スズメの巣 第22話
第22話 始まり終わります。
「じゃあみなさんお願いします。」
新田の号令で会が始まる。
ここは、プロ電現麻雀連盟本部。
本日は定例委員会である。
大会の運営や気になることに対して議論する。
まず、開催予定のタイトル戦について議論を交わす。
次の議題に移った時、現場はピリピリし始めた。
「議題は、早口さんからです。」
「はい。私はeスポーツアスリートロワイアル廃止及びeスポーツ選手のプロライセンス没収を提案させて頂きます。」
「いくらなんでも急すぎないですか?」
「たしかに、eスポーツ勢はタイトル戦に参加したことがない。何のために入ったんだ。」
「ですが、急に切ったらファンは減りますよ。」
賛否両論が渦巻く。
「ええ。それは百も承知です。ただ、リーグ・ザ・スクエアというナショナルリーグの舞台にて目に余る行為がありました。」
「それだけで、切るってのはどうなんでしょうか?」
議論は、収まらない。
新田、いや新田代表は意を決めた。
「みなさん!!一回落ち着いて下さい!!いいですか?多数決を取ります。本日は、9名全員出席してますので決まりますから。」
役員は、黙り込む。
「今の案に賛成の方は、挙手をお願いします。」
6名。
「よって、本案は可決されました。詳細は次回決定し、執行に移ります。」
議題を終えたが、モヤモヤした。
一方JOYV-deersオフィスでは、12月のROYAL Tearsに向けてミーティングなど進んでいた。
まずは、現状のジャッジメントトーナメント圏内となっている中でのチームミーティング。
これは、穏やかに進む。
「今、リーグ2位と圏内の中で踏みとどまっています。9月から始まってうちのチームも何とか頑張ってきました。あと4か月。まずは、残れるようにしましょう。」
「はい。そうだね。」
「うぃ。」
「チームの皆さんも何かあったら言ってください。」
「今は特にはないですね。ただ日ノ出さんは頑張っているんだけど・・・。」
「気長に待ちましょう。4着回避は多いですし。」
橋口が話す。
「そうですね。」
のんびりした時間が流れる。
「次は、みくちゃんについてです。」
橋口が話し出す。
「えっ!?」
太平は驚いたのち、おびえ始めた。
「な、何も聞いていないんですけど・・・。もしかして結果が振るわないから・・・クビになるんですか。」
「何言ってんの?そんなわけないじゃん。成績もいい感じだし。」
橋口がにこやかに話す。
鳳が加える。
「ましてや、1年目ですから。ミスしたとしても成長していけばいいだけ。」
「珍しくいいこと言いますね。」
「金洗。珍しくとは何だ?」
「そのままですよ。」
コホンと橋口が一呼吸置く。
「じゃあ何の話ですか・・・?」
「この話は、沖村さんにも関係してきます。」
「えっ?!あたしも?!気抜いてました。」
「沖村さん、みくちゃんにはロイヤルティアーズに出場してもらいます。」
「いや・・・。元々出るつもりでしたし。」
「一個人ではなく、チームがバックアップします。」
「ええ?本当ですか?」
「ええ。沖村さんはチャンスは2回。みくちゃんはまだ余裕がある。だからこそ、積極的に挑戦してもらいたいんです。」
「こちらとしても、ありがたいです!ぜひお願いします!!」
「ありがとうございます。」
二人は笑顔になった。
「布崎さんはコーチとしても参加してもらいます。ただ布崎さんとしても今季の男女統一ツアー総合優勝が懸かっているので何回かにはなってしまいますが。」
「そうですね。」
「ちなみに、今季最終戦はどちらなんですか?」
「最終戦はみなとみらいで、雀士協会シーズンファイナル みなとみらい聖龍オープンです。ここで男女のツアー優勝者が決まり、各ツアー優勝者と2位の4名でやる感じ。」
「年始まではかぶらない感じですね。」
「ええ。」
「じゃあ改めて2人には、この大会について説明しちゃいますね。」
ROYAL Tearsの詳細な概要は、こうだ。
ステージはこのようになっている。
・全国予選(半荘5回戦)100名
↓
・本戦
1回戦 100名→50名
2回戦 50名→25名
準々決勝 25名→10名
決勝大会
1stステージ 10+2名→4名
最終決戦 4→1名
全国予選は、9都市で開催。
最終日終了時点での全国ベスト100が本戦進出。
優勝者には、優勝賞金1000万円と優勝旗やトロフィーとは別にROYAL SEVEN(ロイヤルセブン)と呼ばれる本当に豪華な賞品と特典であった。
ROYAL SEVEN
賞品・全自動麻雀卓最新モデル
・純金1000点棒(20万円相当)
・リーグ・ザ・スクエア賞
(16チームのオーナー企業より賞品)
主に商品券やお食事券など
・冠スポンサー賞
権利・麻雀天下統一戦 3回戦出場権
・その他ゴールドシリーズ団体戦 優先進出権
・自団体Bリーグ昇格権・女流Aリーグ昇格権(全日本・電現・スポーツ)
競技麻雀協会 来シーズンテクニカルセブンス全大会3回戦シード権
雀士協会 ツアー予選免除・決勝ラウンドシード権
と、かなり豪華な賞品が用意される。
「一生懸命頑張りますね!!」
「ぜひ!」
そんな談笑をしていると内線の電話が鳴る。
「はい。プロスポーツ事業部麻雀室です。」
「受付です。お客様がお見えです。」
「どちら様ですか?」
「株式会社シンクの井尾様と恩田様です。」
「分かりました。お通ししてください。」
「かしこまりました。失礼いたします。」
「お客か。」
「ええ。なぜか幕張闘宴団の方らしいのですが・・・。」
オフィスに到着した。
「お久しぶりです。幕張麻雀闘宴団のチーム責任者の井尾です。」
「チームスタッフの恩田です。」
「では、どのような用件ですか?」
「先日の試合に関してお詫びに来ました。」
「先日?」
「選手の方もお揃いで。ちょうど良い機会です。この度は、本郷選手のレッドカードの件でお騒がせして大変申し訳ございませんでした。」
「その件ですか?気になさらないでください。」
「まだ、公表はしてませんが今シーズンは謹慎処分にしましたので。」
「重いですね。」
「ええ。断固たる態度でいないと。」
「しばらくは、3人で回すのですか?」
「ええ。ただ、あまり詳しくは言えませんが。」
「ですね。」
「ありがとうございました。失礼いたします。」
チームスタッフ含め急な訪問に驚いた。
とりあえず、解散した。
続く。
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