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  読書感想文たち

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ぼくが書いた読書感想文たちをまとめています。ちなみに「がんばって、大人になって」という作品はありがたいことにポプラ社様主催の「かがみの孤城読書感想文コンテスト」にて賞をいただいて…
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#辻村深月

水底フェスタ/辻村深月〜読書感想文〜

水底フェスタ/辻村深月〜読書感想文〜

最初に明言しておくと、
水底フェスタは間違いなく恋の物語である。



どうしようもなく魅力的な女性に出会ったら、人はどうなるだろうか。

容姿が飛び抜けていいとか、スタイルが抜群だとか、そんな話じゃなくて

どれだけ後悔してもいいから、
ひどいことになっても、
誰かに押さえ込まれて
捕まっても構わないから、
今この瞬間彼女に触れたい。

そんな感情に心を支配されるような、謎めいた魅力のある女性

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傲慢と善良/辻村深月〜読書感想文〜

傲慢と善良/辻村深月〜読書感想文〜

30歳をすぎた男女が、結婚相手が見つからずに焦っている。

それだけ言ってしまえば
「なんだそんなこと。よくある話だ」
「30歳なんてまだまだ若いよ」
という意見が聞こえてきそうだ。

では、その男女が
婚活で出会っている、いわば結婚前提のはずの2人組だとしたら?
恋愛に疲れ切っているのに、どうしても今の相手との結婚には踏み切れないでいるとしたら?
さらにはその相手が、忽然と姿を消したとしたら?

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琥珀の夏/辻村深月 〜読書感想文〜

琥珀の夏/辻村深月 〜読書感想文〜

夏と言われれば、何を思い浮かべますか?
という質問を、過去に何度かされたことがある。

私は去年から、この質問に「琥珀の夏だ」と答えることにした。

夏の終わりを感じたときの、あのなんとも言えない切なさ。

この後の人生、あと何十回も夏を体験するだろうに、まるでもう二度と会えないものとの別れ告げるかのような寂しさ。

その寂しさを感じる前に、
夏がまだまだ終わらないうちに、
琥珀の夏を読みたいのだ

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