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【ドラフト】『ファイレクシア:完全なる統一大考察(序文)』

こんにちは、ぞんびです。

全ては一つに!

年末のデカスロン進行に体を休める暇なく、兄弟戦争に次ぐ新たな戦火が今開かれます。そう、新エキスパンション『ファイレクシア:完全なる統一』(以下ONE)のリリースですね。多次元宇宙VSドミナリアの戦火を描くエキスパンションシリーズの3個目となるこのエキスパンションは、ファイレクシアの次元となってしまった旧ミラディン、今は新ファイレクシアへと乗り込み、そこで待つファイレクシアの軍勢にフューチャーしたエキスパンションとなっています。

今回も『リミテッド大考察』シリーズとして、エキスパンション全体を踏まえたカード評価をやっていこうと思います。全7記事を予定しています。末永くお付き合いください。結構じっくり体力回復してたんでちょっと出遅れましたが、こっからがりがり書いていきます。
まず最初となるこの記事ではONE全体の能力や特徴や気づいたこと、そのそれぞれの分析や考察をしていこうと思います。この記事シリーズの目的である、『環境分析』をする際のとっかかりを可能な限り並べようということですね。

カード個別評価白編はこちら
カード個別評価青編はこちら
カード個別評価黒編はこちら
カード個別評価赤編はこちら
カード個別評価緑編はこちら
カード個別評価多色+その他編はこちら



1:新規メカニズム『毒性』

ミラディンの傷跡でも登場していた毒カウンターを扱う『感染』、あるいはその前にあった『有毒』をアレンジした、毒カウンターを与える第三の能力です。戦闘ダメージをプレイヤーに与える際に、それに付随して毒性の数値の数だけ毒カウンターを与える能力ですね。

ライフ以外の勝ち手段を狙うことができる能力であり、他の特殊勝利手段であるライブラリーアウトなどと比べるとかなりやりやすいです。
通常のライフレースを無視して勝てるため絆魂といったライフ回復要素に強かったり、クリーチャーの質が負けていても押し込めるチャンスがあるなどの利点があります。
ただし分析すると、『毒性単独では』かなり弱い能力だと今回判断しました。理由はそのシステムそのものにあります。
毒性は数字が固定であり、過去の感染と違ってクリーチャー強化で増やすことができません。そのため、基本的には額面に書いてある数字をそのまま相手に与えていくことになります。そして条件は戦闘ダメージに限定されているため、必ずそのクリーチャーのパワー分ライフも減ることになります。
ここが構造上の弱さにつながります。ライフも同時に減るため勝利に向かっての二面作戦になりがちですし、言ってしまえば『自身のパワーの半分以下の毒性』には意味がないわけですね。半分だったら、ライフを削るペースと毒が溜まるペースは同等であり、であれば毒性持ち以外も攻撃できるライフのほうが効率がいいからです。
しかし一方で、そのジレンマを解決するために自信のパワーよりも極端に毒が多い、あるいはサイズも毒も大きいクリーチャーを作ってしまうとそれはもはや毒ではなく『そのクリーチャー単独の』勝利条件となってしまいますね。それでは意味がありません。
結果として今回の毒性持ちはおおよそサイズが1~4、毒も1~2という範囲に収まっており、『自身のパワーの半分以上の数字の毒性持ち』もきわめて少ないです。4/4以上のサイズは数体しかいないですね。そもそも毒性持ちのクリーチャーの数もあまり多くないですね。緑黒白の3色それぞれで全体の1/3ずつ、赤と青はほぼ0といった感じです。そのため、『毒性持ちのみで固めて効率よく毒勝利をするデッキ』はおそらく組むことができず、毒勝利よりもライフ勝利のほうが基本的に狙うことになると思います。
それでは全く無意味な能力かというと違います。今回のONEでは上述した毒の構造上の弱さを補うためセット全体で様々なフォローがされています。この後に語られる『堕落』『増殖』『ダニ』ですね。それらの要素を組み合わせると強く、また、組み合わせてやっと一人前の能力と思うべきでしょう。



2:新規メカニズム『堕落』

毒の弱点である『中途半端に毒を与えることに意味が無い』をフォローする目的でつくられたメカニズムです。対戦相手が毒カウンターを3つもっていることを条件として能力が追加あるいは向上するカード群ですね。


堕落がデメリットになるようなカードは無く、純粋なメリットとしてつくられています。メカニズムとしての注意点としては、呪文であればそれが解決する瞬間を、クリーチャーであればその都度で『堕落持ちと同時に戦闘ダメージを与えた場合』にはそのダメージで与えられる毒分は無視して堕落をチェックします。
10個でなく3個持っている時点で毒に意味が生まれるため、相手としてはブロックの取捨選択が非常に難しくなりますね。堕落を用いる側は以下に序盤からスムーズに達成できるか、受ける側はちゃんと序盤にブロッカーを出してそれを挫くかが大事になってくる能力だと思います。低マナのクリーチャーが毒の有無関わらず全体として評価が上がりますね。
しかし、能力としてちぐはぐに感じる部分が堕落には残っています。それは、『堕落によってもたらされる恩恵は毒を増やすことに役立つものではない』ということですね。除去能力が強化される場合は毒達成に役立ちますが、それ以外はほとんどがクリーチャー強化/ライフ狙いの効果ですね。そして堕落持ちで毒性持ちも1体もいません。
もともと『半端な毒でも意味があるように』を目指して作られた能力なのでそれ以上毒を稼ぐ方向ではないということなんでしょう。そのため『きちんと毒10を達成できるデッキ』に堕落が入ってもあまり強くなく、また『ライフを意識して毒をあまり稼がないデッキ』でも意味がないですね。除去以外の堕落は、序盤に『毒を持っているがサイズが小さくなっているわけではない』クリーチャーで効率よく稼ぎ中盤以降しっかりライフを狙う能力だと思っておくべきでしょう。
そもそも堕落の数もあまり多くないですね。白と黒にしか存在せずトータルで11枚です。2色にしかない能力としては十分ですが、デッキに統一感を持たせれるほど取れるかはわかりませんね。毒持ち/堕落カード/それ以外のライフを攻める要素のピックバランスが非常に難しく感じます。神河の忍者に近いですね。あちらは『忍術のタネ⇒忍者』の順に用意しなければならず、こちらは『毒⇒堕落』の順に用意する必要があります。あちらよりも要素二つがバラバラなので、より扱いが難しいかなと思います。理想としては強い毒持ち+除去堕落くらいがちょうどいいのかもしれません。
このようなバランスの難しさ/構造の矛盾点を抱えてるため筆者としては結構訝しんでるカード群ですね。


3:新規メカニズム『ダニ』

メカニズムとして取り上げるべきか怪しいのですが、毒を話題にするうえで避けて通れないのでメカニズム扱いとしました。『毒性1』『これではブロックできない』を持ちアーティファクトクリーチャーであるトークンを生成するカード群ですね。


イラスト大体気持ち悪いです

ほぼ白にしか存在しない能力ですが、白にはコモン3枚を含み7枚存在し、十分カード群として扱えると思いました。白のカードの毒性持ちの数を水増ししている大事な要素ですね。
ブロックできないため毒性目当てのアタックをすることしか基本出来ず、用途が狭めのトークンです。しかし生成するカードのコストに比べて優位な毒の数になることが多く、堕落狙いにせよ毒勝利狙いにせよ十分貢献してくれるでしょう。どちらかというと堕落狙いのほうが扱いやすいかもしれません。『ライフを狙うクリーチャー』を通すか『ダニを通して堕落達成させるか』の2択を迫れるからですね。さすがにダニだけで10個は難しそうなため。
また、アーキタイプ解説の時にも解説しますがトークンがアーティファクトであることも重要です。アーティファクト参照カードアーキタイプが今回あるためそれの水増しにもなりますね。白の要素の中ではシンプルな毒性持ちよりも越境性が高くなりやすく重要な要素ではないかと考えています。


4:再録メカニズム『増殖』

順番を入れ替えて毒に関係あるこちらの再録メカニズムを先に紹介します。
ミラディンの傷跡ブロック及び灯争大戦でも登場した人気メカニズムですね。『パーマネントやプレイヤーが持つカウンターを1個ずつ増やす』という能力です。

青黒緑に集中的に割り振られており、白には0枚、赤には2枚のみとなっています。
ミラディンの傷跡の時は『-1カウンター』を、灯争大戦のときは『+1カウンター』が同時に存在することによりそれらを増やすことで盤面強化がシンプルにできていました。今回は意図的にそのどちらも含まれていません。そのため『増殖する意味』をしっかりと自分で見出しておかないと有力な戦力に変えることは難しいでしょう。
『毒殺』『堕落の達成』『油の増加』が主な用途になりますね。どれもどうしてもコンボめいた用途になってしまう為堕落と同じような扱いの難しさがあります。自分のデッキによって『何のために増殖するのか』はしっかり考えて、増殖される側のカードの方向性を揃えておかないといけなさそうですね。
毒殺/堕落目線で見ると自分のアタックが通らなくなってきたころに10個/3個を目指して使えますね。それらのデッキでは多少重い増殖でも問題ないと思います。ただし継続的な増殖を行えるカードはかき鳴らし鳥1枚しかないため、『毒を1個与えた後増殖だけで10個貯める』といったようなことは不可能だと思います。
油はどうしてもコンボ的になりタイミングよく使いたいことが多くなります。軽量の、ある増殖が大事になると思います。赤青であればインスタント/ソーサリーであることも大事でしょう。緑の増殖は質がいいクリーチャーとセットになっているものが使いやすいですね。
増殖自体は3色ですが、増殖されたいカードはすべての色に満遍なく存在しておりかなりの越境性を持つ能力といえます。増殖持ちの中で強いカードは評価が加点されると思います。大事ですね。
ルール上の注意としては、『結果として一個もカウンターが無かったり、増やせなかったとしても増殖を行うことはでき増殖したことになる』ことです。いくつかある『増殖した時』の誘発に関わります。

5:新規メカニズム『油』

今回新しく登場したカウンターの種類です。ですが、基本的には特別なことは何もなく、以前であれば蓄積カウンターなどで処理されていた部分の名前が変わっただけですね。

全て『多いと嬉しい』効果となっていて、その点で増殖とシナジーを意識されています。
油の補充手段やもたらされる手段は多く、効果自体も多岐に渡っています。ですが最終的にはアタックに関わる能力であることが殆どですね。
油に関連するカードも多かったり、貯める手段が多岐に渡るためいろんなデッキに出張できる部分もあると思います。『増殖/油シナジーを持っていないから』で切り捨てるのではなくちゃんと有用な効果かどうかを見極めたいですね。


6:新規メカニズム『ミラディンのために』

これもミラディンの傷跡の時にあった『生体武器』のリメイクです。装備品にクリーチャーがついてくるお得セットですね。

トークンのサイズが2/2と大きいためどれも基本的には普段のクリーチャーと同じ程度のサイズ感になっています。その分装備コストがやや重いですが、装備品を積極的に使うというよりは『普段のクリーチャーが死亡したらおまけで装備が残った』って感じですね。おまけとしては十分。
装備品自体に関係ある効果がいくつかあり上振れを期待できます。また、『非クリーチャー/アーティファクト呪文を唱えたらクリーチャーが出てくる』といった構図であるため赤か白が絡む幅広いアーキタイプに越境できる能力ですね。強いというよりは便利という能力です。毒殺路線とかでも戦闘力が上がるのは嬉しいため結構見る場面が多くなりそうです。


7:リミテッドアーキタイプ

いつもの通り、リミテッド環境を分析する上で必要な「デザインレベルで用意されている」アーキタイプについての分析です。今回も基本パターンの「2色の組み合わせそれぞれに一つ、合計10個」のパターンになりますね。それぞれ触れていきます。ただ、実は更に隠された真実があります。順番に説明しましょう。


白青:アーティファクト
主にアーティファクトを持っている/出すことで強化されるアーキタイプです。アーティファクトクリーチャーの数自体は少ないのですが、白には『ダニ』と『ミラディンのために!』があるため事実上結構数が稼げますね。
参照するカード自体少な目であり、また油や毒や増殖とも基本的に複合できず狭いアーキタイプです。しかし方向性は『殴る』に集約されていて扱いやすいですね。逃亡した実験体やマルカトールの眼がコモンにあり、同化のヴェールなどのバックアップもできます。狭いアーキタイプということは他の大手に取られづらいパーツが多いということなのでタイミング良く狙って集めれると結構勝てるアーキタイプを予定してます。


青黒:増殖
増殖カードが多く、またいくつか『増殖した時』の誘発を抱えているアーキタイプです。漫然と組むと半端になる予感がビンビンしますね。毒殺したいのかコントロールしたいのかライフ狙うのかわけわからないことになりそう。スペル類の増殖が使いやすいため、青に寄せて油ビートの派生にするか、黒に寄せて毒の派生にするかをきっちり決めておけばどちらの場合でもクロックパーミ的に戦えるかな?策謀の有貌体が凄まじいカードなのでこれを見たときに走りたいですね。他の色だと持て余しそうだし。


黒赤:生け贄
クリーチャーとアーティファクト共に生贄に捧げることができます。ただしトークンの用意が赤黒だけだとやや苦戦しがちですね。多色アンコモンも正直パッとしない手ごたえです。油と複合している再誕槽や堕落と複合している騒がしい這い回りなどはかなり強いカードであるためどちらかを目指してピックを始めた後に着地するアーキタイプのように思います。コントロール奪取カードも今回アンコモンなので自発的に目指すことは難しいかな?


赤緑:油ミッドレンジ
いつもの雑な赤緑です。適度に油を使って適度にクリーチャー出しましょう。漠然としすぎていてほんと何も言えないですね。多色アンコモンはめちゃくちゃかっこよくて強く、それを見たら目指すアーキタイプとしてもいいかもしれません。緑には増殖もありますが、緑の油カウンター使うカードがあまり増殖を必要としていないのがちょっと悲しいですね。赤の油持ち戦闘担当を増殖してフォローしながらクリーチャー展開できる形になったら強いのか?

緑白:毒ビートダウン
毒性持ちクリーチャーを使いながら、ライフも並行して狙うアーキタイプです。この色の毒持ちはパワーもしっかりあるため、豊富なサイズ修正カードと合わせて相手に『ブロックを強要しながら踏みつぶしていく』形になるのかなと思います。並行と言いましたが大体ライフで勝ってそう。毒性持ちであると強くなるバットリが白と緑にそれぞれあるためそれらをうまく使うために毒性を使うって感じでしょう。多色アンコモンが超強い。

白黒:堕落
堕落がある唯一の色であり、それを有効活用したいですね。多色アンコモンである生体解剖の福音者がとにかく強力で、それを回収やセルフバウンスでの再利用もしながら押し切るのが勝ちパターンでしょう。それ以外には切歯の滑空機もアーキタイプに強くかみ合ったカードです。毒持ちを取り始める⇒滑空機が安い気配を察知してかき集めて参入のパターンはよくありそうですね。逆に黒側から堕落を狙うことは少なさそう。

黒緑:毒殺
毒性持ちクリーチャーでしっかり毒10個を狙うアーキタイプになります。黒には毒性、増殖、毒直接付与と必要な要素がすべてそろっているため黒メインでピックした際にメインで狙うアーキタイプだと思います。逆にしっかり毒殺するアーキタイプがこれだけなので黒を活かすならこれしかないって説もあります。

緑青:増殖/油ランプ
これもめちゃくちゃふわふわしてます。正直全くわからないし弱そうだなって思ってます。カードが取れなかったときに逃げ道になるかならないかって感じじゃない?
一応、ランプではなく青の油要員+緑の増殖クリーチャーで殴る形を目指すのがいいかなと思います。実際にやってみないと正直ピンとこなさすぎる。アンブロマンに剛力化つけてワンパンアーキタイプの可能性あります。

青赤:非クリーチャー呪文+油
油を扱うアーキタイプであり、またそれをためる手段が『非クリーチャー呪文』に偏っているアーキタイプです。油を使うカードに好戦的なカードが多く、それらは増殖付きの除去との相性がいいのがいいですね。赤の油付与ジャイグロなどもあり、油を経由しているものの構造としてはシンプルな『打点要員のクリーチャーを呪文でバックアップする』アーキタイプだと思います。団結のドミナリアの赤青にプレイ感が近いコンボっぽいビートダウンになると思います。個人的に筆者がかなり押してるアーキタイプですね。

赤白:ミラディンのために/装備品
新規メカニズムのミラディンのために!を中心としたアーキタイプです。装備品のコスト軽減なども存在していますね。
ミラためはそこまでコストパフォーマンスも悪くなく、打点を維持できるビートダウンとして振舞えそうです。ただこれも積極的に自分から目指すことはなさそう。ミラため自体が越境性が高いメカニズムであるため他アーキタイプとの併合がメインになりそうです。


8:『裏』リミテッドアーキタイプ

10個とりあえずリミテッドアーキタイプを並べましたが、実はこの環境にはもう一つ『裏』のアーキタイプ群があります、いや、実は別の次元の姿を持っているというべきでしょうか。
そう、筆者はアマゾンの奥地まで冒険を行い月面調査も行い新事実を発見しました。それは『新ファイレクシアはイコリアである』ということです。
具体的に言いましょう、『実は新ファイレクシアは楔3色のアーキタイプ5つに分かれている』ということです。このセットでアーキタイプになりそうな重要な要素をピックアップし、それが得意な色を並べた際に3色ずつ綺麗に並んだんですよね。
おそらくこれは意図されたデザインで、2色アーキタイプでふわふわしたものが多かったり越境性の高いメカニズムが多いことにより生まれたものでしょう。以下にそれぞれを書きます。

白黒赤:トークン生成と活用
白側からはダニが提供され、赤からもいくつかゴブリントークンが、そしてそれらを食べる黒といった感じですね。
他にもミラディンのために!はトークンを生成しながら、そのトークン類に装備品を付け替えて活用することができます。各種回収カードも有効に使えますね。白黒は堕落よりもこのトークン生成戦術のほうがメインじゃないかと感じるほどですね。

青赤緑:油!
青緑や赤緑がふわふわしていた理由がここにあります。3色でまとめて油アーキタイプなので、その2色だけ切り離してもピンとこないわけですね。
ただ油とまとまっているだけではなく、油を使うカードが殆ど攻撃側として有利なカードが揃っているのがポイントですね。そのためどの2色であっても『油を揃えて殴って勝つ』を意識するべきだと思います。油の揃え方やエースになるクリーチャーは色によって変わるものの概ね行けるでしょう。青緑だけちょっと不安。

黒白緑:毒
これは一番わかりやすく世間にも認知されている楔だと思います。堕落毒殺ひっくるめてとにかく毒カウンターベースで考える色ですね。逆にこの3色にまとまっていない場合は毒を無理に使う必要が薄そうなので、そこをしっかり切り分けてピックの参考にしたいです。毒カードを集めていればこの3色の中である程度シフトはできますね。

赤白青:アーティファクト
あるいは非クリーチャー呪文との複合ですね。白からはダニが、赤からはミラため装備品が提供されるため、青中心で考えるととらえやすいアーキタイプだと思います。もちろんアーティファクトシナジーにこだわらず非クリーチャー呪文目線で見てもいいですね。赤青の赤のパーツ+赤白の白のパーツ(装備品)で組まれた『油カウンターを非クリーチャーで増やすが盤面展開もできる』みたいなアーキタイプも成立すると思います。3色の中でどこに寄せるかが流動的で、いざやると幅が広そうで好みです。

緑黒青:増殖
増殖はこの3色に偏っていますね。しかし青緑は結局油としての側面が強いので、3色でまとめる意味が一番少ないかもしれません。基本的には緑黒の毒の延長上の話になるでしょう。黒が増殖はあるものの油を使うカードがほぼないためですね。いざ揃ってみると再誕槽を増殖しながら毎ターン使う不愉快アーキタイプの可能性もありますねw

これら3色でまとめたときに気が付くべき要素は2個あります。
その1は『単色はそれぞれ要素が3つある』ということです。黒であれば『毒、堕落、増殖』で白であれば『毒、アーティファクト、トークン』といった感じですね。そのためそれぞれのカード評価するときには『どの用途素として使えるのか』が大事ですしピック中も『いま白のどの要素に向かっているんだ』という自覚が必要だと思います。漫然と色で取るわけにはいかないということですね。
その2は『対抗色2色は2つのアーキタイプがある』ということですね。友好色は1回しか楔に出てきませんが、対抗色は2回出てくるためです。白黒は堕落とトークンがあったり、赤青は油とアーティファクトだったりとですね。今名前を出した2色の二面性は特に大事だと思います。アーキタイプの受け幅は広く残したいですね。ほんと、白黒=堕落というイメージを払しょくしたい、してください。


9:各気づきポイント

ここからは、恒例の『カードプール全体を俯瞰してみて、いろいろと攻略の上で気づいたポイント』に触れていこうと思います。細かいものから大きいものまで混在していますがお付き合いください。


・除去の強さ指標
『強いけれど意外と狭い』という感想です。
まず白除去は過去最強の『平和な心』があります。それだけでなく、やや重いものの除去でもシナジーカードとしても使えるダニの突撃があり融通も利きますね。解呪枠も重いもののクリーチャー除去にも転じることができ悪くはないです。多用はできませんしデッキに入らないことも多いと思いますが。
青除去はコモンにインスタントバウンスもパワー低下もなくやや不安があります。ただし除去オーラ枠の『呟惑の妙薬』はおまけとして持っている増殖が強く、テンポよく利益と除去を行ってくれる優秀なカードです。
黒除去は実は偏りがあります。アンコモンの除去こそ範囲が広く優秀ですが、コモンは『堕落していなければ3マナ以下のみ』『生け贄がいなければ5マナ』『3マナの布告』と1枚も素直な確定除去がありません。黒は堕落かトークンのどちらかに寄せなければいけないと思う理由ですね。ちゃんとアーキタイプに沿ったものを取り利用できなければ除去性能では近年では不安が残る方といっていいでしょう。もちろん、そのどれも追加効果があり、ドロスの囁きも増殖があると、アーキタイプと状況にハマれば非常に強いカード群です。ちゃんと強く使うデッキを意識しましょう。
赤除去は使いやすいインスタント2種、重いソーサリー1種といつも通りと言った感じです。ただし呪い金の斬撃は特筆対象ですね。7マナの2種を除いてすべての毒性持ちを除去することができます。毒持ちを使うときには気をつけたいですし、環境観を語る上で絶対に外せないポイントです。
緑除去は兄弟戦争の格闘を名前を変えての再録ですね。十分強いんですが、毒持ちからこれを打つとちょっと無駄になりがちなのはもったいないですね。
総じて黒除去の不安定さのせいで意外とトータルの除去の強さは低めだと感じます。『毒を持たず』『マナコスト3以上で』『タフネス5以上』のクリーチャーは一種の除去耐性といえますね。


・クリーチャーのサイズ感
毒性の項目でも書いたように、そのメカニズムが存在することによって環境サイズがかなり低めに抑えられています。特に毒が割り当てられている緑と黒が深刻で黒のコモンは最大サイズが4/4、緑も5マナで3/4、6マナのあまり強くないやつで6/5と普段と比べて明らかにサイズが小さくなっています。2~3マナ域は割と普通なので、4/4以上になるのが難しいといったところですね。3/4のサイズは壁として安定感がありそうですし、2/3も2/2先制を受けれるので重要です。一方で4マナ以降でタフネス3であるクリーチャーはちょっと使いづらそうです。
実は赤には悪くない5/4/5がいるためサイズでは一歩リードしていますね。


・ゴリゴリアーキタイプ環境
毒も油も堕落も増殖も、デッキ全体でまとめることにより専門性が上がり強くなるメカニズムとなっています。それらの混合デッキであっても、『混合デッキ』という形で専門性を持たせれますね。漫然とした『コントロール』『ランプ』『ビートダウン』となるのではなく、しっかりと自分がその色のどの要素、あるいは楔三色のどれに乗っているのかを自覚して、デッキ全体のアーキタイプを統一してピックしたほうがあからさまにカードが強くなると思います。


・攻撃優位なテンポ環境
毒及び堕落は攻撃時にしか意味がない能力です。関連しているダニもそうですね。油もすでに述べた通り攻撃時に有利になるクリーチャーについていることが多いですね。その他にも今回は『攻撃時』に誘発したり有利になるカードがかなり多く目立ちます。メカニズムに押されていることもあり、明確に『先に攻撃宣言する側』が有利で勝率も上がるでしょう。
だからこそ一方的に殴られない/毒を貯めさせないために序盤にちゃんとテンポよくクリーチャーを出すことが重要と考えています。序盤にクリーチャーを出す以外の行動となるカードは軒並み評価を下げていますね。


・PWが10枚ある
完成化したPWが5枚、そうでないPWが5枚の全10枚が今回登場しています。灯争大戦と違いすべてレア以上であるため、そこまで極端な影響は出ないと思いますがそれでもどれも強力なカードであり(2,3枚そうでもないのもあるけど)『対処方法が必要なボムレア』がその程度環境にあることは意識に必要だと思います。これも前述した要素と同じく『テンポのいい展開』である程度にらみを効かせることができますね。他にも今回はコモンにもちゃんとプレインズウォーカーの処理に使える除去があるため、展開ができない受け気味のデッキではそこも意識しておきましょう。


・アーティファクトはそこまで多くない
ミラディン次元の延長上のイメージを持っているとアーティファクトが多そうに思えますが、実際にはそうではありません。アーティファクト関連である赤白青3色の中にはそれぞれの色ごとにある程度まとまった数のアーティファクトがありますが、緑と黒は一気に減ります。特に毒性持ちのアーティファクトクリーチャーが極めて少ないことは留意するべきです。それらを序盤で打ち漏らすことはダメージが大きく、アーティファクト破壊カードを入れることをためらう理由にはなります。ただし、強いシステムアーティファクトも多いため除去の枚数を減らさない程度にアーティファクト破壊も入れたいですね。実際は入れます。


・コンバットトリックは優秀より
ドミナリアの団結で生まれた『盾構え』の系統は残念ながら途切れてしまいました。が、キャントリップ付きの修正、破格の1マナ瞬速オーラ、3マナ呪禁つき瞬速オーラに加えて赤に2枚コンバットトリックがあると、種類と強さは一定のラインを超えていると判断します。攻撃優位環境も合わさり、毒性や油持ちをだし、コンバットトリックをバックアップにずっと殴り続けるゲーム展開は発生しやすいのではないでしょうか。こちらもできればコンバットトリックで迎え撃ったり、相手がテンポ損するような(3マナあるのに2マナしか使えない等)のコンバットトリックの撃たせ方をする意識が必要そうです。
インスタント除去自体はあるものの前述した通り範囲に偏りがあり、バウンスが無いことも合わさりコンバットトリックを打つこと自体のリスクも少なそうなのが追い風ですね。


・3色以上は非現実的
楔3色のアーキタイプがあるとは言いましたが、実際に3色でデッキを組むことはタッチだとしても非推奨です。色マナサポートが今回は極めて弱いためですね。マイアの改宗者や砂丘動かしのようなクリーチャーはまだしも、予言のプリズムなどのような盤面を放棄することになる色マナサポートなどは使いづらいでしょう。名前を挙げた2枚は割とスムーズに色マナを供給してはくれますが、マイアはアンコモンですし砂丘動かしはあんまり強くないですね。両者毒持ちなので毒の頭数を揃えながら色を増やしたい場合には役立ちますが、緑白の毒と緑黒の毒は相性が悪いので、実際には青黒緑の時のみになると思います。
一応楔3色であればまとめることによりアーキタイプで統一できるうまみもありますが、序盤テンポをリスクにさらしてまでやることか疑わしいです。きわめて強力なレアのタッチのみに留めるべきでしょう。そういう意味ではいつも通りですね。

・毒が序盤は人気でそう
3色の楔構造がこの環境を読み解くカギだと筆者は確信しており、それは実は気づきにくいことだとも思っています。しかし一方で『黒白緑は毒』という部分だけは既に露見しています。メカニズムとしての毒に対する憧れ/人気も世間では高く、『とりあえず毒殺したい』という思考の人が増えるのではないかという漠然とした予想がありますね。白黒堕落のリスクよりもリターンが多く取りざたされそうという部分もあります。そのような諸々の理由で環境序盤はとりあえず毒決め打ち気味にピックする人が増えるんじゃないでしょうか?
ただし毒はあくまでも黒白緑3色に限ったアーキタイプであり、決め打ち気味のピックが何人も1卓内で許容されるほどの受け皿はないです。よほど強い毒パーツが序盤に取れたとき以外は避けるほうが賢明に思っています。
また、毒はすれ違いを申し込みがちなので赤青のコンボビートプランは非常に戦いやすいと思っています。一度試してみて環境を見てみるつもりです。
もう一個ピンポイントな部分としては警戒が普段より強い可能性がありますね。毒とのすれ違いの拒否、特にダニトークンをけん制する意味が大きい能力です。普段より評価が高くなりがちかも。



以上で、序文パートは終わりとなります。この後は順次各色のパートを執筆していきますね。正式リリースまで今回も約一週間ほどあります。是非お読みいただきながらお待ちください。


最後になりますが二つ宣伝です。

意見交換やドラフトを一緒に観戦したり交流する場としてDiscordのサーバーを立ち上げました。

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また、今回の記事は無料公開としています。が、もし記事読まれたかたでご厚意でサポートしていただける方がいましたら是非今後のMTGAでの活動や主催しているMTGA大会企画『まじ☆すと』の運営資金とさせていただきます。是非よろしくお願いします!


では、次の記事でお会いしましょう。


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