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超動くマンカラ(5)~続・ひとりマンカラ・カラハの数列

1ヶ月ぶりの超動くマンカラ。
前回のnoteはこちら。

今回は、前々回の「ひとりマンカラ」の続きです。

仮名称:カラハ一人勝ち問題

「ひとりマンカラ」について、3回目に書きました。

「ひとりマンカラ」は、マンカラの1つカラハ(Kalah)の追加アクションによって、一気にたくさんの石を得点してしまう配置を考えてみよう、といったパズルに近い遊びです(詳しくは記事を参照してください)。

パズル、というよりも離散数学の問題の1つ、とみることもできます。
改めて仮名称として「カラハ一人勝ち問題」とよびます。

「カラハ一人勝ち問題」で、どれだけたくさんの石を取ることができるのかを考えると、

ゲーム盤の穴の数が無限にあるなら、
無限に石が取れます

たとえば、100個の石が取れる配置を考えることができたなら、1つ増やして101個の石が取れる配置を導くことができます。
これを繰り返していけば、無限に配置がみつけられます。

さて、1つお断りをしておきます。
マンカラやカラハは、反時計回りに石を動かしていきます。
無限に穴の並ぶ一直線の盤面だと、左から右へ動かします。
そして、石を大穴に入れて盤面からどんどん石を減らしていきます

「カラハ一人勝ち問題」は、通常のゲームとは逆にどんどん石を増やしていくように考えていきます。
なので、盤面を逆にします。

こうすると、石の動かし方も左から右になります。

通常のマンカラと感覚が異なって混乱するかも知れませんが、こちらのほうがのちのち扱いやすくなります。

A028920

前回もお世話になった「オンライン整数列大辞典OEIS( The On-Line Encyclopedia of Integer Sequences)」から、数列を1つ取り上げます。

今回の数列は「A028920」。

1, 2, 1, 3, 1, 4, 1, 2, 1, 5, 1, 6, 1, 2, 1, 3, 1, 7, 1, 2, 1, 8, 1, 4, 1, 2, 1, 3, 1, 9, 1, 2, 1, 10, 1, 5, 1, 2, 1, 3, 1, 11, 1, 2, 1, 4, 1, 12, 1, 2, 1, 3, 1, 6, 1, 2, 1, 13, 1, 14, 1, 2, 1, 3, 1, 4, 1, 2, 1, 5, 1, 7, 1, 2, 1, 3, 1, 15, 1, 2, 1, 16, 1, 4, 1, 2, 1, 3, 1, 8, 1, 2, 1, 6, 1, 5, 1, 2, 1, 3, 1, 17, 1,……

2回に1回「1」があらわれて、その間に増減バラバラにみえる数が差し込まれています。
一見して、規則性がわかりません。
まあ、noteの都合からしてマンカラに関わってきます。

「カラハ一人勝ち問題」の(今回は穴6個分の)解答を並べて、どの石を動かすかを太字にします。

 1:00000
 2:00000
 3:20000
 4:01000
 5:13000
 6:00200
 7:02400
 8:02400
 9:22400
10:0113
11:11350
12:00024
13:00246
14:00246
15:20246
16:01246
17:13246

では、太字にした数字を並べてみます。
さらに、その下に先程の謎の数列A028920を並べます。

1, 2, 1, 3, 1, 4, 1, 2, 1, 5, 1, 6, 1, 2, 1, 3, 1
1, 2, 1, 3, 1, 4, 1, 2, 1, 5, 1, 6, 1, 2, 1, 3, 1

全く一緒。
A028920は、盤面にある石の個数がわかれば、何番目の穴に入った全部の石を動かすのか、をあらわしています。

この数列の作り方は、単純かつ変態です。
まず、1と数字が入る予定の「空白」を交互に並べた数列をつくります。

1,_,1,_,1,_,1,_,1,_,1,_,1,_,1,_,1,_,1,_,1,……

次に「2」を1番左の「空白」に入れて、2つ「空白」を飛ばして「2」を入れます。

1,2,1,_,1,_,1,2,1,_,1,_,1,2,1,_,1,_,1,2,1,……

次に「3」を1番左の「空白」に入れて、3つ「空白」を飛ばして「3」を入れます。

1,2,1,3,1,_,1,2,1,_,1,_,1,2,1,3,1,_,1,2,1,……

以下、4、5、6、……も同様に続けると、

1, 2, 1, 3, 1, 4, 1, 2, 1, 5, 1, 6, 1, 2, 1, 3, 1,……

となります。
なぜ、これがうまくいくのか。

それぞれの入れる数字は、何番目の穴か、を指しています。
なので、先に出てきた6個穴盤面の「カラハ1人勝ち問題」の表を
行と列を入れ替えて並べると、

                  1 1 1 1 1 1 1 1
1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1 0+10+10+10+10+10+10+10+1 
0+2 2→1 1→0 0+2 2→1 1→0 0+2 2→1 1
0 0 0+3 3→2 2 2 2→1 1→0 0 0 0+3 3
0 0 0 0 0+4 4 4 4→3 3→2 2 2 2 2 2
0 0 0 0 0 0 0 0 0+5 5→4 4 4 4 4 4
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0+6 6 6 6 6 6

となります。
「+」は前の状態から数字を増やした箇所、「→」は前の状態から数字を減らした箇所になります。
A028920は「+」のあとの数字を並べた数列、となります。


なんじゃこのグラフ?!

OEISは、ほとんどの数列のグラフを見ることができます。
A028920のグラフを引用します。



https://oeis.org/A028920/graphより引用

特に下のグラフを見ると顕著ですが、上に曲線状の軌跡があらわれていて、さらにそのにも何本か軌跡がみえます。

「カラハ一人勝ち問題」の解答、特に大きな数での状態はどうなっているのか。
大盤振る舞いで、「石1000個」の解答をおみせします(多分、間違ってないと思う)。
石1000個だと、穴の数は55個になります。

0,1,3,1,5,3,3,3,1,1,7,10,10,7,1,9,1,7,6,12,18,2,6,10,14,18,22,26,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39,41,43,45,47,49,51,53,55

ぱっと見て、後ろのほうが規則的に並んでいますね。
区切ってみると、

0,1,3,1,5,3,3,3,1,1,7,10,10,7,1,9,1,7,
6,12,18,  ……公差6
2,6,10,14,18,22,26,  ……公差4
1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39,41,43,45,47,49,51,53,55  ……公差2

となっています。
グラフであらわれた1番上の軌跡が、公差2の数列に当たりそうです。
その下の曲線状の軌跡も、公差4や公差6の数列に当たりそうです。

「カラハ一人勝ち問題」。
なかなか奥深そうです。

終わりと枝分かれ

結構な文量となったので、今回はここまで。
しかし、この続きもまだまだ書けそうなので「超動くマンカラ」から枝分かれして「超動くマンカラ番外編:カラハ一人勝ち問題」としてまとめていこうと思います。
そうしないと、ボードゲームの方の「マンカラ」の影が薄くなりそうです。

次回は、ちゃんとボードゲームのマンカラの話題を書きます。

では。

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