ぜろと

Zero to Z. ジャンルも幅も問わず、日々の思いや考えを。どこかの「ぼく」とその…

ぜろと

Zero to Z. ジャンルも幅も問わず、日々の思いや考えを。どこかの「ぼく」とその周りの「だれか/どこか/なにか」とのエピソードを書き連ねていきます。ご依頼いただければ「あなた」の話も。

記事一覧

#あかりさん

「よくさ、『今日最高に楽しかった〜! 明日からまたがんばれる!』とか、『来週のライブが楽しみすぎて今週仕事乗り切れる!』とか言うじゃないですか」 ぼくは珍しく、…

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5年前
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#みゆきさん2

ぼくが新宿駅に着いたのは22時半を回った頃だった。 NewDaysの横にみゆきさんはいた。 待たせてごめん、と声をかけて気付く。 この前の彼女とはどこか違う。 髪を結んで…

ぜろと
5年前
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#しばちゃん

0時を回った頃、彼女は口を開いた。 「一本、ちょうだい」 部内にはぼくと彼女のふたりだけ。 だいぶ前にも同じようなことがあり、 その時彼女は人知れず煙草を吸ってい…

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5年前
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#おさむ

「折れろ!」 僕の手から矢が離れるのを見計らって、 彼はふざけた語調で小さく叫んだ。 果たして、矢は1に入った。 ぼくは笑いながら矢を取りに行く。 どれもいいとこ…

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5年前
3

#あかねさん

「あ、ども」 タンクトップから肩を出し、片脚に重心を寄せて立っている彼女のきめ細かい素肌には、真っ直ぐな長い髪がふわりと載っていた。 ショートパンツからすらりと…

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5年前
4

#ふみさん

人差し指が熱い。 ぼくたちは新宿駅東口の喫煙所で待ち合わせた。 前に怖い思いをしたらしく、人気の多い場所が良いらしかった。 電話で確認をさせてくれよと思ったが、…

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5年前
3

#みゆきさん

ホテルを出たら、雨は止んでいた。 「おれ歩くの早い?」 ちがうの、とみゆきさんはこたえた。 「わたし、歩幅が小さくて。しかも今日ヒールだから小走りに見えるの」 終…

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5年前
2

#あかりさん

「よくさ、『今日最高に楽しかった〜! 明日からまたがんばれる!』とか、『来週のライブが楽しみすぎて今週仕事乗り切れる!』とか言うじゃないですか」

ぼくは珍しく、話し手に回っていた。

「わかります! わかります!」

「そう。おれはそれって本気で言ってるのかな、と不思議に思ってしまうんですよ」

ぼくは本当にこういった気持ちが理解できない。
何か楽しいことがあっても、その時にそれは楽しみきってし

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#みゆきさん2

ぼくが新宿駅に着いたのは22時半を回った頃だった。
NewDaysの横にみゆきさんはいた。

待たせてごめん、と声をかけて気付く。
この前の彼女とはどこか違う。

髪を結んでいることや、
服の雰囲気が柔らかく変わったことに触れてみると、
「確かにね。アイシャドウとかも変えたの」

彼女は少し気恥ずかしそうに笑った。

階段を登り、ぼくたちは歌舞伎町を少し右にそれながら歩いていく。

「あのいつもの

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#しばちゃん

0時を回った頃、彼女は口を開いた。

「一本、ちょうだい」

部内にはぼくと彼女のふたりだけ。

だいぶ前にも同じようなことがあり、
その時彼女は人知れず煙草を吸っていることを打ち明けてくれた。

終電まであと16分くらいだったけれど、
ぼくは彼女の誘いに応じて、フロアの端にある喫煙所まで一緒に歩いていった。

冷房の止まった社内は、空気が湿って重い。

「何してんだろ、あたし」

ぼくも最近仕事

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#おさむ

「折れろ!」

僕の手から矢が離れるのを見計らって、
彼はふざけた語調で小さく叫んだ。

果たして、矢は1に入った。

ぼくは笑いながら矢を取りに行く。
どれもいいところに入らなかった。
3本持ってソファに座る。

「君の不幸を一番望んでいるからね。僕は」

おさむはいつもぼくにこう言う。
けれど不思議と嫌な気はしない。

おさむとぼくは、かつて高校の同級生だった。
彼は高校一年の夏休み明けから一

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#あかねさん

「あ、ども」

タンクトップから肩を出し、片脚に重心を寄せて立っている彼女のきめ細かい素肌には、真っ直ぐな長い髪がふわりと載っていた。
ショートパンツからすらりと伸びた脚の先には灰がいくつか落ちている。

日曜日、ぼくらはたまにここで会う。

ぼくはその日の格好でここに来ることが多いが、
彼女はいつもグレーのタンクトップにショートパンツだ。

「家じゃ吸えないの?」
「うん。あかねさんも?」

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#ふみさん

人差し指が熱い。

ぼくたちは新宿駅東口の喫煙所で待ち合わせた。
前に怖い思いをしたらしく、人気の多い場所が良いらしかった。

電話で確認をさせてくれよと思ったが、
こういうのも悪くないと思った。

水色のヘッドフォンの女性を探すと、彼女はすぐに見つかった。

けれど、彼女が2本目に火を点けたばかりだったので、ぼくは短くなったタバコをもうひと吸いした。

「こんばんは」

3本目に火を点ける前に

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#みゆきさん

ホテルを出たら、雨は止んでいた。
「おれ歩くの早い?」
ちがうの、とみゆきさんはこたえた。

「わたし、歩幅が小さくて。しかも今日ヒールだから小走りに見えるの」

終電を逃すまいという気持ちもあったぼくは、少し安心した。

みゆきさんは、来週滋賀に発つ。
「セミナーに行くの。詐欺とかじゃないのよ」
ヒールを鳴らしながら、みゆきさんは明るい髪を揺らしている。

最近やめた建築関係の仕事仲間から教わっ

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