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「値引販売が、実は怖い」という事をおじさん二人の浅知恵で考えた話

<おじさんDX Vol 104>

本日は、長文化しつつある「浅知恵で考えたシリーズ」
Gさんとの会話を記事にします。

今回は、会話形式の記載は少なめです。(それでも3000文字あります)


✅値引販売は怖いのです。

業態により、販売促進の為や顧客との折衝で、値引をする事がありますが、売上額ばかり作る事に捉われて仕舞うと、安易に値引をしてしまうケースが、見られるのです。

そこで値引販売が、どのように影響するか考えてみました。


✅値引販売の実例

計算し易いように平均100個売れている商品で、原価率50%とします。

売価は、消費税を考慮せず、100円です。
値引率は、5%~30%までを下記に表記してみました。
※長くなるので、ここは飛ばしてご覧ください)

平均100個の販売実績の商品(値引無の場合)
販売価格 100円(消費税含まず)
仕入価格(原価)50円
販売時利益額  50円
※100個販売時利益 50円(利益)x100(個)=5000円
5%値引
販売価格 95円(消費税含まず)
仕入価格(原価)50円
販売時利益額  45円
※100個販売時利益 45円(利益)x100(個)=4500円
10%値引
販売価格 90円(消費税含まず)
仕入価格(原価)50円
販売時利益額  40円
※100個販売時利益 40円(利益)x100(個)=4000円
15%値引
販売価格 85円(消費税含まず)
仕入価格(原価)50円
販売時利益額  35円
※100個販売時利益 35円(利益)x100(個)=3500円
20%値引
販売価格 80円(消費税含まず)
仕入価格(原価)50円
販売時利益額  30円
※100個販売時利益 30円(利益)x100(個)=3000円
25%値引
販売価格 75円(消費税含まず)
仕入価格(原価)50円
販売時利益額  25円
※100個販売時利益 25円(利益)x100(個)=2500円
30%値引
販売価格 75円(消費税含まず)
仕入価格(原価)50円
販売時利益額  20円
※100個販売時利益 20円(利益)x100(個)=2000円


✅値引販売後の利益額

値引無での100個販売時が、5000円の利益額です。同じく100個販売ですが、5%~30%値引販売時の利益額を下記に記載します。

※各々100個販売時の利益額
値引0%の場合の利益額 5000円
値引5%の場合の利益額   4500円
値引10%の場合の利益額 4000円
値引15%の場合の利益額 3500円
値引20%の場合の利益額 3000円
値引25%の場合の利益額 2500円
値引30%の場合の利益額 2000円

 売上額も値引販売によって減りますが、重要なのは値引販売によって利益が減っているのです。そんな事当たり前でしょう?と思われるかも知れませんが、実にこの利益額の減少は、かなり怖い事なのです。

✅値引販売は、利益を削る

値引販売が怖い理由は、利益額が減ってしまう事です。

しかし、何が怖いのかと申し上げると、通常で100個販売出来ている商品ならば、売上数を増加させないと、元の販売利益が確保出来なくなるのです。

値引販売による削った利益額※100個販売時

値引0%の場合の利益額 5000円 増減0円
値引5%の場合の利益額   4500円 ▲500円
値引10%の場合の利益額 4000円 ▲1000円
値引15%の場合の利益額 3500円 ▲1500円
値引20%の場合の利益額 3000円 ▲2000円
値引25%の場合の利益額 2500円 ▲2500円
値引30%の場合の利益額 2000円 ▲3000円 

金額が小さいですから、あまり影響がないように見えます。


✅値引販売分の利益を確保するには何個販売?

値引販売した場合、値引無しの水準まで利益を確保するには、何個販売を増やす必要があるかを下記に記載します。

値引0%の場合 100個 増減0個
値引5%の場合   112個 12個増 対比112%
値引10%の場合 125個 25個増 対比125%
値引15%の場合 143個 43個増 対比143%
値引20%の場合 167個 67個増 対比167%
値引25%の場合 200個 100個増 対比200%
値引30%の場合 350個 150個増 対比350% 

※販売数量は、一部四捨五入。

25%値引で、2倍の数量を販売した場合

値引無し売上額 100円x100個=10000円 利益額5000円(粗利率50%)

25%値引売上額 75円x200個=15000円 利益額5000円(粗利率33.3%)

数量2倍の販売で売上額こそ向上しますが、通常時の利益額と同じです。

言い換えれば通常時の利益額を確保するには、2倍販売が必要

たった5%の値引きでも、販売比で112%の販売個数増が必要になります。

ですから、値引販売は怖いのです。

私      :実際に現場では、安易に値引きをする人が居るんだよね。
Gさん:売らなければ、利益そのものが出ないから、これまた難しい。

Gさん:販売商品が1種類だから極端だけど、意識していない人は居る。
私      :もう10%OFFなんて、大した事じゃないでしょ!とね。
Gさん:何かのデーターで消費者が安く感じるのは、30%OFFからと聞いたことがある。
私      :実際、消費者側としては、もっと安く!が本音と思うよ。
私      :さらに、販促なら、販促費が乗っかる場合があるからさ。
Gさん:何の為に販促したのか意味が分からなくなる(笑)
私      :一生懸命企画して値引きしたら、結果利益は通常以下でした...。

Gさん:なんて事は、可能性があるから、企画販促の人は大変なのよ。
私       :大体、対比200%なんてそう簡単じゃない。


✅それでもどうして値引き販売するのか?

値引販売は、企業側にとってリスクがあると考えられます。

しかし、どうして値引販売されているのか。
Gさんと少々裏話も交えて会話しました。

Gさん:販売しなければ、利益は1円も出ない。
私   :1円どころか、実際はマイナス。在庫を持っているからね。
Gさん:そうそう!在庫を持つと言う事は、仕入ていると言う事。
私   :仕入は、仕入するのに、お金を払っていると言う事。
Gさん:極端に言うと、販売しないと仕入分のお金を払えない。
私   :50円で仕入て、販売しないと会社が、50円負担する事になる。
Gさん:あまりにも在庫回転が悪いとそれが、多くなる。
私   :自分の財布に例えると、販売するまでお金が戻って来ない。
Gさん:手形決済なら金利も考えないとね。
Gさん:値引き販売自体は、悪い事ではなく、安易な値引きはダメ。
私   :値引きしないように!と言うと、全く値引きしなくなるからね。
Gさん:値引き出来なかったから売れませんでした...。とかある。
私   :粗利率確保すればいいのでしょ。となる場合もある。
Gさん:これは、最終原価を知らない一般職に多い。
Gさん:仕入数等の条件でバックリベートもある。
私      :当初から、リベート達成目的で値引き販売する事もありますね。
Gさん:知らないと、こんなに値引きしていいのですか?と聞きに来る。
私       :現場のスタッフは、そうした事情まで知らされないからね。

私       :50円原価商品を5%値引きしても、拡販した分だけ利益増。
Gさん:達成リベート込みで最終原価が45円とかね。数字のマジック。

仕入原価以上で販売すれば赤字ではないと思われる事もあります。

しかし、商品を販売しての売上利益を得られても、そこには人件費を始めとした販売管理費などがかかっているのです。このバランスを経営者は常に考えています。

現場で行われる安易な値引販売は、怖く実に匙加減が難しいのです。


以上、おじさん二人の浅知恵のお話でした。


おじさん二人の浅知恵シリーズ


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