ゲーム周辺のビジネスモデル
Google Stadiaの開発チームを解散するとアルファベットは2月3日に発表しました。グーグルはクラウドベースのゲーム開発からは撤退するそうです。
パソコンプラットホームのSteamに勝つため一足先にクラウドかぁ?やっぱり早いし資金力にものをいわせて凄い!って期待していたのに残念です。
そういえばゲーム業界はどうなの?
まずゲームに詳しく無い人のためにゲーム業界の現状分析を先に見せておきます。階層毎に参加者が異なります。
GAFAが参入しようとしているのは一番上のクラウドにシステムを置いてストリーミングでゲームを送るゲームのプラットホームです。
上の階層 プラットホーム
プラットホーム左側からプレステや任天堂スイッチ、Xボックスなどの専用ゲーム機にお世話になった人も多いと思います❗
真ん中のはゲーム機から移植されたり、年齢層高めのパソコンユーザー向けのPCゲームです。上にあげたsteamは後から更新などIDの管理を下のゲーム配信元から委託された格納場所だと思ってください。クソゲーとか言いながらヲタクはせっせとゲームを溜め込んでいます。
右側が今の主流派スマホゲームです。ガラケー時代とは参加者が様変わりしました!内容次第なので原神とか荒野行動などの中国メーカーのアプリも多数存在します。クラクラとかクラロワのSupercellも中国のテンセント系列です。
またポケモンGOやDQウォークのようなARは、携帯のGPSを利用しつつカメラと連動させるスマホならではのアプリも生まれています。
その下の階層 ゲーム制作
そのプラットホームに合わせてゲームを提供するのがコーエーテクモゲームスみたいな配信元です。スマホゲームのパズドラをゲーム機に移植するのもやっています。千に3つと書いたように当たるとデカイですが、サービス終了のお知らせも多数見かけるシビアな世界です。今回はsteamに参加してる会社のみの記載です。
一昔前のmixiはSNSからモンスターストライク一本足で復活しました。
一番下の階層 汎用ツール/開発環境
ブログラム言語でゲームを作ることも可能ですがグラフィックスの進化や3Dモデルを主人公だけで無くてmobまで作り込むためにはノウハウが、時間がそもそも人材が必要となります。そこでそのツールを専用に提供しているのが北欧のユニティやこれもテンセント傘下のエピックゲームズです。元々ユニティもゲームを作っていたようですが今ではツール専業です。エピックゲームズはFORTNITEを提供するゲームメーカーです。
GAFA区切り
GAFAが参入しようとしているのはストリーミング機能を持ったゲーム·プラットホームです。クラウドにデータやシステムを置いて通信することで更新していく。通信速度があがれば次のプラットホームになりうります。アップルストアやグーグルのプレイストアがあるじゃんと思われるかもしれませんが手数料地獄になりそうなので独立した独自プラットホームを構築しようとしています。
図を再掲しておきますが、遅延は致命的です。格闘ゲームしてて、コンマ一秒ずれたら負けます。イラつきます。そのため現状はある程度インストールした上で最低限の情報のみやり取りすることでスムーズな動きを構築しています。
通信規格が6Gになる頃にはストリーミングで全てをやり取りしても遅延しないという期待のもとクラウドを狙っています。クラウドゲームの良い点は、
✅インストールする手間が無くなり参加者が増えます。
✅クラウドだとAさんとBさんに違うシナリオを渡してどちらか良いかのAB選択肢を無数に作れます。
✅またリアルタイムに滞在中の場所や諦めてログアウトした時間が分かるので難易度を変更してクソゲー回避も出来ます。
✅バグが見つかったら、その場しのぎでも更新したり、なんなら一時的にその区画を侵入禁止に出来ます。
GAFAの取り組みを見ていきます。
先ほどGAFAのグーグルが実質的に撤退と書きました。
同じくクラウドベースのアマゾンルナLuna もどうなるかな?ネットワークが遅すぎる私にはまだまだクラウドは先の話になります。まあアメリカ先行配信で日本は未定ですが、何か?
ゲームと言えば、最近Amazon傘下になったTwitchやグーグルのYouTubeのゲームチャンネルとの連携もありそうです。ゲーム配信で狩野英孝さんがバスってましたがエコシステムまで考えてGAFAは参入していそうです。
このライブ配信戦争におけるFacebook Gamingの参入は話題になりました。
アップルはまずはインストールベースのサブスクリプションで参入しています。
マイクロソフトのXクラウドは国内でもテストをしているようです。Xbox Game Pass ultimate を定額制かつ会員制サービスで提供しています。
いずれもこれから起こるであろう戦いに向けて徐々に開発していく動きに違いは無さそうです。
パソコンプラットホーム
クラウドゲームはこれからのようですが、それ以前のインストールするゲームは百花繚乱です。余りに多くてよく知るタイトル以外は追いついていかないです。そこで登場するのが勝ち組のSteamはアメリカのValve社が運営するPCゲームのプラットフォームです。
各社保有のゲームを持ちよりパソコン移植する場を提供しています。ID管理をするなかで何が人気のタイトルで、このゲームを遊ぶユーザーが過去に遊んだタイトルなどの情報を集めてサービスしています。
これに対抗して無理やり無料でカチ込んでいるのが
【無料配布】Epic Gamesストアにて下記2本が無料配布開始!ってイベント
です。こんな感じです。
今だと期間限定で下記が無料だそうです。
①『For The King』
ストラテジー×ターン制RPG×ローグライクの神ゲー。1〜3人で遊べる(オンライン対応)
②『Metro: Last Light Redux』
終末系FPS
この会社はアップルストアが高すぎると喧嘩を吹っ掛けた武闘派です。
mixiがモンスターストライクをあてて復活したようにゲーム制作は当たるとデカイですが、クソゲーの宝庫でもありますのでこういうプラットホームが求められるんですね。
それでは知財を見ていきますと言いたいところですが、ゲームに詳しく無い人が多いと思われるのでだいぶ脱線し歴史を述べます。詳しい人は次のパラグラフまで飛んで下さい。
ゲーム史観
私が生まれたぐらいからの昔話の趣味なので次のパラグラフまで飛ばしでお願いします。
アタリが1977年に出したAtari 2600という家庭用テレビゲームから話を始めます。ワーナーのメディア戦略の一環としてアメリカで広がりました。フットボールやアステロイドなどの大きなヒットを重ねてアメリカで1000万台を販売してデファクトスタンダードを築きました。アタリの由来は囲碁の用語から。
ただしソフトウェアの管理を行わず粗雑乱造によって業界が萎むいわゆるアタリショックで、未だに日本では洋ゲーってクソゲーばっかりのイメージが残っていました。オープンのため質の良くないソフトウェアが多いことが危険視されることに。
それをお手当したのが任天堂のクローズなベンダー管理のファミコンカセット方式でした。カセットの流通ルートを玩具問屋経由にして、ある程度のカセットを割り当てすることで台数を確保し統制しました。またサードパーティーへのライセンス供与やロイヤリティ設定もセットにしてソフトウェアの質を担保しました。
ファミコンは小三のときにベースボールとマリオを買ってもらって以後ゲームヲタクです。スーファミになってもまだ磐石でした。
この時にアメリカ進出まで成し遂げたのが岩田さん。Pokémonを尖兵に全米上陸します。
しかし同時期に任天堂は余りに管理が厳しく、2D⇒3Dのタイミングでソニーのプレイステーションに流れはじめました。1994年辺りには他にも格闘ゲームをするならセガサターンやバンダイのプレイディア、ネオジオCD、パナソニックまで3DO REALなどのプラットホームを提供する過渡期で 群雄割拠でしたね。
元々ソニーは任天堂と提携して開発を進めていましたが頓挫して独自開発という流れでした。ポリゴン処理するハードウェアを設けて3Dの描画、CD-ROMのゲームソフトにしてサードパーティーへの縛りを任天堂に比べてユルくして開発元を増やし拡大します。
少し遅れるけどアメリカでは2001年にMicrosoftのXboxが誕生します。
これに対抗するプレステ2ではDVDベースの高性能仕様にして開発費が爆増することになります。
任天堂はお子さま用に対象年齢を下げてガチの競争を避けます。ニンテンドウ64ですね。
また敗れたセガサターン、改めドリキャスはパチンコメーカーと合併してプラットホームからは撤退します。
任天堂の岩田聡社長のもとでゲームボーイから続く携帯ゲームに2004年ニンテンドーDS
、2006年にWiiが立て続けに販売されて息を吹き返します。
対抗するソニーはモンスターハンターでブレイクしたPSP、据え置きタイプでプレステ3,4を発売しました。
限られたメンバーがゲーム機で戦っているうちに、ガラケーやスマホゲームも流行り競争環境が大きく変化します。
スマホゲームの登場によりガチャでの投資回収が社会問題になりました。
X360やkinectにより世界ではマイクロソフトが拡大します。xoneなど日本と 海外とは参加者が様変わりしていくことになりました。
元々欧州ではパソコンベースのゲームが盛んでした。『ウィザードリィ』とか『ウルティマ』といったRPGや、『大戦略』とか『シムシティ』といったシ
ュミレーションも先行していました。
中小零細も参入しておりそれに合わせて
ユニティの汎用開発ツールを提供するゲームエンジン
steamのダウンロード販売プラットホーム
などが流行ります。地域差は大きく
今でもアメリカのスマホ有料サービス1位のマイネクラフトの流行るなかで、
日本では艦これ、ポケモンGO、子供は妖怪ウォッチ、にゃんこ大戦争
などが流行りがありますので地域差があります。スマホゲームへの移行タイミングが書かれた本によると
(バスドラにより)オンラインスマホゲームこそがマス向けデジタルゲームのメインストリームとなる時代への移行が、ひとまずの完了を迎えたのである。p484
参考図書:中川 大地著「現代ゲーム全史」早川書房
2021年追記:クラウドゲームの年表を見つけたのて一部加筆訂正したうえ載せておきます。
クラウドサービス
ソニーのプレーステーション Now 2015年9月16日β版 19年10月1日正式サービス PS4、Windows
マイクロソフトのProject xCloud 2019年11月14日米国で開始 アンドロイド、Windows
グーグルのStadiaは2019年11月19日実施 アンドロイド、Windows
アップルのアップル Acradeは2019年9月20日iOS
以上追記終わり
長い歴史の振り返りでしたがやっとここまで書いて知財について話せます。なお上のゲームはレトロ系として今でも現役なもの多数です。
ゲーム環境ツールの知財
EPIC GAMES, INC.を上のプラットホーム参入でみましたが、ゲーム配信でもFORTNITEで、ツール開発や環境でも存在感があります。この開発ツールのもう一社有名なのが北欧のunity oyです。アメリカでの特許を見ていきます。
unity oy
unity SFも含めても
12件のみ
EPIC GAMES, INC.は
16件でした。
この領域は出願少なめのようです。まあノウハウを開発ツールにしたのでブラックボックスにしたいかもしれません。
unity oyはデジタルエンジンが多いです。発明者がLaakkonen jussi さんとか誤記かと思う文字続きですが、ゲーム記録をメタデータとして管理する方法が一番多く出願されています。
ブロック図をみてもシステムの四角のみの表現です。
他にもコードだと
EPIC GAMES, INC.は目と口を撮影するVR用の眼鏡に口まで伸びる機械ベロ👅部が舌を観察する特許が数件出ています。それ以外だと
不穏な動きです。
武器がデカイですよ
まとめ
ゲームはコロナ禍により自由時間が増えて熱い業界です。
課金や可処分時間を取り合う中で強いコンテンツなので各社負けられない争いをしています。
好物のランキングを載せておきます。
2020年のゲームソフトランキングは任天堂スイッチ向けが8/10。
あつまれ どうぶつの森 約600万本がNo1でした。
(歴代No1は85年のスーパーマリオブラザーズ681万本)まであと少し
以下、129万本のリングフィット アドベンチャー、PS4の94万本のファイナルファンタジーⅦリメイク、ポケモンソード・シールドの80万本の順番でした。
なお、スマホなどのゲームアプリ課金ランキングは
モンスト
Fate
ドラゴンクエストウォーク
荒野行動
パズドラ
と続いています。以上データは日経エンタテインメント2021年1月号より
世界まで広ければ
流行しており全世界で3118万本を販売した『あつまれ どうぶつの森』と答えるだろう。しかしそれは間違いで、正解は『マリオカート』シリーズ(通称『マリカー』)の最新作、3341万本を記録している『マリオカート8 デラックス』なのである(*1)。
*1 販売本数の各種データは、任天堂「2021年3⽉期第3四半期 決算説明資料」より。
だそうです。https://president.jp/articles/-/43193?page=3
ある程度、勝者が決まっているパソコンプラットホームのsteamや、開発ツールのユニティやエピックゲームズと、
これから起こるであろうクラウドゲームのプラットホームの覇権争いの対比がありそうです。残念ながら日本の企業は存在感が無いですね。
その昔のゴールドラッシュの金山掘りで儲かったのがリーバイスのジーンズだったようにエピックゲームズとユニティは磐石に思います。エピックゲームズはこの原資から無料サービスを提供しまくってsteamに殴り込みをしています。
あえてアップルと戦っている風で広告する念の入りようです。アップルストアからハブられてすぐに動画を用意するなんて普通出来ないと思います。
ユーザーとしては切磋琢磨してもらって楽しいゲームがリリースされることを願うだけですね。
あんまり面白過ぎると私生活にも影響がでるガチヲタなのでお手柔らかにお願いします。
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