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「サピエンス全史」から読み解く、人類最大の発明と現代の影響

「サピエンス全史」を読みました。

読書の動機

人類史を学ぶことが、自身があらゆることに対して納得して動くために重要だと思ったためです。

動機の詳細

少し横道逸れますが、会社とそこで働く従業員の話をします。

現代社会には、会社という「社会機能を維持・便利にしたり、人々の様々な欲を満たしたり、困りごとを解決すること」を目的とする組織があります。会社組織には多種多様なスキルを持った従業員がいます。その従業員同士が協業し依頼者の目的を満たすことで、会社は依頼者からお金を頂くことができます。頂いたお金の中から、従業員の皆様に仕事の対価たるお金を支払っています。従業員はそのお金を使って自身の困りごとを解決しようとします。

従業員自身が持っているお金の量よりも困りごとの方が多い場合は、持っているお金を増やす努力をするか困ったまま我慢するかの2択になると思います。
(余談: 困りごとの解決に友人や家族や近所などの人的資本に頼るという方法もあります。しかし、個人主義・核家族化が浸透した現代日本においてこの選択を取れる・取りたい人は少ないのではないかと思っています。)

ここで、従業員が「持っているお金を増やす努力をする」と決めたとしましょう。従業員がよりお金を得るためには仕事自体のクオリティを上げる努力や、責任者になることが重要です。責任者は従業員の稼働効率を上げるための様々な工夫をします。

色んな人が仕事のクオリティを上げるための色んなことを言っています。よく言われる「報連相」を始め、コンサルなら「ロジカルシンキング」「ラテラルシンキング」を始めとした思考法。営業ならマナーや交渉術。などなど

確かに仕事を行うにおいてどれも重要かと思います。重要なのは分かりますが、これらの営みはそもそもなぜ生まれたのでしょうか?「報連相をしましょう」という発言の本質的なところはどこなのでしょうか?

報連相に限らず、仕事において上司からルールの遵守を命じられたり、仕事を効率的に行う何らかの概念を教えてもらった際に、

「とりあえず上司が言ってるし、怒られたくないから従っておこう。」「お金貰ってるし、とりあえずやっておこう」「とりあえず働く際のルールだし、ルールを守らないと疎外されるからやっておこう」「技能を身につけておいた方がお金が沢山貰えるからやっておこう」「なんか、よさそう・正しそうなこと言ってるから従っておこう」

などを考え仕事をしている人は少なからずいるのではないかと考えています。しかし、発言・概念の本質を理解せずにとりあえずやっておくという理解度だと応用が効きませんし、型破りなことができません。ウホウホ

また、自分が人を導く立場で人にルールを説く際に「なぜそのルールが重要なのかを説明できない」というのは説得力に欠けるなと思っています。個人的には心から従おうとはなりません。

そうなると、「報連相をしましょう」などの発言の本質は何なのかを知る必要があります。

発言の本質を知るためには先述の説明のように「仕事とは?」を知る必要がありますし、「仕事とは?」の定義を知るためには「仕事がなぜ生まれたのか?」という問いが生まれます。そうやって問いを突き詰めると「人類とは何なのか?他の動物とどう違うのか?」というところまで行き着きます。

人類のこれまで歩んできた歴史を知ることが、現在地球上に存在する人類の営みを知ることに繋がり、人類の生み出した森羅万象の本質を理解できるようになるのです。

そして、人類史を網羅的に説明しているのが以下の本ということです。調べてみたら2017年のビジネス書大賞らしいです。すごい


個人的解釈

この地球上において、ホモ・サピエンスたる我々は食物連鎖の頂点として君臨しています。人類はこの地球上に住居、食料品、構造物、機械、文化、文明、思想、お金、会社、コミュニケーション手法など、人類の営みに必要なものを生み出してきました。

それらがなぜ存在するのか、個別のトピックは一部noteにまとめてあります。僕の理解度に応じて記事の数は順次増える見込みです。

上記抜粋したnote記事は「なぜ存在するのか」を説明したものです。

お金や文明といった概念を「人類はどうして生み出せたのか、他の動物とどう違うのか?」を説明できてはいません。これをこれから説明します。

人類は言葉で意思疎通をし、火や道具を用いて他の動物を狩ることで栄養価の高い食べ物を獲得してきました。火の通った栄養価の高い食べ物を食べることにより、脳が発達します。

脳が発達した人類はある時期から「虚構を信じさせる力」を身につけたとされています。虚構とは嘘のことです。書籍では人類が虚構を操るようになった時期を「認知革命」と呼んでいます。この「虚構を信じさせる力」というのが、人類が食物連鎖の頂点として君臨した決定的な理由とされています。

虚構の力の一例として、獲物や天敵に遭遇した際の行動が挙げられます。動物は鳴き声によって意思疎通を行います。シマウマが天敵のライオンに遭遇した場合、「気をつけろ!天敵だ!」と鳴き声でその存在を仲間に警告します。

ですが、虚構を作り上げ共有できる人類は「300m先の大岩のあたりにライオンがいるから、崖の上に登って回避しよう」という情報の粒度で仲間に警告し、その仲間もその意図を理解し崖の上に登ることができます。ちなみにここでいう虚構は「300m先」「大岩」「崖の上」のことを指します。

山の上にりんごやぶどうの木がなる場所があれば「フルーツ山」という名称・上位概念を生み出し、仲間に共有・意思伝達ができます。

虚構の発明によって組織で行動する力を獲得し、他のどんな動物にも勝利できる存在となりました。その能力は、文化や宗教、貨幣、時間など、次々と共通の虚構を作り出し、人類の営みをより発展させました。

虚構の例

  • 企業理念、MVVも実態は存在しない。その本質はあるべき未来という虚構を信じさせることで、数千人規模以上の個体をまとめ上げ同じ目標に邁進させ、数の力で一人では到底なし得ないことを達成させるためのものである。ちなみにこの虚構を信じられる人のことをカルチャーフィットに合う人という。

  • お金も現代では虚構だ。信用・価値の数値化がお金である、それがお金だと思ってるからお金なのだ。無人島に1人という状況下では何の価値もないものだ。つまり、お金という虚構を人類は信じ、価値を見出しているということになる。

  • 宗教も、信仰していない立場の人間からすると虚構だ。信仰している立場の人間から見れば真実であり、無信仰側から見れば虚構を信じたということになる。

  • 数学における数式も虚構である。この数式を用いることで、人類の営みをより便利にする道具を作ったり、この世界の謎が解明できるようになった。例えば、数式を駆使して羽のある物体(飛行機)を作ったらたまたま空を飛ばすことができるようになった。飛行機が墜落せず再現性を持って運用できているのは、ある数式の組み合わせが、この世界の物理法則とたまたま合致し、求めた数式・物理法則通りに飛行機を設計・操縦しているからにすぎない。

  • 現代であっても人類の認知は150人以上の人間を深く知ることができない。故に150人以上の社会にならない。村の単位が限界となる。しかし、国、宗教、会社などの共同体をまとめ上げる虚構の発明により150人以上の組織で行動する力を獲得し、他のどんな動物にも勝利できる存在となった。その虚構により、現代は数千人規模の企業が存在し、ドームライブでは数万人単位の人が秩序立った行動を取り、数千万人の単位の人が国という共同体・概念に所属している。


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