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ゼロベースランニングが生まれるまで(3)

前回は、大学に入学直後
僕はこれまでとは人が変わったような走りができるようになったお話をしました。


しかし、そのパフォーマンは長くは続きませんでした。

5月の関東インカレこそ、1500mで5位入賞しましたけど
その後はずーーーーっと低空飛行。


僕、4年間で一度も箱根駅伝には走ってないんですけど
箱根駅伝の予選会には1年生の時に走ってるんです。


だけどこれも
20kmを1時間3分もかかって、チーム最下位。


何かがおかしい。
歯車が狂ってる・・・。


その年、チームは箱根駅伝に出場しましたけど
そんな状態の僕が走れるわけもなく・・・。


今考えると、入学直前直後のパフォーマンスの残像がいつも僕の中にチラついてて
「何か違う、こんなんじゃない。」
ずーっと、その当時の僕を追いかけてました。

この状態はもちろん「今ここ」にはいない。


そんな状態で年が明け
大学に入るために上京して1年を迎える3月頃
僕は大きな転機を迎えることになります。


その転機とは・・・


朝練の最中に、右膝を「グリっ」っと捻ってしまったんです。


ちょうど朝練で10km走る中での中間点過ぎたとこだったんですけど
「えっ?!」って感じでした。


ただ、そのまま走り続けることはできたんですね。
なので、残りの距離もそのまま走り続けて
寮に帰り、朝飯食べて、1限なかったんで昼寝(朝寝?笑)して
起きたら大変なことになってました。


膝が・・・

3倍くらいに腫れ上がってる・・・。

寝る前はそんなことなかったのに
小1時間であり得ないくらいに腫れ上がってる。


いやいや、これはマジでヤバいやつでしょ?って超慌てて
すぐに近くの整形外科に行きました。


その診断、何だったと思います・・・???


「わからないなー、捻挫かな?」

・・・って、おーい!!!怒
わかんねーのかよ???
こんなに腫れてるのに、原因わかんないの???


それからですよ、僕の整形外科不信(笑)。


しかしそんな愚痴言っててもしょうがない。
この膝、あまりにもヤベー・・・。

今、医学的な知識を以って思い起こすと
恐らく外側半月板の損傷かと。

今でも膝がロックしたりするので。

結局それから、7月末くらいまでは
まともに走れませんでした。

自己嫌悪に陥る毎日。
この時って、結構腐ってましたね。


高校の時のように抑圧されるような状況ではないので
内に内にこもる感じではなく、結構周りの人に迷惑かけてました。

飲み会とか合コンとかも、この時が一番多かったような(苦笑)
完全に現実逃避。


ただ、よく面倒をみてくれてた先輩が
遊びも一緒に連れていってくれたんですけど
遊びは遊び、走るのはしっかりやる。

それを背中で教えてくれてました。

箱根走るために上京したんだから
今頑張らなくてどうする?

まだ膝の痛みはあったんですけど
8月くらいから練習に合流しました。
半ば強引でしたけど。

しかも、かなりバランス崩した走りになってたと思うんですけど
なりふり構わず、そのまま走り続けました。

すると・・・


その状態で突入した夏合宿。
もちろん、まだ痛い。

だけど、走れないこともない。

そうやって少しずつ練習を積めるようになったんですけど
痛い割には、結構楽に走れる。


僕、30km走とかホント苦手だったんですけど
ラスト1kmを2分45秒くらいで上がったり
なんかよくわかんないんですけど
右膝は相変わらず痛いんですけど
すごく走れるようになってきた。


何でだろう?
今度は、いい意味での「何でだろう?」です。

膝痛いのに。

30km走なんて、膝痛くないときは普通に離れたりしてたのに
何で、膝が痛い今の方が、体力に余裕があるんだろう?

もちろんそのときは答えなんかわかりません。
ていうか、早く膝の痛みを追い出したい。

走るときは
「いかに膝に痛みが出ないように走ればいいんだろう?」
これだけしか考えてませんでした。

だから
「ああー、30kmなんて最後まで走れるかなー」とか
「1000m10本とかキツそうだなー」とか
そんなことは微塵も考えてませんでした。

「どうやったら、膝のいたみを痛みを出さないように走れるかな?」

フォーカスポイントは、これだけ。

結局、僕は右膝に負担をかけ過ぎてたから
右膝を故障したわけです。

ってことは
この痛みっていうサインを元に
いかに右膝に負担をかけないようにするか?

ここが重要なわけです。


その当時、もちろん僕には医学的な知識なんかありません。

その時意識してたのは
右足は地面に置くだけ。
左足で走る。

これだけ。

これを徹底することで
痛みが酷くなることがなかった。


医療従事者の立場から言うと
僕のこの行動は手放しでお勧めできることじゃありません。


ただ、痛みがある時じゃないとできないことがあるのも事実。
そして、なぜか調子がいい。


「痛みを我慢しなければいけない」
とは、僕は考えてませんでした。

どうすれば痛みが軽く済むか?
これだけを考えてたわけです。

そうすることで、走りが磨かれた。
フォーカスポイントが絞れた。


逆に考えると、大学に入学してすぐは
環境に適応すること
つまり、部に馴染むことにフォーカスポイントが絞れてて
それ以外のことを考える余地がない。

だけど、環境に適応して
色々余裕ができてきた。

田舎モンが東京に出てきて
そりゃあ原宿にも渋谷にも行ってみたい。

オシャレも気になるし
女の子の友達も欲しい(笑)。

そりゃあ、集中力も削がれるわ(笑)。


右膝の痛みって、走るときだけじゃなくて
普段歩いてる時も出てたんですよね。

だから、例えどこか遊びに出かけてても
右膝のこと、そして陸上競技のことを
目が覚めてる時は四六時中
ずっと意識せざるを得ない状況だった。


正直言って、めっちゃ鬱陶しいですよ。
だって、痛みなんてない方がいいっすよね?


でも、未熟な僕にはそれが必要だったんですよね。


そんな状態で夏を過ごした僕は
秋に大ブレイクすることになります。

その件は、また次回に。

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高岡 尚司(たかおか しょうじ) ゼロベースランニングクラブ・オーガナイザー 熊本国府高校陸上競技部長距離ブロックコーチ 鍼灸マッサージ師 ランニング足袋・開発アドバイザー ALTRA JAPAN アンバサダー 合同会社エフエイト・代表社員