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アブストラクトゲーム『Hex』の考案者、John NashさんではなくPiet Heinさんの凄さについて書いてみる。

サムネイル画像引用:
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Piet_Hein_and_H.C._Andersen_(cropped).jpg


この記事はアブストラクトゲーム Advent Calendar 2023の16日目の記事として書かれました。

はい、どうも。
珍ぬと申します。
4年半近く、noteでボードゲームやパズル関連の記事をかれこれ300本書いています。

去年に引き続き、アブストラクトゲーム Advent Calendarを立ち上げました。


アドベントカレンダーも後半に入りました。
この間に、Lengthさんから2本、Kanare_abustractさんから3本の記事の参加をいただきました。
本当に感謝でございます。

今回の記事は、去年に書き溜めしたものになります。
なにせ第1回目なので心配でしたが、自分以外に3名の参加者がありまして大変ありがたかったです。
そんなわけで保留にしておりました。
また来年まで伸ばすのはちょいと野暮なので、出してしまいます。


HeinさんとNashさん

アブストラクトゲーム『Hex(ヘックス)』の考案者は2人います。
1942年に考案した、Piet Hein(ピート・ハイン)さん。
1948年に考案した、John Nash(ジョン・ナッシュ)さん。

1952年に3Mから販売された『ヘックス』は、後発のNashさんとつながりがあるようで、その分スポットが当たりやすかったと思われます。
さらに、ノーベル経済学賞を受賞。
彼の半生は映画化(『ビューティフル・マインド』)されました。

一方、Heinさんについては、自分はあまり着目していませんでした。
で、改めて調べてみると

何だこの人化け物じゃねえか

と叫びたいくらい、とんでもない人でした。

Heinさんが「Hex」を考案する前後の出来事については、『Hex:The Full Story』(日本語未訳)に書かれています。

※ちなみにハードカバーは価格3万円前後です。


Heinさん、あなた何者なのですか?

Heinさんは1905年12月16日のデンマーク生まれ(本日誕生日でございます)。
1996年に逝去されました。
お亡くなりになられて30年近く経ちますが、なんとHeinさんのサイトがあります。

サイトのホームをみると、



照明を販売している?!
なんで?!

英語版Wikipediaの項目(日本語版はなかった)をみてみると、

【引用】
Piet Hein
(16 December 1905 – 17 April 1996) was a Danish polymath (mathematician, inventor, designer, writer and poet),
【翻訳】
ピート・ハイン
(1905 年 12 月 16 日 – 1996 年 4 月 17 日) は、デンマークの 博学者(数学者、発明家、デザイナー、作家、詩人) であり、

引用元:
https://en.wikipedia.org/wiki/Piet_Hein_(scientist)

Polymath!
博学者!!

なんともかっこいい肩書がつけられたものです。
その一面がデザイナー。
販売している照明デザインをしているのが、Heinさんなのです。


スーパー楕円・超卵

画像元:
https://shop17203.sfstatic.io/upload_dir/shop/tko_frit_lamper_800x800/superag-150-sort1.jpg

上の照明は、Heinさんのデザインです。
形状は楕円あるいは卵型というには、四角形によっている形状です。
ここでPolymath−Heinさんの属性、数学者・発明者がはたらきます。

この形状は、スーパー楕円(super ellipse)と呼ばれます。

下のリンク(Royal Furniture Collection)で、スーパー楕円についての説明も記述されています。

【引用】
デンマークの数学者、ピート・ハインが「スーパー楕円」のアイデアを思い付いたのは、1950年代の後半にストックホルムの交通問題を解決するためロータリー交差点のデザインをした時です。
楕円と長方形の中間のようなフォルムは、間もなく、スーパーエッグペンダントのデザインに発展しました。
フリッツハンセン社のテーブルにも、このスーパー楕円が採用されています。 

スーパー楕円は、さまざまな分野で取り入れられています。
なんと、シャチハタは印鑑のデザインに取り入れました。


ソーマ・キューブ

ハナヤマの「かつのう」シリーズの1つ『ソーマキューブ』。

これも、Heinさんが考案したパズルなのです。

1933年のことなので、『Hex(ヘックス)』の約10年前です。
しかも、そのアイデアをひらめいたのが、

ヴェルナー・ハイゼンベルクが教鞭をとる量子力学の講義中

です。
うわの空、バンザイ。

さらにさらに。
Heinさんが『ヘックス』を考案した際に発表した機関が、ニールス・ボーア研究所
これまた量子力学つながりなのです。


詩人Kumbelと詩Gluk

Polymath-Heinさんのまだ紹介していない属性は、作家・詩人です。
Heinさんは、ペンネームKumbel(カンベル)、あるいは、Kumbel Kumbell(カンベル・カンベル)を使用して執筆しています。
Kumbelとは、古ノルド語で「墓石」を意味します。

Gluk(グルック)は、Heinさんが作成した、短い格言詩または押韻格言の形式です。
Glukはデンマーク語で、英語だとGluks(グルックス)、Grook(グルーク)とも綴ります。

なんとGlukを10000以上作成しており、デンマークでは20巻以上出版しています。

下のサイト、HexwikiのHeinさんの項目には、すべての Hex プレイヤーが心に留めておくべきGlukを引用しています。


【引用】
The road to wisdom?
Well, it's plain
and simple to express:
Err
and err
and err again
but less
and less
and less

【翻訳】
知恵の道?
そりゃあ、明白で
たやすく示せる:
エラーだ
そしてエラーだ
もひとつエラーだ
しかし少なくしろ
そして少なくしろ
そして少なくしろ

締め

ということで、Piet Hein(ピート・ハイン)さんの紹介でした。
いやはや、思いがけないところに面白い偉人はおります。

ひきつづき、アブストラクトゲーム Advent Calendar 2023をお楽しみください。

では。

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