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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

原題「Once Upon a Time in... Hollywood」

◆あらすじ◆
人気の落ちたテレビ俳優リックは、映画スターに転身して再起を図る。そんな彼の付き人をつとめるスタントマンのクリフは、業界で生き残ろうと必死になるリックとは対照的な性格だったが、固い友情で結ばれていた。そんな中、有名映画監督とその妻が隣人として転居してきたことをきっかけに、リックはイタリアでの映画出演を決意。


鑑賞前夜、虫の知らせかマカロニチーズ食べたんだよぉ!wwwwwwwww(´艸`*)

 そんな事よりこれはまさにQT流…

      【御伽噺in聖林】


アメリカの60年代は様々なムーヴメントや終わらないベトナム戦争でとにかく激動だ。
そんな時代の斜陽を描いた今作。

登場人物の対比が絶妙!
オープ二ングからそれにのめり込めるからタラちゃん作品は堪らない!

今も第一線(?)で演じてる2人をW主演に据えて【落ち目】の俳優を演じさせちゃえるのもQTならではなのかもしれない。
個人的に思うのはここ数年賞獲りに燃えてた様に見えたデカプリオとどちらかと言うと製作側(裏方)に重きを置いていたブラピと言うこのコントラストもタラちゃんは構想に在ったのかもね。
(因みにこの主演2人は名作『ブロークバック・マウンテン』にオファーされてた事実もあって当時の監督予定だったガス・ヴァン・サントが明かしてる。なので今作の揃い踏みとこのブロマンスはそれを知っててのQTの配慮もあったか?とかねぇ〜。)

アタシはデカプリオはこういうちょっと何処か弱さがあってコミカルな感じが合ってると思うの。で、そういうチョイと母性くすぐっちゃう子供っぽさとか演出されてる。

逆にブラピは今作みたいな出来上がった自然派2枚目的な始終カッコイイのもちゃっかりイケちゃう感じがある。まぁとにかくブラピはこの役無駄に脱いだりしてサービスショットありありね。同じ年齢とは思えない肉体披露してくれちゃってるしさ!ブルース・リーと互角以上なスタントマンで非の打ち所が無い・・・貧乏以外はねww・・・でもその貧乏さえもカッコ良くて自分のスタイルが確立されてる感のある人物像ってのが良かった。
完全に女性ファンの歓喜狙ったねww。
タランティーノ監督、2人の取説持ってる感あるなぁ〜〜ww

そして大好物ブロマンス❤︎
個人的にはおっさんずラブもOKなんで、もうちょっと濃い目でも良かった気するけどでもまぁこの2人でだからこの程度で良かったのかもね。存在自体が濃すぎるww。

意外に観る前と言うかキャスティング知った時、タラちゃんの事だから設定上絶対ブロマンスありだと思ってたからどうかなぁ?なんて感じだったんだけどなんのなんのこの2人がQT描く妄想ハリウッドに極自然に存在してたから違和感なく観られた。この辺がタラちゃんの技なんだろうな。

いちいちカットやシーン作りがカッコ良くて彼独特の色合いとか質感とか好きな人にはホント堪らん。これがタラちゃんの9作目だってんだから引退かかった10作目はどんな作品になるのか楽しみ過ぎる・・・ホントに引退するのかなぁ?

全体的なキャスティングは物凄く良かった。
マーゴット・ロビーは個人的に結構観る機会多いんだけど『ターザン:REBORN』でのジェーン役が好きだったな。物凄く美しくて強い女性像で素敵だった。で、今作はあのシャロン・テイトだってんだから正直惨殺覚悟だったんだけどね・・・。

このアメリカ国民なら誰もが知ってる『シャロン・テイト事件』が今作の伏線(いやホントは本線?)になってるんだけど、主演2人への絡ませ方がまたらしいというかなんというか・・・。
スパーン映画牧場の再現とマンソンのコミューンの描き方とかめちゃくちゃ怪しさ満載でゾクゾクしたし、こういうところの効果音やサウンドが上手い。サスペンスじゃん!てツッコんだくらいだわよ。

ここでもブラピが余裕のカッコ良さなのよね。
コミューンに真正面から挑んじゃう!とても落ち目の俳優のボディダブルじゃない!(笑)


でもこのクリフ・ブース像ってのがホント良く描けてて仕事無くてリックの運転手兼雑用係みたいな事やってて送迎のあと自分家に戻る時の運転仕様のあまりの違いに思わず笑っちゃったよ。こういう辺りの演出が好き。

で夜間ドライブインの裏のトレーラーハウスが映った時に「やった!」って思ったのはアタシだけか?だってこの人絶対にトレーラーに住んでるよ絶対!って思いながらシーン追ってたからね。このキャラはそうでなくちゃ!!

で、ここでご登場なさるのがブランディて言うお犬様!!もう彼女が最高に女優で確かカンヌでパルム・ドッグ賞獲ってるんだよね。クリフの餌の作り方や躾の仕方も楽しくてQTによる架空のドッグフード『WOLF'S TOOTH』の【クリフスペシャル】とでも言うべき大盛のフードにありつくまでの我慢の可愛さったら無いの!!

でも観終わって思えばこのドッグフードのネーミングも最後のヴァイオレンスシーンに繋がる気がする・・・狼張りの牙をもった犬的なね。

それと子役の女の子も素晴らしかった。主演を喰ってたもんなぁ。

あのアドリブに対応するってシーンのイイ意味での小生意気さはスカッとするくらいの女優魂(笑)

マジで、この1匹と1人の存在が今作をより引き立ててると思ったね。

俳優で言えばTVスポットのサングラス姿で似てる!って思ってたブルース・リーは案外似て無くて意外にスティーヴ・マックィーンが似てたな。

あと音楽♪は彼独特のセンスでやっぱりカッコイイ!!時代と共にこの2人に斜陽が掛かって来るシーンで起用されてるホセ・フェリシアーノの『California Dreamin'』は最高だった。


最初に【登場人物の対比】って書いたけどリック・ダルトンが自分はもうダメだって泣き入ってる時に売り出し中のシャロンは自分の出演作を映画館で見ながら観客が自分のシーンで笑ってるのをいい気分で観てたり・・・そういう比較的な描き方も自然に入って来るあたりがやっぱ練られてるって思うわけ。

で、シャロンのそういうシーンを入れる事でQTが今作の結末に込めた想いなんかも改めて感じたりして「あぁ、ハリウッドにとってあの事件は物凄く重くて衝撃だったんだな」って感じられる。

斜陽って意味で言えば様々なムーヴメントの終末って事も描かれててチャールズ・マンソンのカルト集団コミューンに代表されるようにヒッピー文化、いわゆるフラワームーヴメントって奴でフラワーチャイルド達がベトナム戦争への反戦とお仕着せの社会への反発を掲げて生まれた文化だがこの【LOVE&PEACE】の謳歌もドラッグなどの横行で【常識社会】から隔絶し衰退する。シャロン・テイト事件が或る意味この文化の行く末の象徴にも思える事件だと言う解釈も出来るのかもな。

とまぁ、ほぼ90%作品が進んだ段階でQTらしいヴァイオレンスは皆無と言っていいくらいなのだがイヤイヤすんごいのが待ってたよ。
だからもちろん割合はいつもより少ない感じはあるけれどもQTならではの過激過ぎるヴァイオレンスが徹底的にスクリーン上を埋める。

妊娠8ヶ月だった身重な身体を16カ所も刺されたと言われている『シャロン・テイト事件』を扱うってだけでそれは容易に想像出来るんだけれど、この作品をタイトルから想像して尚且つQT映画に慣れてない【昔懐かしいハリウッド】的なノリで観に来た人には少々耐えられなかったようで結構退席してた人居た。
でもQT作品観たさで行ってた人には凝縮されたヴァイオレンスがそこにあるって感じかな。
いや、個人的にヴァイオレンスは全然大丈夫なんだけど今回のは解んないけどQTの想いが炸裂してるように感じた。あの惨殺事件への復讐的な?そんなイメージ。うん、そう復讐だな。
全く殺される必要の無かったシャロンやその友人達へのQTなりの気持ちの表れだと思う。あのまま生きていればハリウッドで活躍してた彼女への想い・・・そんな気持ちにさせられた。

QTらしいのはこのヴァイオレンスシーンの結末に『イングロリアル・バスターズ』ばりの伏線そこに落とすか!って演出持ってくる辺りがツボだった。『イングロ〜』はもちろんブラピが主演のQT作品だがそれのパロ的演技をデカプリオにやらせちゃうのオモシロイ。

本作で監督が観客を導いた先に見えるものはまさしく監督のハリウッドへの想い。どんだけ映画好きなんだよ!ってね。

エンディングの俯瞰映像がエレジーだったわ。亡くなった4人と元々実在しない架空の人物リック・ダルトンをそこに存在させて(てか、実際の事件ではたまたまこのマンソン信者達に声を掛けた人物も殺されてるんだよね)まるで【これでこの時代が終わるんだ】ってのを見せつける様にカメラが俯瞰で退いて行って『ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD』のタイトルバックが出てそのままエンドロールに突入する演出・・・切なかったな。


&ルーク・ペリーの遺作。 

この映画の背景よりずっと将来の90年代『ビバリーヒルズ恋愛白書』と言う大ヒット学園ドラマのアイコンとして活躍したルークを起用してその彼が今年初頭に亡くなると言うのもこれまた時代を感じさせてちょっと皮肉っぽいな。

『ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD』・・・そんな時代もあったんだよって過ぎた時代だけど忘れてしまうには激動だった時代。日本でも同じ様に文化が動いた【高度成長期】と言う時代だった60年代。ギリギリその時代を経験した世代のタランティーノ監督の目線も同世代としてちょっと解る気もする。

しっかし60年代の車も家具も街並みもノスタルジー感じるわぁ・・・。カッコイイ(๑˙❥˙๑)


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