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修復という仕事

イタリア人というのは社交的でオープンな印象がありますがフィレンツェ出身の人たちは特にクローズな一面を持っています。

初対面でも明るく陽気に接してくれるものの一線は踏み越えさせないという雰囲気をイタリアに慣れてくればくるほど感じるようになります。

そして自分のやっているアンティーク家具修復という仕事。
フィレンツェのこの小さな町に数百人という家具修復職人がいてそれぞれの家庭で昔から付き合いのある職人というのが大抵数人いる。
ちょっとした新品の家具を買うよりも費用のかかる修復をしてまで大切にしているものをよく分からない外国人に依頼するというのは相当勇気のいること。
自分が逆の立場であれば昔からの職人さんとの繋がりを優先すると思います。
だからこそ木象嵌というより絞った技術を売りにしているというのもあります。
信頼と実績を得るというのは本当に長い時間と何かのきっかけが無ければ難しい。運に頼る部分も大きい。

下の写真の箱は以前、洋服ダンスの修復依頼を受けて自分の仕事を気に入ってもらいチップ代わりにいただいてきたもの。

修復前
修復後

修復前は欠損パーツと塗膜の劣化が激しかったのですが毎週土曜日にやっているYoutubeライブにて少しずつ作業をして仕上げました。

仕事が仕事を呼ぶ。
工房オープンからそんな時間をフィレンツェで過ごしてきました。

技術だけでは越えられない壁。
そんな壁を破れるように、今日も出来ることを少しずつやり続けています。

-Fin-


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