お金と信用とビジネス
お金の歴史
お金の起源は原始時代。山で木の実を取る人、海で魚を取る人が物々交換をしていたが、木の実や魚が実際どのくらいの価値かで揉めることから、物々交換の効率のいい方法として貨幣が生み出された(価値の相対化)。
貨幣になるものは偽造を防ぐために希少価値の高い金属(金銀やダイヤモンドなどの鉱石)を貨幣とした。
持ち歩くのが面倒なのでコインにして持ち歩きやすくなるようにした。
コインで取引してるけど、金を持ってることの証明書でいいんじゃないかとなり、小切手や紙幣(兌換紙幣)が生み出された。10世紀の中国(北宋時代)で作られた「交子」が世界最古の紙幣とされている。これが長い間続く。
1971年にアメリカで起きたニクソンショックにより、金とドルの交換が停止され、変動相場制になった。これまで紙幣の定義は「ゴールドを持っている証明書」であったが、ニクソンショックによりお金というのはゴールドではなくなる(お金は実体がなくなる)。
現代では、お金というのは周りの人が持ってると認めてる・お金の価値を信用してるからお金ということになっている。
例えば、紙幣は日本銀行がこれには1万円の価値があると言ってるから価値がある。そしてそれを周りが認めているためだ。誰も福沢諭吉を10円の価値しかない紙切れだとは思わない。
また、クレジットカードは直訳で信用札だが、一見するとただのプラスチックの板だ。なぜただのプラスチック板で30万円するテレビや冷蔵庫が買えるか。それはカード保有者がお金を持っていることをクレジット会社が保証しているためである。
お金は信用を数値化したものであり、お金=信用ということになる。
お金=信用の実例
お金=信用という方程式を通して世の中を見ると解像度がとても上がる。
クレジットカードが作れない職業・雇用条件の人がいるのはなぜか
先述の通り、クレジットカードで物を買えるのはクレジット会社が購入者がお金を持ってることを保証しているためだ。これは裏を返すと、クレジットカードを作る際にクレジット会社が対象者がお金持っていないと断定した場合にクレジットカードを作ることができない。厳密にいうと定期的なキャッシュフローが保証されてない人は作ることができない。よく、フリーランスや起業し立ての社長、お笑い芸人などの職業の人はクレジットカードを作れないと言われているが、これはそういうこと。
与信という言葉の意味
相手を信用して金銭やモノを貸与すること。相手に返済能力があるために貸すことができる、という信用を与える意味から、与信と呼ばれる。
そして与信は取引を通して相手を信用できた場合に与信限度額を引き上げることができる。例えば100万円から500万円に引き上げた場合はそれだけ相手を信用していることになる。与信という言葉の定義自体が「お金は信用を数値化したものであり、お金=信用ということになる」という言説を補強する材料である。
お金と信用のビジネス的視点
よくビジネスではお客様からの信用が大事だという話があるが「ビジネスの目的はお金(=信用)を稼ぐことにある」という補助線を引くと世の中の解像度がとても上がる。
お金を借りるという諸行為
銀行目線・投資家目線・商取引(=与信枠を付与)をする相手目線で考えた時に、貸した金はできるだけ返ってきてほしいと思うものだ。だから、貸す側は与信チェックをするのだ。取引相手に信用があればいい条件でお金を借りられるし、信用がなければお金を借りられないか悪い条件でお金を借りざるを得なくなる。つまり、信用が大事ということだ。
「晴れの日に傘を貸して雨の日に取り上げる」
なぜ社長は厳しい時でも強がらなきゃいけないか?精神科通院歴のある人がローン(=継続的な金銭支払い)が組めない理由とは?の答えがこれ。
キャッシュフローが安定しなさそうな人間については貸し剥がしをしたりローンを組めなくしたりしている。
ビジネス・企業活動がお金を稼ぐことであるならば
ビジネス・企業活動がお金を稼ぐことであるならば、ビジネスでよく言われるような言説や従業員の行動は全て信用に連なる行為ということになる。
例えばQCDで信用を表すと
Quality(品質)
品質を高めること。また、品質を高めるに連なる行為のこと。
→なぜ成果物に上司や第三者のチェックが必要なのか。
Cost(コスト)
コスト(金銭的・時間的)管理を徹底すること。
→コミュニケーションスキルで言うなら、なぜクローズドクエスションで質問しましょうというテクニックや、PREP法などのフレームワークが存在するのかの答え。
Delivery(納期)
支払いや成果物の納期を守ること。また、納期を守るに連なる行為のこと。
→報連相や優先度・重要度の議論はなぜあるか?自己保身由来の嘘をつく人がなぜ採用されないか?の答え。納期通りに成果物を納めるためのコントロールの手段が報連相や優先度・重要度の議論であり、納期通りにいかなそうな場合の言い訳作りのものでもある。
となる。
これまで、報連相が大事かやコミュニケーションコストを下げましょうという話がビジネス上でなぜ重要なのかについて、大事であることはわかっていたがあまり腑に落ちていなかった。
しかし「お金=信用」で「ビジネスの目的はお金(=信用)を稼ぐことにある」という補助線を引いたことによって、世の中がどのように動いているのかが分かるようになった。
ビジネス上でよく言われる言説についての本質が分かるようになったため、一つ一つの行動を軽視しないようになった。
参考文献
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