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祝上場の「ベビーカレンダー」のビジネスモデルから見る育児メディアのポテンシャルとメディア拡張のポイント

みなさんこんにちは、POPER COOの林です。
学習塾を中心とした、子供の習い事教室向けの業務管理SaaSコミルを提供しています。

今回は2021/3に上場のベビーカレンダー社を取り上げます。
最近だと1000億を超えるビジョナル(ビズリーチ)さんのような規模の大きなIPOがありましたので、
ベビーカレンダーの時価総額80億円はちょっと注目度でいうと劣るかもしれませんが、企業の価値は規模だけじゃありませんよね。

どんな想いがあって、それを実現するためにどれだけ工夫した仕組みでビジネスを展開しているかがポイントなんじゃないかと個人的には思っています。

育児メディア×産婦人科向け管理ツール提供というモデルの同社。

メディア事業に関わる方は特に参考になるのではないかと思います。

それでは早速いってみましょう!

どんな会社のどんなサービス?

同社のサービスの柱は2本あります。
1つ目は2008年から展開している産科施設向けシステムである「ベビーパッドシリーズ」。
2つ目は、その後2015年にクックパッドの子会社となり開始した、育児メディアである「ベビーカレンダー」。
※同社はその後2017年にMBOで独立し、2021年に上場に至ります。

2020年にはWeb制作・マーケティング支援をする会社を吸収合併し、産婦人科に対して更に付加価値を提供する第三の柱になりつつある、という状況で

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・代表はもとベネッセで育児メディアを牽引していた安田さん

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安田啓司1988年に株式会社福武書店(現ベネッセコーポレーション)入社。女性向けサイト「ウィメンズパーク」の立ち上げ、妊娠出産育児雑誌「たまひよ」生活情報誌「サンキュ!」などの事業責任者を担当。その後、2013年にクックパッド株式会社執行役に就任し、サイト全般、有料会員/広告事業、広報、ベビー領域、キッズ領域、ダイエット領域を経て、2015年、株式会社ベビーカレンダー(旧:株式会社クックパッドベビー)代表取締役に就任。
引用:https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/ctpb84/


ベビーカレンダー社の事業のご紹介

・月間UU800万超えの国内有数の育児メディア「ベビーカレンダー」

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育児Webメディアベビーカレンダーの閲覧数はリリース以降右肩上がりで増加中。
2020年末には月間PVが1億、月間UUが730万を突破。
その後も成長を続け、2021/4時点で公式サイトによると845万UUまで成長しているようです。
特に2019年以降の伸びが顕著ですね。Googleの検索アルゴリズムのアップデートで医療に関わる情報に専門性が問われるようになったことも、同社にとっては追い風になっているのだと推測します。

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・専門家への相談が無料でできちゃう!

代表の古巣の「たまひよ」は専門家に相談、の部分を「たまひよプレミアム」として有料月額課金にしていますが、これを無料で開放しているかたちです。

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ベビーカレンダーの「専門家への累計相談件数:8万件」というのは、たまひよプレミアムの月額440円で読み放題になる「6000件」と比べてもあきらかに多い件数です。

▽たまひよプレミアム

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そのかわりたまひよは3.6万人の有料課金で売上を創出しています。
3.6万人×440円×12ヶ月=売上1.9億円/年

ベビーカレンダーとしては「そのくらいの売上だったら無料にしてしまって多くのユーザーに読んでもらって広告収益あげたほうがいい、という方針でしょうか。
※事実たまひよはPVでいうとベビーカレンダーとは大きく差があります。

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http://ad.benesse.ne.jp/docs/library/mediaguide/net/190426_Benesse_InternetAD_TMH.pdf

たまひよ:1400万PV (2019年)
ベビーカレンダー:1億PV(2020年)

日本の産婦人科20%に使われている「ベビーパッド」

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ベビーパッドは全国450の産婦人科で利用されています。
待合室やベッドサイドでの情報提供するメディアタブレットしての機能や、診療予約管理などの業務管理支援など。
iPadごとレンタルする形式。

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▼その他産婦人科向けサービス

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ビジネスモデルはメディア広告×SaaSサブスク

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ベビーカレンダー社のビジネスモデルを図解するとこのようになります。
妊娠中のママ向けの情報を、丁寧に専門家の監修を通して無償で提供します。(サイト・アプリ上での専門家への質問も無料でできます。)
メディアとしてのマネタイズポイントは広告掲載。
産婦人科へのシステム提供は月額のサブスクリプションモデルです。

図にも表現している通り、同社の強みは丁寧につくりこんできた育児情報のコンテンツDBです。
それをタブレットから閲覧できる、通院者向けの商品として産婦人科にも売っているわけですから、メディア事業あってこそのシステムです。
ということで、同社のメディア事業について少し踏み込んでビジネスモデルキャンバスで特徴を整理してみます。

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同社のメディア事業の成功の起点は各種専門家との関係構築を通じて得た、妊婦・新米ママ向けの専門家のネットワークです。
その専門家達が監修してくれたコンテンツはGoogleなどの検索エンジンでも高い評価を受けて閲覧者が獲得できます。
また、協力専門家達がサイト・アプリ上でママ達の質問にも回答してくれるため、ママたちの満足度もあがるとともに、
QAがDBとして蓄積されることで、コンテンツに厚みが増してさらに検索エンジン経由でのユーザー獲得につながる。
という流れであると考察します。

おそらく代表の安田さんがベネッセ時代から続けているママ向けメディア運営を通じて培った専門家ネットワークが同事業の成功の要因なのだと思います。
※しかもおそらくですが、この専門家たちがシステム事業である「ベビーパッド」の顧客にもなっているといういいシナジーが生まれているのだろうと推測します。

ベビーカレンダーの売上、利益は?

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同社「成長可能性に関する資料」より抜粋します。

売上は2019→2020年に49%成長なものの、
2020→2021は20%成長の予定。少し成長ペースの鈍化が気になるところです。

経常利益ベースでは約1億。2021年計画で1.5億を見込む。というところですね。

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原価率が40%程度です。
メディア事業のコンテンツの監修や外部のライターへのアウトソース費用や、ベビーパッドの開発費用でしょうか。

今後の成長はいかに!?

ベビーカレンダー社は今後どのように成長を目指すでしょうか。
勝手ながら今後について考察してみます。

同社が今後取りうる成長戦略を下記のように整理してみます。

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①市場浸透
・ベビーカレンダーメディア事業の読み手や広告の獲得量拡大
・ベビーパッドの売上拡大

②新市場開拓
・メディアの海外展開や、現在攻めていない領域の読者や広告主の開拓
・ベビーパッドの未開拓販売エリアの拡大など(国内外)

③新商品
・ベビーカレンダーの新広告商品展開
・ベビーパッドのバリエーション展開や機能増

④多角化
・産婦人科への制作、マーケ支援(取り組み済み)
・メディア運営力、あるいはベビーパッド運営を通じて培った専門家ネットワークや読者などの資産を活かして育児以外のメディアを展開

どの戦略が筋がよさそうだろう?

・産婦人科向け事業はそこまで大きく伸びなそう
現状で全国に2353存在する施設のうち20%の450程度の施設に導入済み。
それでも売上が2億程度のため売上の拡大余地は大きくなさそうです。
※もし100%に導入されても売上10億ですので。

また、直近で産婦人科向けの制作・マーケティング支援事業をMAしたようですが、それでも売上の伸びしろという点では大きくはないかなと思います。
※そもそも全国に2000ちょっとしかない施設なので、売り手が交渉力を持っている気がしますので、そこまで集客のために必死になるというカテゴリでないように感じました。

・メディア事業の新市場を開拓、新商品に関しては余地はなくもなさそうだが、そこまで可能性は高くないのではないか?

後述しますが、そもそもメディアの広告に関しては「領域を拡大する」というより単価の向上(=現領域での高単価広告の獲得量を増やす)ことが優先度が高そうと感じます。

単純な広告掲載商品に加えて、カテゴリ単位でスポンサードで売り出したり、今展開していない形の広告商品を展開することも考えられるでしょうが、上記と比べて速攻性と効果に乏しいように感じました。

ということでこの記事ではベビーカレンダーの今後の成長について

①市場浸透戦略・・・ベビーカレンダーの拡大
④多角化・・・ベビーカレンダー以外のメディアの展開

の2つに絞って今後の成長性について考察してみようと思います。

--------------ここからは有料とさせていただきます-------------

ここまで読んで下さってありがとうございます。
ここから今後の成長に関する考察部分に入りますが、有料とさせていただきます。

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▼有料部分を読むと
・メディアの広告事業の伸びの可能性の考え方
・他メディアに拡張する際にどれだけ筋がよさそうかを検討する手段
を理解していただけると思います。

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