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ノードから始めるブロックチェーン活用基盤の構築 Part2

前回のPart1では、ブロックチェーン技術はP2Pシステム(分散システム)を実現するための技術であり、データを保存できる止まらないシステムであること。そして、ブロックチェーンプロジェクトにおいて、最も重要なことは「分散」であり、分散システムを安全に運用するには、フルノードの存在が不可欠だと述べました。

デジタル社会の到来

昨今「DX」「デジタル・トランスフォーメーション」はバズワードとなり、ビジネス界に限らず行政もDXに取り組むようになりました。コロナウイルスの蔓延で、従来のやり方では不十分だと気づいたことも大きな要因のひとつでしょう。

デジタル化が進む背景には、リチウムイオン電池の発展、IoTやセンサーデバイスの増加、5Gの普及があります。総務省が発表した「令和2年版情報通信白書」によると世界のIoTデバイスは、2023年に348.3億個と予想されています。

DXした後の社会は、これまでオフラインだった物がオンライン状態になり、オンラインとオフラインの境界線がなくなってきます。オフライン状態が当たり前だったことがオンライン上でデータを処理できるようになると、オフライン → オンライン の流れと同時に、 オンライン → VR/AR という流れが起きています。紙で見ていた地図はGoogleマップとなり、GoogleマップはARで道案内してくれるという事例を考えれば、想像しやすいと思います。

では、デジタル化した社会の次に来るのはなんでしょうか。それは分散型社会です。

分散型社会

この場で分散型社会の定義はしませんが、ヒト・モノ・カネ・データが分散した状態を指しています。分散した社会を実現できる技術が、ブロックチェーンとその周辺技術だと思っています。ブロックチェーンが本当に実力を発揮するのは、こうした人間の生活インフラの基盤となる時です。

世間一般的にはブロックチェーンというとビットコインとなりがちですが、ブロックチェーン技術の活用にこれから取り組もうと考えていらっしゃる方は、ポストデジタル化社会におけるインフラとなる可能性があることを覚えていて欲しいです。

ここまで理解すると、ブロックチェーンの活用と基盤作りに不動産としてどう関わっていくかも考えやすくなります。

ブロックチェーンの合意形成

分散型社会の基盤となるパブリックブロックチェーンでは、世界中のノードがブロックチェーンネットワークに参加します。中央集権的な機関が存在しないシステムですので、取引に関わっていない第三者が、その取引データが正しいのか検証・証明してあげる必要があります。その検証のために計算することをマイニングと呼んでいます。中国ののマイニング工場などニュースで話題となりました。

マイニングを検証のために使っているプルーフ・オブ・ワーク(PoW)
ステーキングという検証作業に条件をつけたプルーフ・オブ・ステーク(PoS)

大きく2つの仕組みを「合意形成」「コンセンサスアルゴリズム」とよく言われますが、ここではシビルコントロールメカニズムと表現しています。

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ビットコインはPoWを採用しているブロックチェーンです。マイニングでは莫大な計算力を使って最も早く計算したノードが報酬を得ます。そのため、高性能なマシンで電力を大量に利用します。電力消費による環境問題というデメリットがありますが、世界中でマイニングに参入できるので、効率よく分散システムを維持できる画期的な仕組みです。

PoWのマイニング競争では、マシンが高額であることに加え、早い者勝ちなので報酬が安定しない場合もあります。勝つためには、電気代の安い地域で高性能マシンを大量に購入する資金が必要なので、ノードの分散は少し制限されます。

一方、PoSを採用するブロックチェーンでも多く存在します。イーサリアムでは、5年ほどかけてPoWからPoSに移行する計画がスタートしています。PoSの中でもいくつか種類がありますが、共通している点はブロックチェーンネットワークに参加するために自己資金をデポジットしなければならない点です。自己資金を預けているので、ブロックチェーンネットワークを安全に、正しい検証をするインセンティブが生まれます。ブロックチェーンにもよりますが、比較的少額からでも自己資金を預けることでネットワークの安全性に貢献できるので、参加のハードルが低いと言えます。

フルノードの運用

どちらのシビルコントロールメカニズムを採用していても、ネットワーク参加者を増やし、ノードを分散させることがブロックチェーン ネットワークの安全性に寄与します。中でも、ブロックチェーンに書き込まれたデータを全て保持しているフルノードの数と分散化は非常に重要です。

フルノード は、過去のデータを全て保持する必要があるので、ブロックが成長していくほどに必要なデータ容量が大きくなります。ノードの運用に必要なスペックも合わせて上げていく必要があるので、コストが大きくなってしまいます。基本的に、ノードは24時間稼働し続けるためエンジニアコストもかかります。

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イーサリアム場合、2020年10月でフルノードを運用するには500GB以上が必要でした。グラフのようにブロックチェーンの参加者が増えるほど、必要なスペックが大きくなっていきます。フルノードの運用にコストがかかりノードが減ってしまうことは、ブロックチェーンネットワークにとってマイナスです。

ノードとプライバシーの関係性は、前回のPart1 をご覧ください。

不動産事業とブロックチェーンノード

フルノードを低コストで誰でも所有できる社会になるほど、分散型社会に近づくと考えています。弊社では、フルノードを利用・所有・貸し出しができるサービスを目指しています。

ノードを運用するためには、安全な場所が必要です。我々が安全な生活のために住宅を借りるように、ブロックチェーンを使ったアプリやサービスもフルノードを借ります。住宅がなくなることはありませんが、日本の人口は年々減少しています。基本的に、不動産は人が使うための空間ですが、デジタル化・クラウド化がすすみデータセンター施設が建設ラッシュとなっています。まさに、機械のための不動産です。デジタル化に伴って、人から機械へとシフトしていることは事実です。

デジタル化・DXの後に、分散型社会が到来し、基盤を担うブロックチェーンを支えるのは、紛れもなく一つのコンピューター(ノード)です。クラウドデータセンターの建設は、一部の大企業が担っていますが、ブロックチェーンは分散型社会のインフラですから、不動産事業を軸として貢献できる可能性も大いにあります。誰でも、ブロックチェーンデータセンター始められるのです。

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