行動経済学を看護学へ活かすシリーズ③過剰正当化効果

はじめに


「私は病気で困っている患者様のために看護をしていきたいです」

「患者様が手術した後に早期のリハビリで歩けるようになって嬉しい」

医師や看護師、リハビリスタッフや薬剤師など病院で患者と関わり合う人は誰しも最初は感じるはずです。
自分の働きが役に立った。
全てが自分のおかげではないけど、その一部分になれた。

自分のやりがいや感情からくるモチベーションアップはとても良い働きに結ぶことができます。「内発的動機づけ」とも言いますね。対して金銭などの報酬からやる気を引き出す方法を「外発的動機づけ」と言います。
シンプルに個人のやる気が内側から来るのか、外側から来るのか?とイメージすると理解しやすいでしょう。

今回は動機づけをメインに考察して、「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」を混ぜるとどうなるか考えていきましょう。

このシリーズを読む人はまず、こちらの記事を読んでいただければ幸いです。

過剰正当化効果とは?

普段、私は料理をしません。しかし夕食作りを妻ばかりに任せるわけにはいきません。「たまには自分が美味しい料理を作ろう」と考えるわけです。この時点で内発的動機づけにより料理へのモチベーションが上がっており、やる気に満ちています。普段見ないレシピをネットで調べてシンプルな料理。野菜炒めや味噌汁、サラダを作りました。結果は高評価で「また作ってほしい」とリピートをいただくことができました。

それから1週間、2週間と経ち、その出来事も忘れている頃。ある日妻から野菜炒めや味噌汁をまた作ってほしいと言われます。最初はイヤイヤながらも、あの時喜んでくれたから。と料理を開始します。その途中「ごはん作ってくれたから明日、ケーキを買って帰るね」と言われます。「ありがとう」と返事しつつも、「う〜ん。別にケーキが食べたいわけじゃないんだけどな。」と心内でぼやいたことを覚えています。

じぶん

過剰正当化効果。あまり聞きなれない言葉だと思います、自分も初めて聞いた言葉でした。他にも「アンダーマイニング効果」とも言い、こちらの方が馴染み深い人もいるかもしれません。
その意味は「 役に立ちたい」「目標を達成したい」という内発的動機づけにより行動したことに対して「報酬を与えられる」「圧力をかけられる」などの外発的動機付けにより、やる気やモチベーションが低下してしまうこととなっています。

『本書:行動経済学が最強の学問である』では趣味の延長で動画編集をボランティアで貢献しているスタッフがいました。それを知った上司から特別手当を出す。と提案されます。お金がもらえることは嬉しいですが徐々、その動画編集が仕事のような感覚になっていき、義務感やプレッシャーとなりモチベーションが低下していった、という話になっています。

確かに、今現在は、何も価値はない。しかし自分たちのやる気だけで行う仕事や趣味は楽しいですよね。成果を求められませんし、余計なプレッシャーも感じない。「好きなことを仕事に」という言葉を時々、目にしますが長続きしているのでしょうか?少なくともこの過剰正当化効果を参考にするなら長続きはしないことが予想できますね。

内発的動機づけをそのまま活用する方法とは?

じゃあ、どうすればいいのか?管理職やマネジメント職の人は悩みます。
本書では、このように書いています。

「言葉や態度で報酬を渡すこと」

お礼の言葉を伝えながら、コーヒーを手渡します。この場合コーヒーはおもてなしの行動として表現しています。「君の働きはコーヒー程度の価値だったよ」ではなく、その頑張りに対してシンプルに感謝を伝えることが1番なのですね。見返りを求めない行動に対しては見返りをしない行動でお礼を伝えるといい。良い学びになりました。

さいごに


看護師も仕事ですから、給料をもらっています。病院なら患者に。施設なら高齢者に。最高のサービスを提供しようとしています。それは見返りを求めない行動からきている感情やモチベーションなのかもしれませんね。私が尊敬する看護師はお金にもならない。ごみを拾う、適切なタイミングで声かけができるなど気遣いの分野から出ない。知識やスキルはその土台に積み上げるからこそ看護師として優秀なのかもしれませんね。

そんな優秀な看護師を個人としてチームとしてベストを尽くすためにはマネジメントは必要不可欠です。内発的動機づけはクリエイティブに富み、課題や問題解決を促進してくれるかもしれません。私個人、働く人が最高のパフォーマンスで結果出すことはとても良いことだと感じているので力になりたいですね。

今回の記事はこれで以上になります。

解釈違いなどの指摘等ありましたらコメントなどで教えてもらえると幸いです。

私の記事を読んでいただき、ありがとうございました。

またの更新をお待ちください。

労働の効率性やメンタリティ、外国の多様な働き方を参考に、実体験も含めて書いています。サポートしてもらえると幸いです😉