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超動くマンカラ(3)~ひとりマンカラ・カラハの数列
前回の超動くマンカラは番外編でした。
今回は、1人でマンカラします。
カラハの追加アクション
日本で遊ばれるマンカラの中で、1番遊ばれるのはカラハ(Kalah)です。
カラハのルールの中には、通常のアクション(石を動かす)の他にさらに追加のアクションがあります。
それぞれのプレイヤーは、得点となる石を通常の穴ではなく、盤面右端の大穴に入れます。
プレイヤーのアクションは、反時計回りに石を1個ずつ穴に入れて、自分の得点の大穴に入れて、1周していきます。
追加アクションは、最後の石を入れたのが、自分の大穴だったときに、また新たに石を動かすアクションができます。
例えば、上の写真の状態で石2個ある穴で、アクションをすると、
石1個ある穴に石が1つ、大穴に石が1つ入って終了します。
大穴で終わったので、もう1度アクションできます。
石2個ある穴でアクションをして、上のようになってアクションが終了します。
しかし、本当は全部の石を大穴に入れることができます。
最初の状態に戻ります。
石1個ある穴でアクションします。
石1個が大穴に入るので、もう1度アクションできます。
石2個ある穴でアクションをすると、また大穴でアクションが終了するので、追加アクションができます。
はい。全部の石を大穴に入れることができました。
追加アクションしっぱなし
カラハでは、自分の盤面には6個の穴があります。
では、追加アクションを繰り返すことで、1手で何個の石を大穴に入れることができるのでしょうか?
答えは下。
17個の石をすべて大穴にいれることができます。
手順は、
です。
ズラリ並べてみると、何をしているのかよく分からなくなります。
実は、ちょっとしたお約束で、どの穴からはじめているかが決まります。
それは、
(1)大穴の手前の穴から考える。
(2)その穴は、大穴から数えて何番目にあるか。
(3)その穴には、何個石があるのか。
(4)(2)と(3)の数が同じなら、その穴でアクションを行う。
少し補足すると、(4)は大穴でアクションを終わるための条件です。
そして(1)は、大穴の手前から奥へと判断していくことで、穴に石が多くなりすぎないようにしています。
無限に追加アクション
穴が6個の場合だと最大石17個を1手ですべて大穴に入れることができるのですが、もっと穴が多かったら、もっと多くの石を一度に入れることができます。
ではどうやって考えたらいいのか?
石を逆に動かしていけばいいのです。
逆に増やしていくときに、
(1)大穴の手前からみて、1番手前の石が入っていない穴に石を入れていく。
(2)石の入れ方は、(1)できめた穴の途中にある穴から1個ずつ石を取り、さらに大穴の文から石を1個取り、すべて入れる。
この2点をおさえれば、次々と1手で石を取る配置をつくることができます。
石4個の配置は、石3個と比べてみると、
となります。
数字を入れてみると、よく分かりますね……最初から入れろ、という話はありますが。
数字にしてみる
では、あえて、数字だけで書いてみます。
穴6個の状態をあらわすと「000000」になります。
石1個の場合だと「000001」とすれば、イメージしやすいですね。
以下が、石1個から最大の17個までです。
1:000001
2:000020
3:000021
4:000310
5:000311
6:004200
7:004201
8:004220
9:004221
10:053110
11:053111
12:642000
13:642001
14:642020
15:642021
16:642310
17:642311
お気づきの方もいるでしょうが、石12個の場合「642000」は、大穴の手前3つの穴に石がない状態です。
なので、石13個から17個までの手前3つの穴に限ってみると、石1個から石5個の手順がでてきます。
では、石18個だとどうなるのか。
穴をもう1つ増やします。
18:7531200
OEISを見よ
ところで、これらの数字を並べてみる、要は数列としてみると、どうなるか。
石0個の場合からはじめてみます。
また、数字は、大穴から一番奥の穴に石があるところまで表記します。
0, 1, 20, 21, 310, 311, 4200, 4201, 4220, 4221, 53110, 53111, 642000, 642001, 642020, 642021, 642310, 642311, 7531200,……
となります。
で、世に中にはとんでもないところがございます。
古今東西の整数の数列を集めた
オンライン整数列大辞典 OEIS
( The On-Line Encyclopedia of Integer Sequences)
です。
集められた数列には、通し番号が割り当てられておりまして、今回の数列も「A028931 Strings giving winning positions in Tchoukaillon (or Mancala) solitaire.(意訳:チョウカリオンもしくはマンカラの1人遊びにおける勝利配列の並び)」
として登録されています。
さらにその次の「A028932」の数列を見ると、
0, 1, 2, 0, 2, 1, 3, 1, 0, 3, 1, 1, 4, 2, 0, 0, 4, 2, 0, 1, 4, 2, 2, 0, 4, 2, 2, 1, 5, 3, 1, 1, 0, 5, 3, 1, 1, 1, 6, 4, 2, 0, 0, 0, 6, 4, 2, 0, 0, 1, 6, 4, 2, 0, 2, 0, 6, 4, 2, 0, 2, 1, 6, 4, 2, 3, 1, 0, 6, 4, 2, 3, 1, 1, 7, 5, 3, 1, 2, 0, 0, 7,……
とあります。
1列にするとわからないのですが、以下のように並べると、
0,
1,
2, 0,
2, 1,
3, 1, 0,
3, 1, 1,
4, 2, 0, 0,
4, 2, 0, 1,
4, 2, 2, 0,
4, 2, 2, 1,
5, 3, 1, 1, 0,
5, 3, 1, 1, 1,
6, 4, 2, 0, 0, 0,
6, 4, 2, 0, 0, 1,
6, 4, 2, 0, 2, 0,
6, 4, 2, 0, 2, 1,
6, 4, 2, 3, 1, 0,
6, 4, 2, 3, 1, 1,
7, 5, 3, 1, 2, 0, 0,
7,……
実は「A028931」の数字を、穴1個ずつ切り出したものだとわかります。
どこで区切るのか分からなくなりますが、数字が突如大きくなるのが、切り替えのポイントになります。
「A028931」の場合、穴に石10個以上となると分かりづらいかも知れませんので、一長一短です。
さらにその次の「A028933」の数列は、「A028932」を逆に並べています。
石17個だと、「A028932」は 6, 4, 2, 3, 1, 1, ですが、「A028933」は 1, 1, 3, 2, 4, 6, としています。
表計算など場合は、逆向きのほうが扱いやすいでしょう。
0, 1, 0, 2, 1, 2, 0, 1, 3, 1, 1, 3, 0, 0, 2, 4, 1, 0, 2, 4, 0, 2, 2, 4, 1, 2, 2, 4, 0, 1, 1, 3, 5, 1, 1, 1, 3, 5, 0, 0, 0, 2, 4, 6, 1, 0, 0, 2, 4, 6, 0, 2, 0, 2, 4, 6, 1, 2, 0, 2, 4, 6, 0, 1, 3, 2, 4, 6, 1, 1, 3, 2, 4, 6, 0, 0, 2, 1, 3, 5, 7, 1,……
今まであげた数列の角度を変えてみたのが「A002491」です。
1, 2, 4, 6, 10, 12, 18, 22, 30, 34, 42, 48, 58, 60, 78, 82, 102, 108, 118, 132, 150, 154, 174, 192, 210, 214, 240, 258, 274, 282, 322, 330, 360, 372, 402, 418, 442, 454, 498, 510, 540, 570, 612, 622, 648, 672, 718, 732, 780, 802, 840, 870,……
「Smallest number of stones in Tchoukaillon (or Mancala, or Kalahari) solitaire that make use of n-th hole.(意訳:チョウカリオンもしくはマンカラ・カラハの1人遊びにおける、これだけの穴の用意が必要となる最小限の石の数)」
最初の7項目 1, 2, 4, 6, 10, 12, 18, を取り出します。
これがなにを意味するかと言うと、
1:1
2:20
4:310
6:4200
10:53110
12:642000
18:7531200
ということで、新たに穴を追加する必要がでてくる石の数をあらわしています。
もし、穴18個で1手で全部取る配列を考えようとすると、19番目が「118」なので、最大石117個の勝ちパターンまでカバーできます。
117:18 16 14 12 10 8 6 4 2 9 5 1 3 2 2 2 2 1
締め
OEISには、マンカラから発想された数列が他にも多くありますので、どんな数列か確認して紹介したいと思います。
次回は、どうしようか。
では。
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