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#映画感想文

限りなく窓に近いスクリーン ー 映画『アダマン号に乗って』について

窓の外をぼんやりと眺める。そこには意図のない、「あるがまま」の風景がある。
スクリーンに映る映像、即ち映画はどうだろう?人がカメラで撮影し、編集する以上、何かしらの意図があるだろう。恐らく意図から逃れることはできない。それは『アダマン号に乗って』も同じだ。
しかしこの映画は、まるで窓の外を眺めているように感じた。意図がほとんど感じられず、そのスクリーンは、限りなく窓に近かったように思える。
映画は

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「異なるもの」と「他なるもの」 ー『食客論』から観る、他者と出会うことの葛藤としての『戦場のメリークリスマス』

映画『戦場のメリークリスマス』を、私は「他者と出会うことの葛藤」というパースペクティブで観ている。
そして、星野太さんの『食客論』(講談社)を読み、このパースペグティブでの『戦場のメリークリスマス』と非常にリンクすると思った。

『食客論』で論じられているのは、「友でも敵でもない、あるいはいずれでもありうるような曖昧な他者」、「傍にいるもの」、「中間的な他者」、「不審者」という存在だ。

例えば、

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