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#29.新しい治験「OCN201」について

以前noteで「2020年春頃に悪性神経膠腫に対し新しい治験が出る」と聞いたことを書いた。

この中で、国立がんセンター中央病院から言われたことは

「2020年春頃に奥様の遺伝子異常(H3K 27M遺伝子変異あり)に対する治験が出ます。『ONC201』という治験です。ただこれからの臨床試験になりますし、効果もこれから検証していきます」

と言われたので、今注目を集めている「ウイルス療法」に加え、これも今後は可能性ある治療法ではなかろうかと思って調べてみた。

「ONC201」の記事を調べると海外の記事も多いが、その中で日本の記事として2019年2月15日に大原薬品工業株式会社がリリースした記事が見つかった。その中に「ONC201」の内容があったで記載する。

「ONC201 はドパミンD2受容体にアンタゴニストとして作用し、腫瘍細胞をアポトーシスに導く新規の低分子化合物です。米国では前臨床モデルおよび進行中のいくつかの臨床試験(成人および小児の高グレード神経膠腫に対する臨床試験等)で抗がん作用および安全性が確認されています。2018 年 11 月に米国食品医薬品局(FDA)は成人再発 H3K27M変異高グレード神経膠腫の治療としてONC201を※Fast Track Designationに認めました。  

※FDA が必要性の⾼い新薬を優先的に審査する制度を Fast Track Designation(優先審査制度)と呼びます。

「ドパミンD2受容体にアンタゴニスト…」については言葉が専門的過ぎて、よく調べられていない。ただ記事としてあったのが、そもそも脳や脊髄には血液の関門(血液脳関門や血液脊髄液脳関門など)があり、これらが脳や網膜へ必要な物質以外の異物が簡単に入らないようにしている。そのため、薬を患部へなかなか到達させられず、アルツハイマー病などの脳神経疾患や糖尿病性網膜症などの網膜の病気の治療は難しいとされてきた。

ただ「ONC201」は血液脳関門を効果的に透過できるドーパミン受容体D2(DRD2)の高度に選択的な薬のようだ。

また少なくとも「腫瘍細胞をアポトーシスに導く」という文面から、がん腫瘍を殺す作用のある化合物であることはわかる。

また米国では既に臨床試験で成人と小児高グレード神経膠腫に対し安全性が確認できていることや、加えて2018年には米国食品医薬品局(FDA)が成人再発 H3K27M変異高グレード神経膠腫の治療として「ONC201」を認めたことから期待できるものと思った。

※ちなみに、そもそも米国食品医薬品局(FDA)とは、アメリカ政府機関でありは食品や医薬品、さらに化粧品、医療機器、動物薬、たばこ、玩具など、消費者が通常の生活を行うに当たって接する機会のある製品について、その許可や違反品の取締りなどの行政を専門的に行う。日本で言えば厚生労働省にあたるもの。

ただ気になるのは2019年6月の「オンコロ」記事内では「ONC201」の奏効率について以下のような記載があった。

造影病変を有する患者群での客観的奏効率(ORR)は27%(95%信頼区間:8%-55%)、非造影病変を有する患者群では36%(95%信頼区間:13%-65%)。6ヶ月無増悪生存率(PFS)は33%、全生存期間(OS)中央値は未到達を示した。

また脳外科医 澤村豊先生のホームページも

2017年10月時点でパノビノスタット panobinostatが臨床第1相試験され,2019年10月時点でK27M変異をターゲットにしたONC201という低分子薬剤の治験が進行中です。

という内容があった。

治験情報に過度な期待を持たない方が良いことはわかる。ただ新しい治療法を待ち望んでいる我々からしてみれば、治験でも何でもいいから、早く治して欲しい、の一言だと思う。

この治療法が「もしかすると…」と期待せざるを得ないというのは正直な気持ちだ。

現時点では、あくまで放射線治療など標準治療をベースに考えるべきだが、今後は新たな治験はじめ、この「ONC201」や進捗中の「ウイルス療法」など期待をしている。

また「ONC201」についてわかることがあれば書きたいと思う。


今後も一日一日を大切にして、少しでも元気でいればきっと希望はある。

明日も頑張ろう。

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ジル
記事を通じて、少しでも誰かのお役に立てればと思っています。