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ビワイチ

「琵琶湖を一周する」をビワイチと呼ぶ。
一周を「イッシュウ」と読むからには「ビワイッ」が正しいのだが、あまり誰も気にしていない。

もう5年も前になるが、わたしはロードバイクを買った。
買うからにはいいものを買いたい人間なので、設定金額を
15万円にしたが、13万円でフルカーボンのバイクが手に入った。

もちろん中古ではない。

1日の最長走行距離70km
総走行距離 約1,000km
ブランク4年のわたしが会社の先輩の誘いでビワイチに挑戦することになった。

距離にして180kmを1日で走りきるプランだ

わたしは準備を怠らない

まずは感覚を取り戻すべく、置き去りにしたバイクに会うため
実家に帰った。
とても天候がよくライド日和だ
わたしは新調した給水ボトルとサドルバッグをバイクにとりつけ
ゆっくり1時間ほどダラダラ走ろうとペダルを踏んだ。

その日は風が強かった
思い切りのよい向かい風だった

10分後、わたしの姿は実家にあった


わたしには根性がない


そんな人間だからこそ、ビワイチは相当に不安だった。
自分が遅いあまり、先輩方に迷惑をかけるのではないか、と。

ビワイチの前日、Aさんが声をかけてきた。
普段会社ではあまり話す機会はない。

A「明日のビワイチ大丈夫かな、俺不安なんやけど」

私「僕も不安です、ついていけるかどうか」

A「この前、60kmほど走ったけど結構疲れたんよ。迷惑かけたらごめん
な。」


はずかしい。
Aさんは練習のため、不安を拭い去るため
60kmも走っている。
かたや私は10分で諦めた。

不安が確信に変わった。


集合時間は朝の4時
相当に早い。早すぎる。

なんとか起きて集合場所へむかった。

すでに先輩方が準備をしていた。

参加者は当日まで聞いていなかったが
・企画者のNさん
・Nさんの息子さん(男子小学生)
・Aさん
・Yさん
の5人だった。

Nさん親子とAさんはクロスバイク
Yさんはトレックのフルカーボン、コンポもアルテグラに
ビンディングシューズと経験者のオーラを漂わせていた。

自転車だけは一丁前のわたし

ちなみにこの中でビワイチ経験者はNさんとYさん

Nさんはマウンテンバイクでビワイチをしたツワモノである。
今回はクロスバイクを息子さんとお揃いで買ったので
ビワイチを企画されたのだ。


みな一様にヘルメットをかぶった。
わたしはサイクルキャップをかぶった。
わたしはヘルメットを持っていない。


やばい、確信が恐怖に変わりそうだ。
心臓の鼓動がHeart Beatだ。
サチモスのVOLT-AGEがループする。


結果的に人生初のビワイチは
無事全員で完走できた。

走行距離180Km
走行時間9時間半


ビワイチ中の珍道中はオールカットしたが
後半はただただ罰ゲームだった。
おそらくだが、参加者全員が楽しめていなかった。
やはり1日で180kmは素人には無理がある。

これから初めてのビワイチを計画している人のために
経験者としてアドバイスと気づいた点を書いてみたい。


①琵琶湖大橋は渡った方がいい

今回は渡らずリアルビワイチに挑戦したが、琵琶湖大橋を渡った方が
楽しめると思う。
大津あたりは車も多く、自転車が走りやすい環境ではないし
何より信号がとても多い。
その区間だけでも疲れて後半楽しめなくなるので。

②レーシングパンツと手袋は必須

お尻にパッドが入っている通称レーパンと
自転車用の手袋は必須だと実感した。
わたしは両方着用していたが、お尻も手も痛すぎた。

交換したかった。新しいお尻をジャムおじさんが車に乗って
持ってきてくれないかとガチで考えたほど。

手のひらも、お昼ご飯を食べる頃には痙攣していた。
1日たったが今だに完治していない。

ネットを見るとお尻や手が痛くならない方法が見つかるので
事前に調べた方がいい。リアルガチで。

③反時計回り推奨

今回は時計回りルート(琵琶湖が右)だったが
県外からお越しの方は琵琶湖に近い側の方がいいだろうし
反時計回り用に道が整備されてる所も多い。

そして長浜あたりから西浅井あたりまでに
2箇所の登りがあるが、想像以上にきつかった。
体力とメンタルに余裕があるうちに攻略した方がよい。なめてかかってはいけない。

④タオルと着替えは持ち歩かない

ビワイチ中は極力荷物を減らした方がよい。
乗ってる間はあまり汗をかかない(止まると吹き出る)のでタオルはいらないし、着替えも車に乗せておけばよい。

⑤それほど疲れない

これはとても驚いたが、体力的には全然余裕だった。
普段一切運動しておらず毎日ビールを飲んでダラダラしている30代だが
足も腕も腰もそれほど疲労感なく完走できた。
自転車ってすげー!てこと。
お尻と手のひらは悲惨なくらい痛かったが。

⑥1泊するくらいの余裕があった方がいい

県外からお越しの方にはぜひ滋賀県を堪能していただきたい。
ぜひ滋賀県にお金を落としていただきたい。
ビワイチが罰ゲームや修行になっては楽しくない。
どこかで宿をとって、美味しいものを食べて
ぜひ滋賀県にお金を落としていただきたい。




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