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『さがす』

◆あらすじ◆
大阪の下町で父の智と2人暮らしをしている中学生の楓。ある日父は、300万円の報奨金が出る指名手配中の連続殺人犯を見つけたと言った後、そのまま姿を消してしまう。警察に相談するも相手にされず、たった一人で父を探し始める楓。やがて日雇い現場に父の名を見つけるが、そこにいたのは、父の名を騙る連続殺人犯の青年だった。


表向きはタイトル通り失踪した父親を探す娘の無謀とも言える追走劇。
だが蓋を開ければ【激烈超ド級社会派エンタメスプラッタサスペンス】だ。

佐藤二朗のコミカル面を逆手に取り、
伊東蒼の色の薄い表情に過激さを被せ、
清水尋也の朝ドライメージを完全払拭させるキモブラックなキャラがサイコーの化学反応を見せる!


尊厳死や貧困、外国人労働者問題まで垣間見させるこの異常で暴走する不条理社会をどう観るか⁉︎

氷に冷やされたモルツも眼鏡女ムクドリの300万円の正体もハッとさせられるけど彼等の本質を表してるよなぁ…って思える。

側から見たら"凶気"でも判断を見失った自分の中のソレは"正当"。

人間の善悪の表裏。
善が表で悪が裏とは限らない。

何が許され、何を許さないのか?

それでも父を探す娘の青春譚の側面も見せる辺り片山慎三監督まじ凄い。



そー言えば自殺願望炸裂眼鏡女ムクドリこと内藤あおいを演じた森田望智とヤバい性癖覚醒サイコパス山内を演じた清水尋也は『おかえりモネ』コンビじゃないか!
朝ドラとは両者とも全く違うキャラで特に森田望智は結構分からなかったわ。


この映画、観賞後時間が経ってからジワジワ来る。

マジ、巧妙に展開。
もう一度観直してみたいな。


ラスト、ピンポンの音の演出は見事。 
リアルと想像の狭間に漂う感覚になる。

全てが想像だったら良いのに…

ふとそんな想いに駆られた。

2022/02/09

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