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『Games of No Chance』を読みたい話

この記事はアブストラクトゲーム Advent Calendar 2023の4日目の記事として書かれました。

はい、どうも。
珍ぬと申します。
4年半近く、noteでボードゲームやパズル関連の記事をかれこれ300本書いています。

今回はアブストラクトゲームから少しズレた関連の話となります。

「アブストラクトゲーム博物館」の参考文献

珍ぬの血肉の一部となっている、アブストラクトゲームの情報サイトに「アブストラクトゲーム博物館」があります。

おおよそ5年ほど更新はしておりませんが、アブストラクトゲームを様々な角度で取り扱い、関連する情報もあつめ、しかも日本語で読めてしまうのは
非常にありがたいのです。

いささか古い情報とはいえ、特にお世話になっているのは、参考文献です。

なにせ、ここからアブストラクトゲーム総合誌「Abstract Games」の存在を知って、再活動も確認できたのです。

※「Abstract Games」は、2022年秋に24号を刊行してから、しばらく休止しています。

ほかにも、参考文献を頼りに購入した書籍もいくつかあります。

さて、その中で日本語未訳ではありますが気になる文献があります。
それが

『Games of No Chance』シリーズ

です。

『Games of No Chance』とは


アブストラクトゲーム博物館から、Reviewを引用します。

【引用】
本書は、チェス、ニム、囲碁など、ゲームプレイに、乱数要素や隠匿情報が一切含まれない、Combinatorial Games (本館での"abstract games"とほぼ同義)について科学した、MSRI論文集です。続編2冊では、これらのゲームに加えて、Puzzleやセルオートマトンについての研究も編集されています。

いずれも深い研究の成果をまとめたもので、専門的な表現も多いのですが、ゲームAIのプログラミングに興味のある人にはお薦めです。

引用:
https://www.nakajim.net/index.php?%E5%8F%82%E8%80%83%E6%96%87%E7%8C%AE%2FGames%20of%20No%20Chance

アブストラクトゲームの数学的定義「二人零和有限確定完全情報ゲーム」とあわせてみると、「確定」が「No Chance」です。

サイトでは、3冊
『Games of No Chance』
『More Games of No Chance』
『Games of No Chance 3』
取り上げていますが、
『Games of No Chance 4』
『Games of No Chance 5』
と、続刊されていて都合5冊あります。

『Games of No Chance』から数冊、主筆となっているのは、カナダの数学教授Richard J. Nowakowski(リチャード・J・ノヴァコフスキ)さんです。

さて、この書籍を発行しているのはCambridge University Pressになります。
Amazonで購入することはできるのですが

なんやかんやで高額なのです。

MSRI

MSRIとは「Mathematical Sciences Research Institute」の頭文字をとった略称で日本語にすると「数理科学研究所」です。
カリフォルニア州バークレーのカリフォルニア大学のキャンパス内に、1982年に設立した独立非営利の数学研究機関です。

『Games of No Chance』は、数十冊刊行されているシリーズ「Mathematial Sciences Research Institute Publications」に含まれます。
刊行順に番号が振られていて、

No.29 『Games of No Chance』(1996年発行)
No.42 『More Games of No Chance』(2002年発行)
No.56 『Games of No Chance 3』(2009年発行)
No.63 『Games of No Chance 4』(2015年発行)
No.70 『Games of No Chance 5』(2019年発行)

となっています。

実は嬉しいことに、これらの書籍はMSRIのサイト内にあるLibraryに電子書籍(PDF)として保存されており、ほぼすべてを購読することができ……ました。

なんで過去形やねん、って話ですが、今回記事を書くにあたってGoogle検索してリンクをたどってみたのですが、2023年10月から11月頃になって、つながらなくなりました。
読めないのです。
記事書けないじゃん……。

と思ったのですが、どうも以前過去に書いた記事のようなことが発生していました。

結論を言います。

名称が変わってお引越ししてました。


SLMath

旧MSRI(数理科学研究所)の、現在の名称はSLMath。
略さず書くと「Simons Laufer Mathematical Sciences Institute(シモンズ・ローファー数理科学研究所)」です。

2022年5月に、投資家で慈善家のJemes & Maryilin Simons(ジェームスとマリリンのシモンズ夫妻)とHenry & Marsha Laufer(ヘンリーとマーシャのローファー夫妻)2組が、旧MSRIに7000万ドル(大雑把に約100億円)の寄付をしたそうで、それを記念して名称を変更したのです。

以前のURLは「msri.org」でしたが、現在は「slmath.org」になっています。

Googleで「Games of No Chance」を検索すると、この記事を書いている時点ではどちらのURLも上位にはでてきていません。
過渡期にあたっているかと思います。

論文ごとに分割されている

『Games of No Chance』シリーズですが、SLMathサイトのLiblary内のMSRI Book Seriesにあります。

お目当ての書籍をクリックしていただいて、「Contents and Downloadable Files」に、電子書籍があります。

しかも、1つ1つ論文を小分けしています。
AIで日本語翻訳して読むさいには、大変ありがたいですね。

ただし、書籍の全文が電子化されておりません。
除外されているのは『Games of No Chance』ですと、
「What is a Game?(ゲームとはなにか?)」「Impartial Games(不偏ゲーム)」(ともにRichard Guy(リチャード・ガイ)さん執筆)の2つです。

おそらく、著者の意向によるものだとは思いますが、正直むちゃくちゃ読みたいです。

一番ページ数の少ない『Games of No Chance 4』で300ページ強、その他は500〜600ページとボリューム満点なので、気になるのをつまみ食いで十分楽しめるかも知れません。

締め

今回の記事もなぜかボリューム(文字数)が膨らんでしまいました。

ということで、引き続きアブストラクトゲームAdvent Calendar2023をお楽しみください。

では。

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