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「ジェンダーリビール」の語に覚える違和感

「ジェンダーリビールケーキ」や「ジェンダーリビールバルーン」といったものが、いつの頃からかInstagramのタイムラインに流れてくるようになりました。
それを見る度、微笑ましく思いながらもモヤモヤが止まりません。

まずは「ジェンダーリビール」って何?という話からですが、英語にすると「gender(性別)  reveal(明らかにする)」だそう。赤ちゃんの性別が男の子が女の子かを家族などに明らかにするイベントとのことです。
ズバリ答えてくれているサイトがあったので下にリンクを貼っておきます。

個人的には赤ちゃんの性別なんて大きな関心事ではないと思ってしまう質なのですが、それでも早く赤ちゃんの性別を知りたい人達にとっては楽しいイベントだろうと想像します。ただ口頭で報告するよりも盛り上がれて、ちょっとしたパーティみたいになったらなおのこと楽しいでしょう。

楽しくやっている人達のこともこのイベントそのものも否定する意図はありません。それは先に明言しておきます。

でも自分にはどうしても引っかかってしまう。
なぜこのイベントの名前は、赤ちゃんの「ジェンダー」を明かすという言い方になっているのか……。

ご存知の方にはいちいち言うまでもないのですが、一応「gender」の意味を確認しておきましょう。

「ジェンダー」とは、身体的特徴としての性別(sex)とは異なる、社会的・文化的な役割としての「性」を意味する語である。社会における立場あるいは役割としての男と女のあり方を意味する語。

Weblio辞書 実用日本語表現辞典 (https://www.weblio.jp/content/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC) 2023年2月7日閲覧

「gender」という語は、身体的特徴を示す語ではないですよね。身体的特徴を示す語は「sex」です。
でも、赤ちゃんの性別の決定は紛れもなく身体的特徴によってなされるものです。その時点でわかるのはあくまで赤ちゃんがもつ「sex」のみであり、「gender」まで判明するわけがないのです。

それを無邪気に「ジェンダーリビール」、つまり「gender」を明らかにすると言ってしまうことへの違和感が拭えません。
「sex」=「gender」だと信じて疑わない様が、透けて見えるようでならないのです。

1人の人間が持つ「sex」と「gender」は、それぞれ別物です。結果としてどちらも同じ性になった人はわざわざ別物として考える場面も少ないでしょうが、これから産まれようとする赤ちゃんの結果がどうなるかはまだわかりません。
安易に混ぜないであげてほしいと願うのは、願いすぎでしょうか?

ただ、日本語で「sex」と口にすると、先に別の意味を思い浮かべられてしまって言い難いという面は否めません。
「ジェンダーリビール」に代わる語をと言ったところで自分には「性別お披露目会」と日本語にでもする案くらいしか思い浮かびませんが、まあダサいですね。他の言語だとオシャレに落ち着くものもあるのでしょうか。

「ジェンダーリビール」を楽しむ方々には、どうか頭の片隅に『「sex」≠「gender」』の図式を置いておいてほしいと願う、トランスジェンダーの端くれな俺の戯言でした。

現状、自分の生き様や思考を晒しているだけなので全記事無料です。生き様や思考に自ら価値はつけないという意志の表れ。 でも、もし記事に価値を感じていただけたなら、スキかサポートをいただけるとモチベーションがめちゃくちゃアップします。体か心か頭の栄養にしますヾ(*´∀`*)ノ