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『ハートストーン』

2017/08/05

原題「Hjartasteinn/Heartstone」

◆あらすじ◆
東アイスランドの漁村に暮らすソールとクリスティアン。幼なじみの彼らは、何をするにも一緒という大親友だ。思春期にさしかかり、ソールは大人びた美少女ベータに夢中になる。そんなソールの気持ちを知ったクリスティアンは、ベータとの仲がうまくいくよう後押しするが、内に秘めたソールへの特別な感情に気づき当惑する。

田舎の小さな村
閉塞感
少ない娯楽
友情
初恋
太陽の少ない空
……偏見。


思春期、性の目覚めと同時に感じる自分の中の違和感。
友情とは違う感情に戸惑う少年。
自分がどうするべきか?と悩む姿が箇条書きの叙情詩の様に描かれて行く。
子供から青年に変る描写がまるで小さなナイフで感情のあちこちを突き刺すように描かれる。
冒頭ではストレートに子供の残酷さを見せながら次第に渦巻く感情に翻弄され複雑さを纏っていく描写に胸が締め付けれられた。

田舎特有の閉塞感に身動きが取れない少年の想い。
鑑賞しながら「早く都会に出てしまえばいいのに・・・」と叫んでた。
そしてその想いを知った親友の少年の心情の描き方と演技が素晴らしい。

グズムンドソン監督作品は初めて鑑賞するが粗削りな描写が却って少年たちの心の起伏を直球で描いている様に感じられた。

エンディングも素直に受け入れられる流れで【傷つく事も人生には必要だけど救いも勿論ある】って事をちゃんと描いてくれてる。

主人公の子が「スタンドバイミー」の頃のリバー・フェニックスみたいで凄く可愛らしくて綺麗な子だった。
彼に恋するブロンドの子は大人びた外見とは裏腹にナイーブで恋する真剣な眼差しが凄く印象的だったな。

久しぶりに「美しい作品」を観た気がする。

アイスランドのペイルトーンの風景が彼等の想いの切なさを益々増幅してる様に感じたな。

偏見を持つ父親の描写には「ブロークバック・マウンテン」でイニスが思い出す幼い頃の父親の姿を重ねてしまった。

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