ノードで始めるブロックチェーン活用基盤の構築 Part1
不動産DXをテーマにした不動産事業者向けのセミナーを元に登壇資料を公開しました。いわゆる地場の不動産屋や一般的な不動産事業者とブロックチェーンデータセンターを構築していくにはどのような取り組みが必要か。ブロックチェーンに参加するコンピューター(ノード)がなぜ重要なのかを解説していきます。
ブロックチェーンをざっくりと理解する
ブロックチェーンとは何かを理解する前に、まずは分散システムから理解する必要があります。
分散システムとは「それ一つでシステム全体をダウンさせるものが存在しないシステム」
P2P(ピアtoピア)システムとは、「個々のコンピューター同士が互いに繋がりあって構成される分散システムの一つ」
このP2Pシステムを実現するために、ブロックチェーン技術が注目されています。
ブロックチェーンとは「データを保存できる止まらないシステム」です。例えば、ブロックチェーンが活用された最も有名な例であるビットコインは、約10年間1度も止まったことがありません。
ブロックチェーノードとは「ブロックチェーンネットワークに接続した個々のコンピューター」のことです。
なぜノードが重要か
ブロックチェーンノードを説明する前に、簡単に分散システムにおけるノードとシステム全体の関係を理解しましょう。
ここに2つの分散システムがあるとします。ノード同士が繋がっており、どれか一つのノードがダウンしてもシステム全体がダウンしない分散システムです。ノードの数は同じですが、それぞれ直接繋がっているノード数が異なります。
左側の分散システムでは、ノードは自分以外の15ノード全てと繋がっています。この状態であれば、お互いが直接やりとりすることができるので、他のノードが行ったことを全て把握したりデータを直接検証することができます。
一方、右側の分散システムでは、自分以外の3ノードとしか繋がっていません。例えば、自分の真横のノードしか持っていないデータが欲しい場合には、他の繋がっている3ノードに問い合わせます。聞かれた3ノードもデータを持っていないので、また自分が繋がっている他の3ノードに問い合わせをして伝播していきます。その結果、ようやく欲しいデータが手に入ります。
右側の分散システムでは、各ノードの処理能力が低くても機能するシステムと言えますが、このネットワークに参加しているノードを信用することが前提となっています。一方、左側の分散システムでは、各ノードが他ノードのデータを検証できるので、信頼しなくても良いシステムですが、その分処理の負担が大きくなってしまいます。
全く同じではありませんが、これと同じようなことが、ブロックチェーンネットワークに参加しているノードでも起こるということです。
ノードの種類と特徴
ここではイーサリアムを例にみてみましょう。イーサリアムのノードには、大きく2つのタイプがあります。ブロックチェーンに書き込まれたデータを全て保持しているフルノードと、最低限のデータのみ保持しているライトノードの2つです。
先ほどの例に当てはめると、フルノードはブロックチェーン全てのデータを保持しているので、データが正しいかどうかを検証する役割があります。一方、ライトノードにはその機能がありません。フルノードに対して、欲しいデータや正しいデータを問い合わせる必要があります。
イーサリアムのライトノードは、スマホなどのデバイスでもノードになることができるため、ユーザー数を増やして、より分散化させるという点において非常に魅力的です。しかし、ライトノードが増える一方で、フルノードが減少してしまうとフルノードの負担が大きくなってしまいます。フルノードを運用するには、かなりのコストがかかるので、フルノード の運用をやめてしまうのです。
ブロックチェーンプロジェクトにおいて、最も重要なことは「分散」です。分散システムを安全に運用するには、フルノードの存在が不可欠なのです。
フルノードを低コストで運用できる、且つ、誰でも所有できることが、これからの分散型社会には必要不可欠です。ブロックチェーン技術が社会実装される上で、最も重要なブロックチェーンデータセンター事業は、現在のメガクラウドデータセンターと同様に、重要な施設になるでしょう。
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