当に好き放題で「披露宴にうちの職場の人を1人呼んでいる」とか「相棒と自分の職場それぞれの営業所長と自分達とが飲み会をする」とか。披露宴なんて微塵も考えてなければ結婚を報告した職場の人にも全く口にしていないし、飲み会の約束といえば自分の職場の気の知れた人2人と相棒とで行う予定がある程度だ。
よくもまあ真偽も気にせず妄想を広げられるものである。もはや曲解のレベルを超えているので、呆れを通り越して他人事のように面白く聞いている。


近しい人達からのお祝いはとても嬉しい。元々婚姻に重きをおかないタイプなので報告する気すら起きなかったが、世の定めと言い聞かせお世話になっている人達に報告をした。すると誰もが驚くほどに心から喜んでくれて満面の笑顔を見せてくれるので、いつの間にか「ここまで喜んでくれるのなら幸せを配る気持ちで報告するかぁ!」と前向きな心持ちになってしまった。

お祝いでいろいろいただくのは、とても有難く思いながらも少し重荷でもあった。そんな重々しいことをしているつもりはないのにと。
しかし礼儀としてお返しをせねばと奮起してみると、お返しを考えるのは存外面白かった。いつの間にか長い付き合いになっている高校時代の友人が牛たんをくれたので牛たんシチューでお返ししてみたり、妹達が酒飲みの我々のためにお洒落なグラスを2つくれたので梅酒でお返ししてみたり。いただいたものに関連付けたお返しを考えることに謎にハマってしまった。
どちらもお返しをしたことにとても驚かれたが、かなり美味しかったようで喜んでくれて、やはり笑顔が増えるのは嬉しいことだと感じた。見た目で選ぶ食べ物が美味しいことで定評のある(?)食いしん坊の自分が役に立った瞬間である。
まだ自分の祖父母(父方も母方も)へのお返しは準備中なので、喜んでもらえるものを贈りたい。


そろそろ改正手続きの進捗の話をしよう。これがまた面倒の塊である。
まず運転免許証。旧姓併記をしようとしたためには旧姓がわかる公的書類が必要だ。そのために住民票に旧姓併記をする必要がある。住民票の旧姓併記には戸籍謄本が必要である。戸籍謄本の写しは本籍地で貰えるが、現住所と別の場所を本籍地にしたので、婚姻届の提出後1週間ほど経たないと作成されない。
戸籍謄本で免許証に旧姓併記をすることも可能だったと思うが、どうせ戸籍謄本をとるなら住民票に旧姓併記をする手間をかけた方が後々楽かもしれない。そう考えたので少し面倒な手数を踏んだ。

これだけでも面倒さが伝わるかと思うが、実際はもっと面倒なエピソードがあった。
役所で婚姻届提出と同時に住民票の写しを申請した時、旧姓併記ができるかを聞くと担当してくれた役所の職員に「何も申請しなくてもついてきますから大丈夫ですよ」と言われたこと。そういうものなの?と思い住民票の写しを請求したら、旧姓はどこにも載っていなかった。
住民票の写しを手渡してくれたのが別の職員で、お詫びをしてくれながら戸籍謄本が必要なことを教えてくれた。それで翌日、相棒が戸籍謄本を本籍地の役所に取りに行ってくれた。しかし本籍地と現住所が同じでない戸籍謄本がすぐには作られないことをここで初めて知ることとなる。

……ここから分かることは、役所の人達が住民票の旧姓併記に慣れていないこと。つまり旧姓併記などする人はそうそういないのだろう。
国は選択的夫婦別姓を認めない代わりに旧姓利用の拡大をと言っていてそれだけでも腹立たしいが、こんな状況では旧姓利用を手軽にするのも難しい。だから利用する人も少なく、役所の人も不慣れになる堂々巡りになるのだと身をもってよくわかった。国よ、百歩譲って、せめて言ったことくらいやろうぜ。

閑話休題、手続きの話の続きに戻ろう。日を改めて1週間後、10日ほどかかると言われていた戸籍謄本が出来上がっているかどうかを自分で本籍地の役所に確認した。そうしたら確認の時に本籍地の住所を聞かれ、記憶しておらず、謝って一旦電話を切り「なんて馬鹿なんだ!」と自分に向かって怒り、スマホの中を漁りまくって情報を探した。
何とか見つかって折り返すと「今日の昼から写しを出せますよ」とのこと。ならばと仕事の長い休憩の間に、正午着を狙って本籍地の最寄りの役所に向かい戸籍謄本の写しをもらって、職場最寄りの自宅のある市の役場で住民票に旧姓併記をしてもらい写しをもらった。住民票の旧姓併記手続きに時間がかかると言われ、間で職場に戻りながら。そして無事に旧姓併記された住民票の写しを手に入れたところで、即刻仕事に戻った。

それで後日、ようやく警察署に出向き運転免許証の旧姓併記の手続きができた。対応はスムーズだったが、やはり旧姓併記をする場合の申請書の書き方は窓口の中で確認をしている声が聞こえ、その後「すみません、あとここにこう書いてもらえますか?」と声掛けされた。やはり免許証でも旧姓併記手続きはなかなか行われないのかな。

こんな調子で免許証の旧姓併記と、ついでに住民票の旧制併記も終わった。
ひとつ強く思ったのは、本籍地を自宅に比較的近い相棒の実家の住所にしておいて良かったということだ。職場から出向くとますます近かったのが今回の不幸中の幸いだった。
自宅住所にしておけば最も楽だったといえばその通りだが、自分の実家にしていたら戸籍謄本の写しの取得にいつまでかかったかわからない。良かった。

そして銀行の手続き。これも大変すったもんだがあった。ある日、遅番仕事の前に自宅近くの銀行に3回も足を運んだが、毎度不備が見つかり手続きできなかった。いよいよ詳細を書くのが面倒になってきたので省くが、最終的には実家に置いてある印鑑と通帳が必要とわかったため、実家に帰る間合いを作り実家近所の銀行で手続きをした。
給料振込やクレジットカードの引き落としなどを思えばなるべく早く変更したかったのだが、1ヶ月弱の時間を要してしまった。
ただ、旧姓併記の免許証をつくったおかげで、旧姓と今の姓の確認できる証明書を求められた時にすぐに出せるのはとても便利だった。

今もまだ、クレジットカードをはじめ諸々の名前変更は相棒と手分けして行っている。自分事として捉え、できる手続きをどんどん進めてくれる相棒には感謝しかない。
クレジットカードは意外にもネットでさっと必要事項を入力するだけで済んで驚いているが、このあたりの名前変更は一人でやる人がどれだけいることか……と思うと頭が下がる思いだ。面倒にもほどがある。

いっそマイナンバーで一切合切全て変更出来るようになればいいのに!って思ってしまう。
ちなみに保険証だけは役所に婚姻届を出したら自動的に連絡が回って会社に届くそうだ。そこだけは「マイナンバーやるじゃん」って感じだ。そこだけは。

ここまでの文章を日を跨ぎながらざくざくと書き散らしているうちに、今日でちょうど婚姻届提出から1ヶ月だった。

先週くらいまで、なんか最近自分が家事をよくやっている気がする……自分の方が相棒より早く仕事が終わる日ばかりだ……と思う日々が続いていた。
そしたら相棒が「会社に婚姻届提出の報告をしてから、今までされなかったような勤務変更や勤務のつけ方をされてる。勤務のつけ方に『結婚して家事やらなくて良くなって楽になっただろ?仕事できるだろ?』って空気を感じて嫌」と言う。たぶんそれだわ、とすごく納得してしまった。

そしてめちゃくちゃ腹が立った。相棒は仕事まみれになっているせいで家事が出来ないことをすごく申し訳なく感じていて、俺が家事をやるほどに追い詰められていく様子だし、俺は俺で体力のない人間だから仕事と家事のどちらもフルでの両立というのがしんどいのである。
一緒に暮らし始めてから、互いにその週の仕事量に応じて家事を分担するというスタイルがようやく板に付いてきた。なのに、なぜ、婚姻届という紙切れ1枚を役所に出しただけで、他人にそのスタイルを崩されなければならない?

相棒の職場のこの問題の関係者よ。同じ会社で同じ仕事をしている2人に対して、なぜ片方は仕事に没頭でき、もう片方は仕事量をそのままに家事を全部やり切れると思ってしまうんだ? 妻にあたる人間は1人で2人力の働きをできるようになるとでも?
そして、相棒の「あなたに『女だから家事をやらなきゃいけないんだ』と思わせたくなくて頑張っちゃう」というほどに俺を気遣ってくれているその気遣いを、なぜ会社が無下にして、俺にばかり家事を押し付けるようと言わんばかりの勤務を組むんだ?
1人に対しての横暴な勤務指示が2人の心身を壊してるってわかってる? ひとつの家庭を壊してるってわかってる?

紙切れ1枚で生活スタイルを崩されるなら、また紙切れ1枚出したら元に戻してもらえるんですか?という閃きまでもが頭をよぎってしまった。そんなことを考えるくらいにはキレ散らかしている。次に出す紙切れ1枚といえば離婚届ということになるが。

「結婚した」という認識だけで、勝手に当人間の関係性を規定しないでいただきたい。我々はどちらが妻でもどちらが夫でもなく、どちらの性役割を担うつもりもない。いい加減、家族観をアップデートしてほしい。

という調子で、婚姻届という紙切れ1枚のために、自分達は1ヶ月経ってもまだ落ち着かない日々を送っている。

世間のシステムも世間の認識も、アップデートされてほしいことだらけだ。
めんどくせぇことだらけだなぁ〜という感情を抱きながら、とりあえずこのへんで筆を置くことにする。



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