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【回想録】木象嵌職人を目指すことを決定づけたイタリアの二つの町

フィレンツェ留学1年目、2年目はイタリア国内・ロンドン、パリなど結構旅行もしました。
ヨーロッパ圏内であれば数十ユーロで格安飛行機があって気軽に移動も可能でした。

そんな中で木象嵌細工職人を目指すことを決定づけたイタリアの二つの町があります。

一つ目はAssisi/アッシジ

アッシジはウンブリア州の小さな町で聖フランチェスコ出生の地として今も宗教色が濃く残っている所。

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町に一歩踏み入ると、とても神聖で独特な空気を感じます。

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この日は朝から霧が濃くさらに神秘的。
そんな中、町のメインである聖フランチェスコ大聖堂へ。

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のちに木象嵌で製作したのですがこんな感じの建物です。

大きな大聖堂の中を見て回ると祭壇のある広いフロアへ。
有名な聖フランチェスコの生涯が壁一面に描かれています。

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そのフロアの木製の祭壇をよく見てみると木象嵌で作られた聖人がずらっと並んでいる。
ステンドグラスや壁画は色鮮やかで華やかな印象を与えますがフロア全体はとても厳かな雰囲気。
その厳かな空気を生み出している大きな要素の一つがこの木象嵌だとその時感じました。

色鮮やかな主役のような存在ではないけれど、繊細な仕事と時の経過を感じさせる木象嵌の木の表情がこの神聖な空気を醸し出している。

映画やドラマの名脇役のようなこの存在にすっかり魅了されてしまいました。

大聖堂を見た後、町の高い位置にある城壁を見るために坂を登っていくと次第に霧が晴れて、、、

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そこには雲海が広がる絶景が待っていました。
この日の景色と大聖堂の木象嵌は今でも強烈に頭に残っています。

そしてもう一つの町がUrbino/ウルビーノ。

マルケ州にある中世には理想都市とまで言われた町全体がしっかりとデザインされた丘の上の小さな町。

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ラファエロの故郷としても知られる町ですが自分の目的はDucale宮殿の中にある木象嵌で壁一面埋め尽くされた書斎。

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小さな6畳ほどの部屋なのですが壁の四方にびっしりとこんな感じの木象嵌が。。。

技法としては遠近法が使われていて狭い部屋がトリックアートのように広く感じるようにデザインされています。

ルネッサンス期の遠近法の確立とともに木象嵌での表現の中でも遠近法は多く使われて中でもこのUrbinoの書斎は最高峰。

とにかく木の使い方など表現方法の豊さに驚かされると同時にこの技術の可能性を感じました。

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他にもイタリア、ヨーロッパのどの町に行っても当たり前のようにある
たくさんの木象嵌作品。

なんでこんな凄い技術が日本にはほとんどないのだろう??

そんな疑問が湧きつつ、この技術の新たな可能性を感じていたのでした。

続く

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