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『ゴールデン・リバー』

原題「The Sisters Brothers」

◆あらすじ◆
ゴールドラッシュに沸く1851年、最強と呼ばれる殺し屋兄弟の兄イーライと弟チャーリーは、政府からの内密の依頼を受けて、黄金を探す化学式を発見したという化学者を追うことになる。政府との連絡係を務める男とともに化学者を追う兄弟だったが、ともに黄金に魅せられた男たちは、成り行きから手を組むことに。しかし、本来は組むはずのなかった4人が行動をともにしたことから、それぞれの思惑が交錯し、疑惑や友情などさまざまな感情が入り乱れていく。


オーディアール監督、キャスティングが良かった!
まずジョン・C・ライリーの素晴らしさったらないわ!!

呑んだくれで酷い父親の記憶にずっと付き纏われる兄弟の兄として「同じ血を引くからこの稼業(人殺し)が出来るんだ」と吐き捨てる弟チャーリーのフォローをしながら旅を続ける姿に凄く彼の内面が映し出されててその演技に魅せられた。

一方、ホアキン・フェニックス演じる行く先々で記憶を失くすほど酒を浴び、不用意で軽はずみな行動を起こしまくる弟はその危うさがリアルに映るほど嵌り役だった。

欲に囚われ富や名声に動かされる弟チャーリー。

だが兄イーライはそんな稼業からは早く足を洗って故郷へ帰り平穏な生活を望んでる。

と、この二人の相反する性格や考えから彼等の行く末を決定づける事件が起こるのだがその伏線としてちょっとした台詞、未来を見据えた考え方や理想が見え隠れするのもこの作品の味だと思う。

最凶と謳われた兄弟が追う連絡係モリスと化学者ウォームだが利権絡みの追跡を逃れる為に足を速めるがやがて追いつかれ命の危険に晒される。

しかしゴールドラッシュに沸くこの時代、大量に【金】を採取出来る手段をちらつかせられたら乗らない奴は居ない。

(この一般人的な二人をジェイク・ジレンホールとリズ・アーメッドが好演してる。この二人、ジェイク主演の『ナイトクローラー』で共演済みなんで息ピッタリ!ww)

だが、やがてこの4人に芽生える友情で時代の暴力性や利権の独占、結局【欲深さ】は良い結果を齎さないと言う事を描いていく。

オーディアール監督作品は『リード・マイ・リップス(2001)』『君と歩く世界(2012)』に続いて三作目なのだが今作が一番複雑さを持ちながら割と冷めた視線が感じられたのは何故だろう。

主人公・シスターズ兄弟が何故この稼業に至ったか?と言う生い立ちもちゃんと描かれてるしジェイク演じる連絡係と化学者が触れ合っていく過程やその背景も勿論しっかり組み込まれてるのにだ。

監督らしい身体(もしくは機能)の一部を失うと言う痛みや苦しみも描かれてるんだけどね。

思うにフランス人から見た、金に熱狂したアメリカ開拓時代の西部劇だからなのかな?

あのゴールドラッシュと言う過激な時代を冷静に分析した視点とでも言った方がいいのかもしれない。


米国人が作る同時代の物とは確実に違う世界が存在した。

涙こそ出なかったけどラストのキャロル・ケイン演じるお母ちゃんの存在感が凄かったね。

あの一瞬でこの西部で生き抜いてきた女って感じが表現されてる。

息子だろうが何だろうがならず者なんて一撃なの!!

でも疲れ果てて傷心の息子達を認めたらその母性は100万倍。

あのラストに私欲に払った犠牲の大きさとそれを経ても気付いた事がその何倍も大きいって事が感じられるな。

【開拓時代】・・・何を開拓するべきなのかを描いてる。

現在の民主主義はこうした歴史の上に成り立っているんだけどその進化もどうやら怪しくなってきてるってのが皮肉だな。





◆余談◆

ジェイクとホアキンが川でじゃれ合ってるシーンには本当に胸が躍った。

この4人が2対2になるカップリングの割り当ては監督の配慮か?(まさかね、笑)

でも2人の共演自体が嬉しかったし楽しみにしてたんだけどあんなイチャイチャシーンを作ってくれるなんて粋な計らい(だから違うっつーの!)嬉しくて仕方なかった。

まぁ、悲しいシーンに繋がるし悲しいシーンでもイチャイチャしてる様に見える腐目線がすまねぇなって思うわけだがね。

私にはやっぱり二人とも【ヒースの親友】って位置付けだからね・・・うん、やっぱりチラチラ存在しちゃうんだな。

NYでパパラッチに撮られてた仲良しさん。
若い頃、よく同じオーディションを受けてた 2人。ファンと一緒に写ってる。



それと、ルトガー・ハウアーが亡くなって、もしかしたらこの作品が個人的にはラスト作になるかもしれないって思ってるんだけどホントに最初と最後のみの出演で短い時間だったけど相変わらずの存在感で提督役渋かったですわ。

ご冥福をお祈りします。



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