見出し画像

仕事における「協調性」

「お友達は多い方なのかしら?」

これは、実際に転職活動の面接で聞かれた質問だ。相手は50代くらいの女性。とりあえず「一般的に多いかどうかは分かりません。心が通い合う友達を大切にしています」と答えた。

面接官はう〜ん…という表情。矢継ぎ早に「休日は基本的にお友達と過ごします?」「人と一緒にいる方が好きですか?」「集団の中で、細やかな気配りができる方?」と飛んでくる。

協調性を確認しているのかな?と思いつつ、その後も落ち着いて答えたが、面接官の表情は冴えなかった。

彼女はこの質問の意図を教えてくれた。その会社は女性がほとんどで、年齢も上から下までいる。そのため、気を遣って察して動ける力がとても重要。

「1人が好きっていう女の子が最近多いけど、そういう子って扱いに困ることが多くて。先輩に気を遣えないって言うのは、ちょっとね…」

もちろん、この企業からはお断りをもらった。私も行く気はなかった。友達は少ないし、会うのは3ヶ月に1回程度。休日はもっぱら1人で過ごす。そんな人間が、間違ってもこの企業に入るわけにはいかない。

結局、私は他の企業に入社して1年くらい働いて…退職した。

入社してすぐ「気が利かない」「私のやり方と違う!」「私たちの入った頃はもっとキツかった(それなのにお前は)」など、笑ってしまうくらい典型的なセリフをしょっちゅう言われた。以前の職場にここまで”あからさまなタイプ”はいなかったので、驚いた。

今になって、冒頭の女性面接官がどれだけ本音を言っていたか、よくわかる。

後輩が先輩のいうことを聞き、理不尽なことがあっても耐え、機嫌を取ることを求める。昭和っぽくて、体育会系の考え方。でも、それが仕事における”協調性”というものだ。

ただ業務に集中する。最低限のコミュニケーションはとる。機嫌は特に取らず、普通に接する……という省エネ対策は、彼女たちにとって”協調性がない”事になる。

なぜだろう。

私は”協調性のない人間”なので、彼女たちの気持ちが全然わからない。後輩を指導したこともあるが、仕事自体に問題がなければ特に何も思わなかった。たとえ自分とやり方が違っても、後輩の方がもっといいやり方をしていることもあった。

自分たちが若い頃、先輩たちに苦しめられてきたから?次は私の番、みたいな感じ?

わからない。

私だったら、自分がされて嫌だったことは後輩にやらない。後輩にも、いずれ後輩ができたときに嫌なことをしてほしくない。新人の頃、先輩たちに休職するまで追い詰められて苦しんだからこそ、そう思っていた。

もちろん、7年ほど会社員をやってきた中で「そうでない先輩」もたくさんいた。後輩にきちんと仕事を教え、ミスしたら注意しつつ良い方法を教えてくれる。落ち込んでいたら話を聞いてくれる。

そんな優しい先輩も、たくさんいた。

結局、「同調圧力をかけてくる」のは、年齢的に若いか大ベテランかは関係なかった気がする。

圧力をかける人は決まって「自分の正しさを証明したい」「こうあるべき思考で自分ががんじがらめ」、または「人が自分より少しでも楽をするのが許せない」というケチな感情を持つ人・・・だった。

ようは、根っこは自分の仕事が嫌いなんだろうな、と思う。

会社は好きでも、自分や仕事は好きじゃない感じかな。

逆に「そうでない先輩」は自分の仕事に誇りを持っているし、実際たのしそうに働いていた。とにかく笑顔が多かった。

とはいえ、後輩を育てる苦労はとてもよくわかるので、「いい先輩になれよ」とは言いづらい部分もある。後輩自身に問題がある場合も多いし、業務量的に難しい場合もある。

どうしようもない問題だとは思うが、なかには本当に苦しんでしまう人がいる。私のように、休職するまで追い込まれてしまうことも。

でも、攻撃している本人は気がつかない。「私は正しい!」と信じて疑わない…というか、信じるしか自分を保つ方法がない。

実際は、攻撃している人の方が、いろんな面でずっとかわいそうなんだけれど・・・。

今回は、ずいぶんとりとめのない文章になってしまった。多くの人が集まって、たくさんの時間を過ごすの会社という場所は、人間関係が複雑になりやすい。私も随分、苦しんだ。

同じお給料をもらって相手がラクをしていれば誰だって許せないし、雑用を含め仕上がりの細やかさは人によって違う。気に入らなくても、業務上関わらないといけない。

むずかしいな。

ただ、ひとつ、ささいなことだが「女性同士のいざこざ」を減らす方法として一定の効果があるものを見つけた。

掃除やタオルの洗濯、お茶汲みなどの「雑用」をなくすこと。

これだけで、だいぶ変わると思う。本気と書いてマジで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?