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マナーとは何か

キーワード
信頼性の構築、組織のイメージ、顧客満足、言葉遣い、共通言語、道徳、エチケット、メンツ、自己重要感、ルール、常識

1. マナーの定義

マナーの定義は

『相手に迷惑をかけないこと・相手と良好な関係を築くこと・快適な環境をつくること』
『相手の立場に立って物事を考え、その気持ちを適切に表現すること』
『相手を気遣い、思いやる気持ちや、相手に対する敬意を表現するための方法を『形』にしたもの』
『相手を尊重し、信頼関係を築く』
『マナーの善し悪しは自分が決めるものではなく、相手が決めるもの』

基礎から学ぶ ビジネスマナー講座

とされる。

これらを、私の解釈も含めてまとめると
「マナーとは相手の生き様に敬意を持ち、相手の立場に立って物事を考える概念。そして、それらを相手に具体的な形で適切に表現・表出し、相手との信頼関係の構築を図る行為。」
ということになる。

2. マナーの分類

マナーを分類する際に、横の軸と縦の軸の2つが存在する。

マナーの横の軸とは環境・状況・役割に応じたマナーの種類を指し、例えば、

  1. 日常のマナー

  2. 公共のマナー

  3. ビジネスマナー

  4. 人と会話する際のマナー

などがこれに該当する。

マナーの縦の軸とはマナーの深さのことを指し

  1. 表面的なマナー

  2. 臨機応変なマナー

  3. 心の敬意

の順に深くなっていく。

2.2 縦の軸

2.2.1 表面的なマナー

表面的なマナーとは
表面的なマナーとは名刺の渡し方のような頭を使わなくてもできる形式的な振る舞い・儀式のことを指す。表面的マナーは社会人研修などで教育される類のものであり、これができない人は社会人としてのマナーやルールを理解していない人だと思われるので、社外的なやりとりを必要とされる職種に就けなかったり、そもそも全職種において採用で弾かれる傾向にあるなど、散々な目に遭う。とりあえずの定石なので、暗記ゲーとして覚えておくといい。
ちなみに私はこの類の堅苦しい振る舞いをしようとすると過度に緊張してしまい、自分の持ち味を全く活かせなくなってしまうので、かなりの苦手分野だ。

表面的マナーの暗黒面
表面的マナーは形式的な振る舞い・儀式という性質上欺瞞を含むこともあるものであり、本当に相手を敬意を持ち尊重しているかどうかがそれだけではわからない。ちなみに表面的マナーの欺瞞について、端的に表した言葉が「お世辞」であり「おべっか」であり「媚」である。

表面的なマナーの重要性
表面的なマナーの真髄は、関係値が浅い人や取引先・顧客の信頼を得ることにある。とりわけ初対面だったり一度だけしか会わない人は、相手からの敬意を知る・感じる機会がないため、上記の振る舞いがあるかどうかで自分を大事にするかを判断すると考えられる。仕事において社外とのやりとりが多い人、会社の顔を期待される人がこれらの振る舞いを身につけると費用対効果が高いと考える。

表面的なマナーの例
尊敬語、謙譲語、丁寧語
席順は上司が奥
唐揚げにレモンはかけるのかかけないのか問題
接遇マナー
ビジネスマナー
テーブルマナー
公共マナー
携帯マナー


2.2.2 臨機応変なマナー

臨機応変なマナーとは
臨機応変なマナーとは性別、年齢、立場といった属性や、相手の動的な状況を汲み取り、現在の相手にとって適切な振る舞いを行うことである。相手の立場でものを考えるとも言う。表面的なマナーに比べて抽象的な概念だと考える。これができる人を端的に表した言葉が「気が利く人」「仕事ができる人」である。

属性の種類
男性、女性、大人、子供、上司、部下、顧客、社長、株主、公人、貴族

臨機応変なマナーの例
相手が忙しいかどうかを考え、適切なコミュニケーションを行う
相手が砕けたコミュニケーションを求めているのにマナー原理主義になりすぎて真面目なコミュニケーションを取る事もマナー違反なので、会話のコンテキストを相手に合わせる。
会議の時間に遅れない
いきなり電話(食事をしているかもしれない、電車で移動中かもしれない、休日をゆっくり過ごしているかもしれない)
メールやチャット会話において、読み手に短く分かりやすい文章で伝える工夫(時候の挨拶から入った方がいい場合もあれば「りょ」やスタンプだけでいい場合もある)
相手の意図を読む
相手の仕事のやり方を汲み取り、合わせられる範囲で合わせる(ビジネスライクな付き合いを希望する人やいわゆるホリエモン的な人はここだけを重要視している。表面的な敬意や心の敬意はあまり重要視していないパターン。)
相手の時間を奪わないような工夫をする
「確認して、○○時までに折り返します」という"タイムリミット"を提示していただければ、話を聞く
事前に調べてわからない場合に質問をする
クローズド、オープンドなどの質問の種類
寒くないかどうかなどを慮る
相手が何を求めているかを事前に察知する
相手の立場に応じて(業種や地位、自社や他社)、専門用語と平坦な日本語を使い分ける
即レスをする
「自分がされたら嬉しいことを相手にする」という基本ルールを遵守しつつ、相手の都合もあるので嬉しいことをする前に相手に聞く
経験を積み、相手の考えていることを想像する力が大切
仕事を円滑にこなしていく
会議で必要になるから、この書類を先に処理しておこう
〇〇さん、今たくさんのタスクを抱えているから、自分ができることはないか聞いてみよう
相手の立場に立って考えられるようになると、相手の意見や価値観を自分の中にも取り入れられるようになるので、広い視野を持てるようになる
会議前に資料をあらかじめ配る


2.2.3 心の敬意

心の敬意とは
心の敬意とは、相手の才能・地頭の良さを十全に信じ、その人の個性・性格の長所を尊重することであり、その下地を持った上でコミュニケーションを行うことを指す。
また、その人その人の人生に思いを馳せながら、相手への敬意を熟成し、結果的に表出してしまうものを指す。

心の敬意を熟成する過程

  1. その人の先天的性格と後天的性格がどんななのか、どんな才能があるのか、どんな努力をしてきてどんな能力があるのか、その人が大事にしている価値観や哲学、趣味などは何かを見極める

  2. 上記を見極めた上でどんな人かを知り、相手への敬意を熟成し、結果的にそれが表出している状態というのが心の敬意だ。その定義上、銀の弾丸はない。

心の敬意を熟成するコツ

敬意を熟成するコツは、今風な言い回しをするならば、相手への推しであるという意識を持つのが大事なのかなと考えている。また、敬意の熟成が得意な人の傾向として「感受性の強い人」「人生経験を積み、その経験の本質を言語化できる人」が該当しそうだなと感じている。

補足

  1. いわゆる飲みニケーションやランチと呼ばれる機会は、相手のパーソナリティを見極めたり相手への敬意や理解者であることを示す機会とも言える。

  2. 後述の通り、マナーを遵守することは本質的には相手の自己重要性を満たす行為だ。そしてマナーの最奥は相手への敬意が表出している状態であり、これさえできれば表面的な敬意のような振る舞いは必ずしも必要ではない。

3. マナーの起源・成り立ち・存在理由

マナーが存在し遵守を求められるのは「マナーを破りまくり、相手の自己重要性・プライドを毀損したりすると、相互は疎遠になるため。あるいは恨みを買うことから反発・報復につながり、最悪の場合、物理的・社会的に抹殺される恐れがあるため」である。

参考

4. マナーを遵守する生物的メリット・デメリット

先述の通り、マナーとは『相手に迷惑をかけないこと・相手と良好な関係を築くこと・快適な環境をつくること』である。マナーを知り・遵守する人にとって、マナーとは遵守されるべき人間社会の暗黙のルールであり、当たり前の規範であると考えている。マナーを知り・遵守する人は、マナーを遵守しない個体を驚くほど冷たく扱うことがままある。ここではマナーを遵守する生物的メリット・デメリットを記載していく。

人間はマナーを頻繁に守る人を、自分の価値(=自己重要性)を大事にしてくれる存在と認識する。相手の感情がプラスに働くことで、相互は惹かれ合う(プライベートであれば友達が増える。職場内であれば協力者が増える。顧客であれば取引が成立・発展する、いい口コミが増える)。同時に、私はあなたの味方であるというシグナルを相手に与えることができる。マナーを知り・実践する者は集団に入り、かつそこに馴染むことが容易なので、個体の生存率が上昇する。

人間はマナーを頻繁に守らない人を、自分の価値(=自己重要性)を毀損する存在だと認識する。相手の感情がマイナスに働くことで、相互は反発し合う(プライベートであれば友達が減る。職場内であれば協力者が減る。顧客であれば取引がなくなる、悪い口コミが増える)。同時に、私はあなたの敵であるというシグナルを相手に与えることができる。マナーを守らない人は集団に入ること自体が困難なので、個体の生存率が低下する。

つまり、マナーを守っている人は仲間に囲まれ、マナー違反を頻繁にする人は孤立する。ということになる。家族、地元の共同体、学校のクラス、部活動、サークル、会社など、あらゆる集団生活においてこれらは適応される。

また、これらマナーは大人になると教えてもらうことがなくなる。なぜならば、正論を含め、世間的に当たり前のことを教えるというのは知性への脅しと捉えられることから得てして恨みを買い、何かしらの被害を受ける場合があるためだ(相手へのマイナスな指摘について、一般的に公共の場でやらず1on1で密室でやることを推奨されているのはこういう理由が大きい。面子を立てる的な)。
また、現代であれば教育する対象を間違えれば些細なことでパワハラ・セクハラと濡れ衣を着せられ、悪魔の証明を求められ、キャリアが終わる可能性もある。そのため、企業側の採用活動もマナーに対する教育コストの低い人材を求めるようになる。具体的には、空気が読め、協調性を持ち、被害者意識を過度に持たない人材、それらを満たす体育会系の人材が重宝されると考える。

上記理由からマナーは大人になると教えてもらうことがなくなるため、現代日本においてマナーを教育・学習できる機会は

  1. 幼少期に親から躾という形で教育される

  2. 学校教育や会社組織のなかで周りの振る舞いを察し、空気を読んで学習する

  3. マナー教室や書籍などで自主的に学習していく

の3つに分別されることとなる。

5. その他文献を集めていていいなと思った言い回しのストック

ビジネスマナーは、『知っている』=『できている』とは限りません。ビジネスマナーの善し悪しは、『自分が決めることではなく、相手が決めること』です。マナーは、『形』から入るのではなく、なぜその動作をするのか、その意味を理解していることが重要です。単に形だけ覚えたり、心が伴わない表面的なものは、『マナーを心得ている』とはいえません。目に見えない『心』を表す手段として、マナーの『形』があることを意識しましょう。とはいえ、定石が存在する。
『自分が恥をかかないようにするため』と考えている方も多いと思いますが、自分の視点を基準とするのではなく、相手の視点で考えることが大切です。


敬語を使うときの基本的な考え方
1 現代の敬語は、相互尊重を基本として使う
敬語が人間の上下関係を表すことと密接に関連している時代もあった。しかし、現代社会においては、その人を尊重しようという気持ちを表すこと、その人の立場に配慮すること、その人と親しいか親しくないかといった親しさの程度を示そうとすることなどの意識に基づいて使われていると言ってよい。すべての人は基本的に平等である。したがって、一方が必要以上に尊大になったり卑下したりすることなく、お互いに尊重し合う気持ちを大事にしなければならない。このような「相互尊重」の気持ちを基本として敬語を使うことが、現在も、また将来においても重要であろう。
2 敬語は社会的な立場を尊重して使う
敬意は必ずしも尊敬の気持ちだけではない。その人の「社会的な立場を尊重すること」も敬意の現れの一つである。このことから、今日の敬語の基本的な考え方は、上下関係をはっきりさせることではなく、お互いに尊重し合う気持ち、『相互尊重』を大切にすることにあることが分かります。社会人は学生時代と違い、年齢や立場の違う人達と関わることが多くなります。多様で複雑な人間関係の中で、敬語が正しく使えなければ、相手に対する敬意が伝わらず、礼を失する恐れがあります。社会人として信用を得るためにも、『正しい敬語・言葉遣い』を理解しておくことが大切です。

『敬語の指針』 平成19年2月2日 文化審議会答申


信頼性の構築
こと「社会」において、年齢・性別・経験・価値観など千差万別の異なる人たちで構成された世界です。そんな人たちと共通した指標が「ビジネスマナー」であります。それゆえに、言葉遣いや、名刺の受け渡し方など社会人としての基本がなっていない人との「信頼はない」と考える人も少なからず存在します。そのため、ビジネスマナーは入社時の研修で導入されるほど大切なものなのです。
社内・社外の人と良好な人間関係を築くことができる
相手の立場を考えることができ、周りの人に対して気配りができる人物として評価される
組織のイメージ
来客対応や電話対応、メール対応など、会社に来訪される方を対応した従業員その人を来訪者サイドから見ると「会社の代表であり顔」であります。そのため対応次第でその会社の印象の良し悪しが左右されると言っても過言ではありません。
顧客満足
「顧客満足」は物的要素と人的要素の2つの要素が必要となります。前者の「物的要素」とは商品の質や種類が豊富など、後者の「人的要素」とは、従業員が来客にする対応のことを指します。今はネット通販でも商品が買える時代のため、「人的要素」の需要が高いといえます。人の価値観は様々でありますが、共通して言えることは「感じのいい人から買いたい」や「感じのいい人と仕事がしたい」というように好印象が人の心を動かしています。お客様や取引先に良いイメージを与えることができる
顧客満足を得ることができる
能力がある人物として評価される企業のイメージアップを図ることができる

6 よさげな文献

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