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#122.妻の声

私は毎日、妻の洋服やタオルを洗濯するために

朝8時過ぎに一旦、自宅へ戻っている。

そして昼には義母が妻のお見舞いに行くので

あまり被らないように

その時間は病室へ行かないよう気を使っている。

毎日必ず病室には泊まるので、夕方には病室へは行く。

病院へ着くと

必ず私がいない間の妻の様子を看護師さんから聞くのだが

今日は天気も良かったので、病院内に咲いている桜を見に行ったそうだ。

その時に目は開いていたらしいが、あまり反応はなかったとのこと。

起きているとは思うが、妻はもうあまり声を上手く出せないのだろう。

ただ久しぶりに外に出れて、桜を見れて本当に良かったと思う。

やっぱり病室のベッドだけだと

いくら病気を抱えていても

気が滅入ると思うしね。

先日は私が車椅子を押して、病院内を散歩したのだが

来週、妻の調子が良かったら連れて行ってあげようと思う。

本当は外出許可とかもらって

介護タクシーとかで

近くの公園とかに連れて行ってあげたいが

コロナの影響で、なかなか行動が取りづらい。

病院の面会制限も来週から更に厳しくなるそう。

それと最近、妻は食欲がないのか

ご飯をあまり食べれなくなってきているが、

ただそれでも私がいつものように

ご飯食べるよー

と声をかけると

今日については

目を少し開けて

あくびをしながら

寝るよー、○○(自分の名前)

と言った。

正直私はびっくりした。

はっきりと声を出して

自分の名前や眠たいことを言ったから

そして久しぶりに

妻の声を聞いた。

その声を聞いた時に

私は笑いが出ると共に

嬉しさと

今の状態になったことの悲しさとで

涙がでた。

ただ声を聞いた嬉しさの方が大きいかな。

その声は一生忘れないと思う。

寝るよー、か

妻らしい言葉で

本当に久しぶりに笑ってしまった。

記事を通じて、少しでも誰かのお役に立てればと思っています。