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映画感想『ナイトメア・アリー』
原題「NIGHTMARE ALLEY」
◆あらすじ◆
1939年のアメリカ。故郷を後にしたスタンは、やがて怪しげで華やかなカーニバルの一座で働き始める。彼はそこで読心術のテクニックを学ぶと、電流ショーをしていた美女モリーを連れて一座を抜け出す。その後、2人は一流ホテルでお金持ちを相手に読心術のショーを披露し成功を収める。ある日、そんなスタンの前に、美しくエレガントな心理学者リリス・リッター博士が現れるのだったが…。
もともとブラッドリー・クーパーと言う人のヴィジュアルがそんなに好きじゃない事もあり、予告も各種宣伝にも全くアンテナが反応せずどうしようかと迷っていたんだがまぁギレルモ監督だし他に観るものがあるからついでに・・・と観に行ったけど最後まで予測を一つも裏切らない展開に予感は的中(笑)
で【あのギレルモがコレを作った理由】を考えてみたが『野心家の男の成功と転落』と言う欲を出し過ぎた人間の王道のストーリーだからこそ彼が得意とするダークでノワール感満載のスタイリッシュな映像に集中出来たのかも?と思った。
とにかく映像は凄く綺麗だしその映像を以って物語の顛末を見事に皮肉たっぷりに魅せてくれるのは好みだった。
野心は持てど、そう易々と階級上昇とはいかず己の過信や助言無視でその果ての因果応報。
自分が成功し、かつて居た見世物小屋の仲間を蔑むような男。
しかし彼等は自分達の"個性"を生きる術として逞しく存在する。
どちらが幸せか?
いや、生き方の選択だから幸・不幸では無いのだけれど・・・。
見世物小屋の存在、それで成り立つ生活、だが貧困からは抜けられない完全なヒエラルキーとそこに見える差別と偏見。
同じ人間だが"自分達とは違う生き物"を有料で"楽しむ"客達。
自分がああならなくて良かったと言う安堵と優越。
でもその視線の先のバケモノはついこの間まで"普通の人間"だったと明かす"創られたバケモノ"の件はこのヒエラルキーのバカさ加減を表してる。
言ってみれば上流階級に対する報復なのだ。
監督が描き続けた【怪物】のおぞましさの行き着く先はやはり【人間】だったと言う事だろうか?
「もう分かってると思うけどね【時代は繰り返す】じゃイケナイんだよ。」
とでも言っているような感じ方も出来る。
ハードボイルドサスペンスの要素も多分にあるので改めて王道を楽しむと言う見方は出来る。
それにギレルモ・デル・トロの映像はやっぱり素晴らしい!!
プラス、役者達の妖しさはサイコーだね。
個人的にはデヴィッド・ストラザーンなんてずっと見てられる程に落ちぶれくたびれた様子が堪んなかった。
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トニ・コレットのどこかウォームなやさぐれ感、『キャロル』組ルーニー・マーラ&ケイト・ブランシェットの美と存在感は女性の堅実、賢明さや強かさをよく表してる。
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マーク・ポヴィネッリとロン・パールマンのコンビがホテルでちょっとはしゃいでる感じ可愛かった。
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ウィレム・デフォーはもちろん安定感の怪しさ・・・(笑)
後半に登場するリチャード・ジェンキンスが権力者ぶりを好演しててこの人とホルト・マッキャラニー演じた部下が一番怖かったかも・・・。
ひと度『悪夢の小径』に足を踏み入れたら・・・くわばらくわばら!!
屈辱的なラストを受け入れた彼の心情や如何に…。
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2022/04/02
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