世界観、システム、感情。ボードゲームの企画発想法3パターン
「新しいゲームってどうやって思いつくの?」って聞かれることがあります。
そんなときは「3パターンの発想法をつかいます」とお答えしています。本noteではそれらについて、それぞれご説明します。
1.世界観
2.システム
3.感情
1.世界観から思いつく
フィクションでもノンフィクションでもいいのですが、自分がワクワクする世界や、出来事や、設定から思いつくパターンです。
前に作った「切り裂きジャックは誰?」というゲームはこれでつくりました。
切り裂きジャックとは、実際に起こった殺人事件の犯人です。
殺害方法の残虐さと、結局誰が ”ジャック”(=日本における「名無しの権兵衛」) だったか分からない、というミステリー性で広く知られています。
僕はたまたまWikipediaで記事を読んで、この事件を面白いと思ってしまいました。
海外で100年前に起こった殺人事件なのに、現代日本でも多くの人に知られている事件・キャラクターってスゴくないですか?
しかも、著作権の縛りもありません。これはもう、ゲーム化するしかないですよね。
そのときの詳細はこちらのnoteに書きましたので、お時間ありましたらぜひ。
この作り方がうまくいけば、同じ世界観を面白いと思う人に興味を持ってもらえます。
実際、前回のゲームマーケットで「切り裂きジャックは誰?」は、パッケージに興味を持った方に沢山購入いただけました。
2.システムから思いつく
世の中で既に運用されているシステムを真似するパターンです。
そもそも世の中で運用されているシステムは、一定の人を「動かしている」はずです。
動かしているということは、動かしてしまうなにかがあるわけです。ということは、そこにゲームがあるはず。
人をモチベートしている何らかのゲーム。それを真似しようとして思いつきます。
たとえば、世界一売れているボードゲーム「カタン」はこれにあたると思っています。
カタンは、資源を集めてフロンティアであるカタン島をいち早く開拓することを目指すゲームです。
※画像は販売元のジーピー社HPより
未開の土地やビジネスをいち早く開拓したものが、その権利と利益を得る。というのは、たぶん1,000年くらい前から通用するシンプルなシステムです。
優れたコンテンツは現実を上手にデフォルメしている、と川上量生さんが『コンテンツの秘密』でジブリ映画を語る文脈で書いていましたが、ボードゲームも全く同様だと思います。
現実のシステムを、デフォルメしてルールに落とし込めると、誰もが直感的に理解でき、かつ熱狂できるゲームになります。
3.感情から思いつく
ゲームをプレイした人に、どういう気持ちになってほしいかを起点にするパターンです。たぶん、これが一番真っ当なやり方です。
それは、世界観もシステムも、感情を再現するための装置だからです。前に下記のノートで書いたことにつながるかと思います。
世界観から発想しても、システムから発想しても、結局、「それでプレイヤーはどんな気持ちになるのか?」と問われたとき、それがポジティブなものでなければ、そのゲームは自己満足です。
だから結局、ここで挙げた3パターンの発想法は、ボードゲームを企画する過程ですべて検討することになると思います。
だから本当は3つのチェックポイント、というほうがふさわしいかもしれません。どこから始めるか、というだけの違いです。
というわけで「ボードゲームをつくってみたいけど、何から始めればいいかわからない…!」なら、世界観・システム・感情3つのどれかに感じた「おもしろい!」を起点にするのが良いんじゃないかなと思います。
※このnoteは前に書いた「新しいゲームをつくる3つの入り口」を、もっと分かりやすくなるように書き直したものです。
ナイスプレー!