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ZIPAIRのパイロットになるまで。そして夢を叶えた先に目指すものとは。~#スタッフストーリーズ #05~

こんにちは。ZIPAIR note編集部です。

「スタッフストーリーズ」連載第5回は運航乗務員の村越 陵さんのエピソード。

「人生、行動あるのみ」。そう語る村越さんが自身を信じて歩んできた道のりとは。

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Good day everyone、ボーイング787機長の村越です。

突然ですが、皆さんに「夢」はありますか?

私の幼い頃の夢は、やはりパイロットになることでした。私は日本や海外のエアライン勤務を経てZIPAIRに入社しました。自社養成や航空大学校、そして今増えている操縦学科のある大学ではなく、海外で免許を取得しました。

本日は、私が今に至るまでに経験してきたことやそこで得た気付きなどをお話ししたいと思います。

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実家が香港 啓徳空港(旧空港)の近くだったこともあり毎日家の窓から飛行機を眺めていたせいか、幼少期から飛行機に興味を持ち、パイロットに憧れを抱いていました。

ある夏、飛行機でサンフランシスコに向かう際に運よくフライト中にコックピットに招待してもらったことがありました。目の前には真っ青な空が見渡す限りに広がっており、あのインパクトは今でも鮮明に覚えています。そこで当時の副操縦士が「なりたいと思い続ければいつかその日は来る」と私に声をかけてくれました。その日からパイロットになると心に決めたのです。

②空の風景_IMG_1869

人生の転機は高校生の時に経験した海外留学でした。

アメリカ・フロリダ州にある高校で多国籍の生徒と一緒に高校生活を過ごし、規律は厳しく大変な思いもありましたが、生徒間の仲間意識が強かったことを覚えています。Senior(日本でいう高校3年)の時には生徒会も任されました。

そしてこの高校に私の現職に至るパイロット免許取得プログラムがあり、ここで私のパイロットとしてのキャリアが始まりました。

訓練は苦労の日々でした。もちろん人間ですから、教官と相性が合わずいろいろと悩んでいたときもありました。その際に声をかけて相談に乗ってくれた別の教官が後日私を担当することになりました。

新しい教官の指導は的確で、自分でも「成長しているな」と感じることができ、教育というものは奥が深いと感じました。私も自信を持つことができ訓練も順調に進み、無事FAA(アメリカ連邦航空局)自家用操縦士を取得し、さらに計器飛行や多発、事業用操縦士まで取得。高校卒業後は同じフロリダ州にある航空業界に特化した大学へ進学しました。ここでは授業を受けながら教育証明を取得し、アルバイト教官として働いていました。

今でも覚えているのが、生徒を初の単独飛行に送る際、自分の時以上に緊張していたことです。教官はただ何かを言うだけではだめ。生徒と真摯に向き合い、褒めるときは褒め、改善が必要なところはきちんと言う。自分自身が当時お世話になった教官のことを思い出しながら職に励んでいました。

③予備_カリフォルニアの訓練施設で教官

教官時代の写真。

大学卒業と共に新たな教官職として採用され、8年住んだフロリダ州からカリフォルニア州へ移動しました。次の職場となったのはエアラインの自社養成訓練施設。ここでは乗員訓練生を担当し一人前のパイロットになれるよう日々教育していました。大学生を教えるのとは違い、将来のエアラインパイロットを教育する立場から私自身もいろいろと学ぶことがあり、自分のパイロット人生でさらにレベルアップするには良い環境でした。

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ある程度経験を積んだらアメリカのエアラインに転職しようと考えていた矢先、アメリカ同時多発テロが起こりました。採用どころか外国人も働けるかわからなくなり、この先どうするか悩んでいたところ「日本はこれから経験者パイロットの採用も始まり、パイロットになれる可能性が十分にある。日本でやってみてはどうか」と助言を受け日本へ向かうことを決意しました。実はこの時まで日本での生活や社会経験はゼロでした。

日本に来てからはFAAからJCAB(国土交通省航空局)技能証明書き換え訓練を行い、その後無事日本のエアラインに採用されました。副操縦士に昇格したのは30歳の時で、当時は主に国際線に乗務していました。

LCC元年と呼ばれた2012年。私もあるLCCで乗務を始めましたが、最初の頃は思いどおりにいかず苦労しました。繁忙期はとても忙しい日々でしたが、苦楽を共にする仲間たちがいてくれて本当に良かったと思っています。

その後37歳で機長に昇格し、過去の経験を活かして座学教官や路線教官、実機訓練教官、最後はマネージャーを勤めました。振り返ると、我ながらいろいろな場所でさまざまなことを経験してきたなと思いますが「初心と平常心」を常に大切にしてきたからこそ頑張ってこられたのだと感じています。

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このようにして各地で積んだ経験を活かせればと思い、「常識にとらわれず進化し続けるエアライン」を掲げていて、以前から興味を持っていたZIPAIRに応募しご縁をいただきました。

④ぼかし、明るさ加工_レオさん8

最新鋭機のボーイング787型機に興味があったのも事実です。ZIPAIRは就航して間もないエアラインですが、さまざまな経験やバックグラウンドを持った方々が多く、非常にプロフェッショナリズムの高いエアラインだと自負しています。「ボーイング787型機を運航する日本初の中長距離LCC」で働けることはパイロット人生においてとても貴重な経験だと思っています。

ZIPAIRはまだまだ発展途上ですが、これから飛行機や路線も増えていきます。日々会社の成長を実感しながら楽しい仲間と仕事ができるのは新しいエアラインだからこそと感じています。

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皆さんの中にこれからパイロットを志す方がいれば、ぜひ伝えたいことがあります。

パイロットは難易度の高い職業と思われるかもしれません。技量や知識はもとより、コミュニケーションスキルやチームワーク、さまざまな状況下における状況認識力や冷静な判断力など、トータルマネジメントスキルが不可欠です。とはいえ特別な能力が必要なのかといわれればそうではないと思います。

学ぶことに前向きで、健康で、仲間意識や協調性をしっかり持てる方であれば誰でもパイロットになれるチャンスはあります。

そしてもう一つ。パイロットは一人ではなれませんし、仕事も一人ではできません。

入社同期や訓練同期、職場の地上スタッフ、客室乗務員や整備士などみんなの助けがあってこそ私たちの仕事が成り立ちます。

空は魅力的です。特にコックピットの窓から見る世界は格別なものです。以前、中東に向かう時に見えたヒマラヤ山脈やモルディブの島々など、上空から美しい景色を見ることはパイロットとしての醍醐味でもあります。

⑤明るさ加工★レオさん1

私たちはこれからも安全運航はもちろん、質の高いフライトを目指し日々邁進していきます。海外への渡航がもっと気軽になった日にはぜひZIPAIRの翼で体感していただけたら嬉しいです。そしていつかたくさんのお客さまに「Thank you for flying ZIPAIR today!」と言える日を心よりお待ち申し上げます。


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